見出し画像

「9ボーダー(第10話)」 優しさと柔らかさと、古い商店街と、未来に向けての開発と

大政絢のウェディングドレス姿を見たら、それだけで男たちは見惚れてしまうだろうが、そこで、別れることを決める松下洸平。記憶がまだ全部戻っていないこともあるだろうが、彼の脳裏には、記憶を失ってから後のことが多くを占めているということだろう。この辺り、ドラマ的にはあまり上手く説明できていない感じがするが、このハッピーエンドの感じは納得いく。そう、何も悲しいことが残らない感じで終わらせたかったのだろう。あえて言えば、大政絢は汚れ役ではないが、ちょっと悲しいよね。だから、その後で笑顔でランチに行く彼女を写す。それは、脚本の気遣いですよね。

で、ここでの松下洸平は、今、日本の俳優でこういう雰囲気を出せる人は他にいないのでは?と思えるほどに優しいし、柔らかい。だから、この地の再開発の話を裏で聞きながらも、葛藤していたりする。そして、高橋克実に、「おおば湯」の新展開の提案をしていたりするのだ。

そして、おおば湯が、公から文化財的に扱われて、街が守られる流れは良いですよね。今は、東京で多くの街がまたまた壊されているが、壊したくないものは、壊したくないと主張して残すことは大事なこと。今問題になってる神宮の森などは本当に、100年かけて荒地をあの森にした経緯を知っていたら、絶対に多くの木を伐採して再開発など考えられないことだと思う。だいたい、今ある国立競技場見ればわかるでしょ。以前のやつの方が素敵なフォルムでしたよ。あれを壊して、あのデカいだけの建物作って、赤字で大変とか言ってるんだから、神宮の他の建て替えも、今のままだと同じ運命ですよ。

話が逸れたが、このドラマ、都知事選に合わせてみても意味がある。残すものは残して、新しくするところは新しくする。そうやって、未来が作られていき、残るものは残る。全てを金のためと考えて走ったら、まあ、上手くいきませんよね。最後に賑やかになっていく「おおば湯」が見られただけで、かなり幸せな気分になりました。

そして、前から書いていますが、ここでの川口春奈、力が抜けた感じでとても素敵な印象でした。私的には、今までの彼女の演技で一番好きでした。そして、木南晴夏も畑芽育との三姉妹も絶妙な感じで見ていて楽しかったし、二人とも、恋は上手くいきそうな感じだしね・・。

2024年のホームドラマのあり方としては、昔に比べ、周囲もいい人ばかりなのが今風なのだろうが、そういう時代なのですよ。まあ、政治家が碌でもないので、景気はイマイチだが、少し、街に笑顔が戻ってくるようになる予感はする。それをもっと確信に感じられるように、こういうドラマって本当に必要なんですよ。医者や刑事や司法の話もいいですが、こういう家族ドラマ、いっぱい作って元気つけて欲しいのは私だけではないだろうと思ってます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?