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「病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜スペシャル」コロナ感染の問題に関して、もっとドラマにして考えてみていただきたい!

テレビ東京で放送されていた、ドラマbizのスペシャル版。社会性のある、ビジネスに通じるドラマが放送されていたこの枠、昨今のテレビドラマの中では、なかなか骨太で興味深かったが、なくなってしまっのは残念だった。その中でも、「病院の治し方」は長野の相澤病院をモデルにした、病院再生物語でなかなか見応えのある作品だった。

病院のドラマと言っても、手術風景が多く出てくるわけではない。だが、このコロナ禍で病院自体の撮影はなかなか大変だろうと思う。今回は、高齢者がなかなか退院せずに病床が圧迫するという話。そして、隣に新しい退院のための病院を作るという攻めのスタンスを取った話。そして、病院の統合話から、それよりも地域の病院のネットワークの強化が必要という話。そして、ラストは上の写真のように、病院が地域の楽しいふれあいの場になればという理想を語っていたりもする。

普通のドラマにして2回分のコクはあった。今回も、小泉孝太郎の院長と高嶋政伸の事務長の説明はわかりやすく、ドラマとしてもなかなかシャープであった。特に、地域の病院を周り、軽くあしらわれるようなシーンは、なかなかリアリティがあってよかった。

結果的には、地域の事故での連携のうまさを示した小泉をみんなが認める形になっていくのだが(この辺は時間の関係で出来過ぎな感じはする)、医療というものは、そのインフラと、そこを守る医師たちの愛情のシンクロができて初めて成立するものだということがよく表現できていた。

若い医師役の加藤シゲアキが、小泉のやり方に疑問を持つが、最後には理解する役をなかなか印象的に好演。医者というのは、個々の技術経験というものも大事だし、手術などにあたってはチームワークも大事だ。そして、それを経営するということは、個々の医師の気持ちを尊重しながらも、顧客優先でなくてはならない。そして、経営としてもうまく回さなくてはならない。大きな金が動く場所ではあるが、細かい配慮なしに、そこを維持することが難しいことをドラマとして再度示した感じではあった。

だが、コロナ禍の病院の大変さは、冒頭に出てくるだけで、そのあたりを期待したものにとっては少し不満もあった。多分、まだ解決の糸口すら掴めない事象に対しドラマにはできないというところなのだろう。この辺りは、もう少し経って新たなスペシャルとしてドラマ化して欲しいところである。

とにかくも、今回のコロナ禍において、日本の医療システムの膿みたいなものが色々と全国で出ているはずである。このドラマに限って言えば、舞台は長野であり、そこでさえ、こういう問題が多々起こっているわけだ。東京や大阪を舞台に経営面から見た病院のあり方を捉えたドラマが見て見たいと思うのである。まずは、これから、さまざまな現場の医師が書いたノンフィクションが出るようになってからか?期待するところである。まずは、感染拡大防止に努めなくてはいけませんけどね…。

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