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「テッパチ!(第4話)」努力は嘘をつかないという基本的なことへの確認

ついに、この訓練、実弾射撃というところまできた。ここで、銃は敵を倒すものではなく、自分や周囲、社会を守るために、自衛官に貸与されているものという話が出てくる。この考え方は今の自衛隊というものが、ある意味屁理屈で作ったものにも見える。実際、大戦の時はあくまでも、武器は敵を倒すためのもの、鬼畜米英を振り払うためのものだったはずだ。その向こうに武士道的な考えはあっただろうが…。そう、この綺麗事を言うことで、自衛隊は憲法の枠の中にグレーに存在するのである。

としたら、考えてごらんなさい、「憲法改悪」で9条をいじられた場合、自衛隊の位置を明確にされたり、国防軍としてそれが存在するようになった場合、この武器は攻守先制は別にして、せめてくる相手を振り払うために使うようになるだろうし、自分を守ることと、敵を倒すことの加減など、実戦では、脳裏の中には咄嗟には判断できないだろう。だから、その人間の戦闘本能にスイッチを入れないように、今の9条はいじらない方が良いのだ。日本人は流されやすいとよくいう。今のポンコツ政権がなんとなく存在し続けられるのも、そんなところによるものがある。ただ、彼らは憲法を無視して自分の判断で自分の言いように国の金を使っているのには本当に悲しくなりますがね…。いろんな関係ないことも考えさせられるドラマでもある。

そして、今回は、その銃の扱いには慣れているという、時任勇気の話。元々SEとして働いていた彼が、ゲームセンターでゲームをしているところを北村一輝にスカウトされたわけで、サバゲーなら自信があった。だが、練習で白石に懸垂100回やらないとちゃんとした射撃は無理だと言われた町田啓太がその努力もあって、実射の時に、時任より的の中央に当てる。負けた時任は悔しがる。そこに、昔のSE仲間から起業を手伝わないかと言う電話がくる。心が動く時任。ドラマとしては、これ安直には見えるが、実際の人生がうまくいかない若者たちの心はこのくらい、頼りないものだ。他人と比較され堕とされてきたものは、常に他人と比較する癖がつく。日本という国は、この単純なミスで多くの人材を溶かしてきた国家なのだ。大企業は、比較論で劣化していき人材を育てられず、今に至る。本当に、ビジネスに感情を持ち込みすぎる。

そう、自衛隊は、実戦で感情を前に出すと全体が見えなくなる。これは、スポーツと同じであり、町田がラグビー選手から追われた原因もそれであったりする。そう、先週の一ノ瀬楓のDVからの心の脱却もそうだが、一回一回の問題定義は、個々の集まったすべての落ちこぼれに足りないところなのだ。それを町田をはじめ、一人ひとりが克服していくことによって、自衛官が出来上がっていく様は、なかなか見ていて心地よい。何度も書くが、こういう青春像の描き方は永遠に必要なのだろうと思ったりするのだ。

結果的に、時任は、仲間に騙されていたことを知り、そして町田の努力を知って、自分もリセットして励み、町田に射撃で勝つことができるのだが、こういう一喜一憂する感じもまたよしですな。

しかし、時任勇気、お父さんに比べて、顔が優し過ぎますな。演技のタイプ的には似たような素養を感じるのですが、男が惚れるようなワイルドさが足りない。そういうものが、時代から必要なくなってきているのもわかるのですが、男優としての幅を出していくのに苦労するでしょうね。彼だから、やらせたいという役者になれるかどうか?まあ、これからですけどね。

どんどん、訓練が実戦的になってきて、仲間意識も固くなってくる感じがなかなか気持ちいいです。しかし、先週まで、あんなに頑なだった一ノ瀬楓が、その過去の自分を語るような「防人の歌」と、自分から覚えたという「チューチュートレイン」を歌う壊れ方みたいなのが、また、青春ドラマ的な面白さを感じたりしました。まだまだ中盤ですが、とても楽しみになってきました。

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