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「ハスラーズ」日本での共感者も多そうな、夜の女の狂宴

こういうテイストの映画を久々に見た気がする。東映スケバン物にも似ているが、大映の悪女ものを思い出した。最近の日本で水商売を描くのは深夜の低予算ドラマくらいで、ロマンポルノもないから、結構こういう話は空白区なんですよね。それだからこそ、面白かった。

ストリッパーとしてウオール街の男たちから荒稼ぎした女たちが、リーマンショックで生活に困り、薬を使って、男たちのカードから大金を掴み取る話。実話に基づいていると聞くと怖いが、日本でも、これに似たことをやっている女たちはいる可能性大。男たちには、そういう意味での警告映画である。

だが、これは完全なる女子映画、彼女たちが大金をせしめ行うパーティーは、これがバブルの女子会という感じ。中には、子供も老人もいる。結構凄い絵である。

映画全体は、チープな感じさえする色使いだが、これがこの映画をおとぎの国の話のようにしている。そう、男が通う、ストリップやキャバレーなんていうのは、男にとってもそういう空間なのである。だから、その男たちから女たちが金を巻き上げる感じも、似たような虚飾に満ちているのだ。浦島太郎なんていうのと同じですよ。

途中から、彼女たちの起こした事件を聴く記者のシーンが挟み込まれてくる。この話の顛末をいかにきれいに持っていくかの工夫であったりするのだが、ここがちょっと全体の流れを切る感じもするがトータル的には関係ないレベル。ラストのジェニファーロペスとコンスタンス・ウーの友情の物語に昇華させるためには必要だったのだろう。そう、この映画はこの結構感動させられるラストを描くために構成されている。

ストリップシーンから、女たちの演技がとてもワイルドでいい。そして、彼女たちが金を男たちから奪っていくのは生きるためだ。そして、そんなシーンの連続は結構無機質で罪悪感など感じさせない。このあたり、日本で似たような境遇の皆さんは、かなり共感する部分あるのではないだろうか?ウォール街で他人の金を動かすことで懐に多くの札束を詰め込む男たちなど、狩りの獲物でしかないのだ。そう、今年のアカデミー賞を獲った映画のように、彼女たちも、そんな金まみれの男たちに寄生するのだ。しかし、こっちの方が見ていて気持ち良いのは、何かすごい大きな生き抜くパワーを感じるからだろう。

ジェニファー・ロペスの生き方が一貫しているのに対して、コンスタンス・ウーの方は、様々に心が揺らぐ。ウーが微妙に心が動く感じをうまく演じているのが、この映画の力になっている。

そして、映画が終わり、タイトルクレジットに入る前に、みんなでもうひと踊り。ここも、すごい日本映画でよくやるラストの感じで好きである。黒字にピンクのクレジット。まさに、女の映画という感じである。男は騙されても、プライドがあるからそれを認めないというのも、納得するお話。いくら男女平等と言っても、男の莫迦さ加減は何も変わらんという映画なんですよね。

観終わって、私は、俄然、「キャバクラ大戦争」みたいなアクション映画を金かけて撮る人いないかな?と思ったりしたんですよね。不謹慎と言われるかもしれないですが、私は沢尻エリカ主演で、政府まで巻き込む大きな映画作りたいな!と思った次第であります。

なんか、映像に猥褻さがあって、観て元気が出ました

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