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「夫婦の秘密(第8話)」人を間引きすることを良しとする感覚の人間は相当数いるとも思える

流石に8回目になれば、それなりにいろんなことがつながってくる。今回明確になったのは、豊田裕大が隠していた秘密。彼は友人と戸籍を交換して他人を生きているのだが、その前の自分は、父親を殺していたということがわかる。そして、それは母を守るためだったが、母にも見捨てられた感じで、母がその事件を事故と証言したことで事が収まるも、豊田は孤独な暮らしを余儀なくされ、今に至るという話。そういう意味では、臼田あさ美を本当に拠り所にしたところはあるのだろう。今までの自分とは違う自分を生きるために・・。

で、物語の中心に臼田あさ美が浮かび上がってくる。彼女の心の思想そのものが・・。ラスト、宮本真希の娘の大月美里果がやってきて、母が死んだというが、悲しそうな顔はしていない。ある意味、せいせいした感じ。この空気感が臼田あさ美の心とイコールなことがはっきりしてきた8回目の終わりだった。

そして、剛力彩芽の植物状態の夫を殺したことも、臼田がそれが幸せだと思ってることもわかる。つまり、世の中に必要悪でない人間を植物のように間引きしても構わないという考え方。優生思想の一つとも言えるかもしれないが、自分に必要悪な人間は、世界的にも必要悪だから、殺して仕舞えばいいというような思いの中で生きているのが臼田なのだ。

そんな臼田の前に、前回最後に現れた、豊田と戸籍で入れ替わった別府由来は、豊田に、臼田と別れた方がいいという。理由は「感」だという。確かに、妖しい感じに回を重ねるごとに、演技が変化してきている臼田である。その「感」というのもわかる気がする。

で、今回の最後の方にも、母親の妄想との格闘が出てきたが、母親との確執が起こった原因がまだ見えてこないから、彼女の持つトラウマ的なものが見えてこない。だからこそ、ここから、どう彼女が狂い出すのかもよくわからない。

確定してはいないが、穴掘ってるメンツを見ると、最後に埋められてるのは臼田のような気もする。ドラマは、あと2回か3回だろう。一番、臼田のことを憎く思っていたような宮本が死んだことで、ある意味、またドラマのフィニッシュは混沌としてきている。

多分、夫婦の秘密というよりは、ここからは臼田あさ美の秘密である。彼女自身の過去は多分、不幸な中にあったのだと思う。その本質がテーマであるのでは?人は人として扱われないことがあって、そういう優勢思想的なものを妄想としてもつ。そして、そういう狂った人間が、狂った世界に放り出されれば、何をしでかすかわからないというようなループが表現されていくのだとも思われる。そう、もし、臼田自身が殺められる流れになれば、臼田を殺した人間たちは、また同じような思想を持ち続ける・・。そんなドラマなの?

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