「シッコウ!!〜犬と私と執行官〜(第3話)」 人生に区切りをつけさせる仕事と言う理解。そして、それはザワザワする。
織田裕二と伊藤沙莉が一緒に4階のベランダで悲鳴を上げるようなドラマだ。それは、織田としたら、今までにない等身大の役と言っていいだろう。「踊る大捜査線」も当時としたら、等身大の刑事ドラマだったが、それでも青島刑事はヒーローであることを求めていたと思う。それに対比するとこの役は、そんなヒーロー像は全て消し去っている。ラスト近くで伊藤と話す場面で、そんな彼の本音みたいなのが語られる「人生に区切りをつける仕事だと思っている」と。法律が全て正しいわけでもないが、それによって人の生き方にリセットかけられるならそれは有益であると言うような。ある意味、仕事の中に、自分でも煮え切らない部分があるのだろう。ザワザワした部分。そのザワザワを伊藤と共有できたと言うことがここの織田にとっては大きなことであったと言う話は興味深かった。そう、この世の中ではザワザワの共有が難しいのだ。ましてや、裁判までされて、人生に鍵をかけられた人なら尚更だろう・・・。そう、織田裕二がここまでリアリティのある中年男を演じてることに、時が経ったのも感じるが、役者としてこれから面白くなりそうだと言うのも感じるこの作品なのだ。
今回の執行案件は2つ。まずは、パチンコ店。執行するには現金が一番と言うことで、深夜の会計時間を狙う。ここで犬に関することは、店名の「ブルドッグ」だけなのに、伊藤は連れていかれる。明日の営業の資金がないと頭を下げる相手の心情には目もくれず執行する織田。まあ、相手がパチンコ店なら、普通の人は困らないか?と言うところ。
そして、次の案件の前に、伊藤がアルバイトするペット関連店に織田が来て、ファーストサマーウィカと論争をする。いつものサマーウィカに比べ、化粧が薄いせいか、そんなに圧を感じないのは面白い。しかし、執行官と犬の話が、回を重ねるごとにうまく交わってくるのは不思議ですな・・。
そして、今日のメイン執行話。介護で疲れた男が金もなくて、猫と一緒に引きこもっていたと言う話で、彼を強制執行というわけだが、まず、鍵師の六角精児にも開けられないドアということで、先にも書いたベランダからの侵入執行となる。その中で生きてるのか死んでるのかわからない状況で生存する男。この疲れた役をやっていたのは高橋光臣。いつもは、精悍なクールな役が多い彼だが、こんな疲れた役は初めてでないか?まあ、役者さんってよく化けられるよねと思わせる場面だった。そして、猫回収して、サマーウィカの店に預ける織田。ペットというのは、人間の心情とリンクしてるので、なかなか処理が大変ですよね。執行されて、保護されないままに命を落とすペットも少なくないのだろう。ペットのこの辺りの問題は動物好きには大問題なのだろうが、一般人には、やはりペットの命より人の命だろうという論理になるんですよね。そんな考え方が消える社会になることを望みますけどね・・。
そう、伊藤沙莉の視点も、そんなところにあるのでしょうな。そして犬好きとしては、人間の罪の執行の話などあまり興味がない。そう、興味のないものが一つのドラマの中で動くことで新しいマリアージュが起こりそうなところがこのドラマの面白さなのですよね。
今期のドラマの中で、多分、お仕事ドラマはこれだけである。そういう意味で、一般的な注目度は高くないようだが、私的には良いドラマに仕上げていただきたい作品だったりする。
ラスト、伊藤の部屋のお向かいさんが中島健人になるのは、恋の予感もあり?
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