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「姉ちゃんの恋人(第8話)」強い優しさを持つということは、やはり心に染みる

来週が最終回。このコロナ禍の環境で、このドラマは不器用で真っ直ぐな恋と家族というものの意味合いみたいなものを真っ直ぐに描くことをしてきたわけだ。

そして、この第8回は、最初と最後に、林遣都演じる真人に2つの試練が訪れる。その描き方も特に変化球ではなく、真っ直ぐに過去と立ち向かうというドラマ。本当に、またまた胸を熱くさせられる。

まず、最初の試練。前回の最後に街で元の彼女(小林涼子)に出会う。そして、挨拶をする林に一緒にいた有村は彼女が昔の彼女だと悟る。小林の方から、時間があるか?と聴かれ、有村を伴って話をすることになる。林は有村がいてくれることが力になると理解し、彼女を連れて行く。そして、過去を謝る彼女に、「今は幸せですか?」と聴く。そして、有村を紹介して「自分は幸せだ」という。過去が色々と甦ってくる葛藤の中で、震える林。その心の震えは、小林も同様だろう。だが、そんななんとか現在に着地させようとする林に勇気をもらう。ここは文章で書くような格好いいシーンではないが、とてもリアルな心象風景を描いていた。このドラマのスタンスが、最初から決して格好をつけるというところにないので、素直に視聴者を感動へと誘い込む。オチとして、彼女の車が駐車違反で持っていかれそうになるような気が抜けたシーンもとても効果的だと思った。

そして、二つ目の試練は、有村の家で行われるクリスマス会に向かう、有村と林が、公園で若者の足をひっかけてしまったことから、因縁をつけられ、いわゆる林にとってはデジャヴな光景が再現される。そんな中で殴られながらも、必死で有村を護る林。このシーンは、あまりリアルさを感じさせないが、ドラマとして今の林を見せるための重要なシークエンスとして入れたのだろう。そして、みんなが待つ有村の家に入るところでこの回は終わる。

あくまでもラス前のこの回は、林と有村の愛情の最後の確認回だったのだろう。そして、林が有村となら一緒にやっていけると確信する回だ。過去のこだわりから、現在から未来へ向けての希望に向かわせるためのブリッジ回として秀逸だった気がする。

とはいえ、実際の東京の今年のクリスマスは、そんなに綺麗にまとまらない気がする。これを書いている時に、今日の東京都の新しい感染者数が800人以上というニュースが入る。恋人たちが今の幸せと未来を見つめる一週間後のクリスマスイブに、この状況が変わるとも思えない。今年は、1年間、この状況でさまざまな人間の本質を見せつけられてきたような気がする。前から、何度も書くが、このドラマに心惹かれるのは、生きる上での当たり前の心の強さ、他人に対するスタンスの取り方みたいなものを綺麗に描いてくれているからだ。

最終回、本当の2020年のクリスマスや年越しとは少し違う幸せ感が描かれると思うが、それはそれ、ドラマという世界観の中で私たちの見たい現実を見せてくれるようなドラマは好感が持てる。最終回はクリスマスプレゼントのような回であると思うので、ただただお待ちしております。



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