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2022年新作テレビドラマ放浪記

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2022年の新作テレビドラマの感想です
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2022年11月の記事一覧

「PICU 小児集中治療室 (第8話)」子供の患者との接し方、希望の火の灯し方

このドラマも、もう8回目。主人公、吉沢亮演じる志子田先生は、最初からしたら、随分と頼もしくなった。上司である、安田顕や木村文乃が彼を認めてるのがわかる演技で、ドラマもラストに向けて拍車がかかる。 ずーっと容態が戻らないというか、感染症が治らないで心臓治療に入れない子供の話を引っ張っているのが見ていてなかなかきつい。今回のファーストシーンも彼を思ってる函館の彼女から始まったりする。PICUは彼を助けることができるのか?最初の回から、子供が助からない話で始まったドラマだ、最後に

「君の花になる(第7話)」現在に過去が重なってくる時の情けなさみたいなものからの解放は愛する心からなのか?

ラスト、告白をする高橋文哉を見て、嫉妬する感じの宮世琉弥。ここから、さまざまに亀裂が入っていきグループが崩壊しそうになるということだろう。ドラマ的には、ありがちだが、男のグループってそんなに簡単じゃないよなと思ったりする。 しかし、8LOOMの曲が、リアルな配信チャートで4曲ともランクインしてることに驚く。曲は、そこそこに良いのだが、この何が売れるかわからない音楽シーンで、ちゃんと結果を出すとはすごいですね。ジャニーズが真面目に配信を使って売っていたら、このグループの成功も

「エルピス~希望、あるいは災い~(第6話)」長澤まさみの「贈る言葉」は、誰を送り、誰を迎えようとしているのか?

長澤まさみが淡々と歌う「贈る言葉」に季節外れの卒業式の涙みたいなものを感じたりした。脚本家は、何故にここでこの歌を彼女に歌わせたのか?確かに、「フライデーボンボン」は最終回を迎え、傷のない面々で「ウィークエンドボンボン」が始まるという。その過程は、今では、世の中の過半数がそう思っているだろう、テレビ局の大人の対応というか、成長を考えないやり方であったりする。それは「贈る言葉」で歌い流せるようなことでもない。あくまでも、これは、このドラマの前半戦の終わりをつげる歌なのだろう。し

「アトムの童(第7話)」好奇心の先にあるものを夢見ることと、100年先を考えるというハッタリと。

毎回、時代が一気に飛ぶ。このドラマの浮き沈みは人生そのもののようにも見える。悪い時間はそんなに続かない。望んで動けば、ワクワクの先に必ず結果が出せる。そんなことを思ったりもできる。 今回は、ファミリー投資会社が、日本のゲーム業界にも投資を仕掛けて、未来を考えると言いながらも、私利私欲のために動くという構図。今までの敵、オダギリジョーも飲み込まれようとする、巨大な組織。まあ、国や、大企業の体力が弱くなれば、こういう金満な考え方が世の中を制圧しようとするのは世の常かもしれないし

「クロサギ(第6話)」人のつながりが複雑になっていき、ドラマ的には興味深くなってきた

前回、平野の仇である坂東彌十郎が逝き、今回から第二章というところなのだろうが、新しい人物と、その相関関係が複雑になっていき前より面白くなってきた。 まずは、刑事の井ノ脇海が執拗に平野を追うのは、彼もまた詐欺被害者でシロサギが許せないということからだった。このあたりはもっと前に出してもよかったのではないか?そういうバックグラウンドを知って、この間の上海の彼の姿を見たら、また違う感じに見えただろう。そして、そうしていたら、ドラマの作り方も変わっていた感じがする。こういうキャラの

「ファーストペンギン(第8話)」ホワイトナイトがやってくる中、堤真一が孤立する変な構図

ラストに鈴木伸之が戻ってきて、新たな展開が開くことになる感じで終わった。鈴木はこのドラマでいつもより活躍してはいないが、節目節目で彼が事の展開を誘うような役になっている。そして、いつものできる雰囲気の男から、なかなか好感度抜群の役。彼にはこういう二枚目役の方があっていると思う。 そんなことより、前回、漁船が事故にあって、堤の元から皆が逃げていってしまってどうなるか?という話。皆、政治家の泉谷しげるが仕掛けた話だが、それに引きづられて、梅沢富美男は再度、貸しはがしにかかる。会

「君の花になる(第6話)」スターになっても、青春ごっこ的なストーリーがどうなのでしょうか?

先週の最後に、配信1位という座を奪って、見事に契約更新になった8LOOM。今回から、テイストが一気に変わるかと思いきや、今ひとつスターになった感じがしないのは何故か?忙しくなって、引っ張りだこなのは見えてくるが、人間としては、またまた喧嘩を始めさせたりする。それも、アーチスティックな話ではなく、歌手活動に全力入れないとか、途中でやめたメンバーがイタズラしてるとか、もう一つ話がステップアップしていないのが気になったりする。 そういえば、契約更新になったのに、社長の夏木マリの見

「PICU 小児集中治療室 (第7話)」家族の病気に対する向き合い方みたいな・・・。

ここに来て、吉沢亮がしっかり成長し、周囲の信頼も得られるようになっている描き方が、なかなか見事である気がする。一気にそうなるというよりも、患者と向き合ううちにそうなっていくという描き方が見ていて心地よい。そして、吉沢亮自体が、こういう役にピッタリだったりするのであろう。 そして、高杉真宙の医師としての帰還。仲良しの3人が一緒の場所で働くという構図は、ある意味ドラマ的だが、なかなか微笑ましく羨ましい。そして、高杉が再出発の中で、木村文乃が声をかけるシーンが印象的だった。そう、

「エルピス~希望、あるいは災い~(第5話)」眞栄田郷敦の臭う色香にドラマが跳ねる

先週の最後の三浦透子の飛び降りは、死ぬに至らず、特にドラマの重要な転換というわけではなかったようだ。そして、今回の初めに、簡素にフライデーボンボンでの冤罪事件報道の続きは中止に決まる。誰がどこを突いてそうなったかもわからずに。それを何も言わずにスルーする長澤まさみ。そして、「なんだそれ」という感じに、眞栄田郷敦があまり前を見ずに個人で事情聴取を始める。ドラマも中盤、今までの流れの中では、少し内容的には簡素な回であったが、彼が見つけた目撃者が当日、その場所にいなかったという証言

「アトムの童(第6話)」自分たちの夢見る場所が想像できれば、そこに帰ってこられるということ

先週のとんでもない終わり方で、これは怒りの復讐編に変わるのかと思ったら、そんなことはない、全く先週とは違う心地よい再生の回となっていた。憎しみよりも、自分たちのやりたい夢を追いかけ、その再生の場所に辿り着くということを主題に持ってきて、新しい会社の名前が「アトムの童」。タイトル回収で、ここからがドラマの本当のテーマの追求という感じなのだろう。 会社を奪われて一年後、松下は玄里のつながりなのだろうが、自動車メーカーで自動運転のAIとの連携ソフトを作っているようだ。そして山﨑は

「ジャパニーズスタイル(第5話)」モトーラ世理奈が2倍速で演じる楽しさ

こういう観客を入れての一発収録というのは、一つの緊張感があって、どんどん役者たちもそれに鍛えられていく感じがする。もちろん、もともと舞台で鍛えられてきた人も多いわけだから、いや、出来る人を集めているわけだから当たり前なのだが、それにしても見ていて楽しい。 今回は、仲野太賀の母である、本物の女将。キムラ緑子がナレーションではなく登場。この人が出てきてから帰るまで数分だと思うが、いつものドラマに見るのとは違う存在感があった。基本、このドラマの演出が、普通の1.5倍速くらいで行わ

「クロサギ(第5話)」上海マフィア相手にするには、緊張感が足りない気がする

ここで前半戦終了ということなのだろう。平野の親を殺した仇ということで坂東彌十郎を倒すことが一つの到達点ということなわけで、そういう意味ではもっと激しい詐欺合戦みたいのが行われると思ったが、三浦友和がバックにいなくなった坂東は、頭があまり回らないという役柄だったようだ。ラスト、彼がピストルで自決を行うところは、あまりセンセーショナルに感じず、なんか虫ケラが落ちていくような感じに見えた。 つまり、このドラマ自体は、世の中の結構な裏社会を描いているわけなのだが、全体的に出演者たち

「Silent(第7話)」声がなくても、心は伝わっているというラスト・・・。

話は、思うほどに進んでいないのに、すごく濃厚な1時間という感じである。ラスト、上の写真の「抱きしめる」という表現に持っていくために、ここまでのインターバルみたいな流れがあるのだろうが、私たちは、このスローモーションで流れているような心の機微みたいなものを堪能させられている。ここにきて再度思うのだが、テレビドラマとして、初めての空気感みたいなものを新鮮に味合わさせてもらっている。 先週に続き、奈々を起点に話が回っていく。紬が、想が声を出さないことを気にする。ということで、今回

「ファーストペンギン(第7話)」一大危機がやってきて、チャンスもやってきて・・・。

「お魚ボックス」がとりあえず、軌道に乗り出して、奈緒は、農業水産省の松本若菜から、水産界のジャンヌダルクになってくれと言われる。奈緒のここまでやってきたことが、もっと大きなものを動かそうとしているわけだ。 そして、梅沢富美男をはじめとする抵抗勢力に大物政治家?の泉谷しげるが助言をすることに・・・。それと同時に、堤のところには3人の新人がやってくる。この中に、泉谷のネズミがいることを臭わせるわけだ。この辺りの脚本への臭いの埋め込み方はかなり上手いと思う。 そして、新人3人は