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MTR&Y(奥田民生)「ラビットツアー」現地ライブレポ in 名古屋特殊陶業市民会館フォレストホール(23.3.1)

去年の中津川ソーラーでMTR&Yを初めて生で見てあまりにも素晴らしかったので母と「いつかMTR&Yのツアーやるといいね」と話していたところにラビットツアーのお知らせ。
あまりあちこちには行けないものの、名古屋と静岡は行きたい!とエントリーし無事自力当選。しかも1階5列目(1列目が潰されていたので実質4列目)という良席。

 
ツアー初日終了後、現地の皆様の興奮冷めやらぬツイートが次から次へと流れてきて、その凄まじいドスケベセトリ(褒めてる)の評判は聞いていたのでとても楽しみにしていた。



物販(16:00過ぎ)に並んでるときの出来事

MTR&Yタオルを狙う私とご当地ワッペンを狙う母、16時過ぎの物販スタートとほぼ同時に会場に到着。ナイスタイミングだった。
物販ブースはホールのすぐ横。ブースで流れる民生さんの楽曲音源の奥から漏れ聞こえてくるリハの音。

物販の列が進むにつれホールとの距離も近くなり、リハの音がより大きく聞こえてくる。そのタイミングで始まった「カヌー」。歌詞も鮮明に聞き取れるほど、ハッキリくっきりと民生さんの歌声が聞こえ、物販の列に並びながら横ノリを始める母娘(やめろ)。


丸々1番を歌い終え、更には次の曲の「音のない音」まで聞こえてくる。
結局物販の列に並んでいる間に2曲の演奏を聞くことができ、なんだかお得な気分に笑


開場

開場前まで、Twitterで知り合った1個下のユニファン男子とそのお友達とずーっと喋ってた(同世代の男子ファン珍しい)。めちゃくちゃ楽しかった。

その2人と母と私の4人で入場し、ステージセットのあまりの美しさに撮影大会が始まる笑(スタッフさんから自席での撮影はOKとの声掛けあり)

 
そうこうしているうちにブザーが鳴り、アナウンスが入る。いよいよ開演の時間が来た。


1.太陽が見ている

無音の中、紙コップを掲げながら礼さんが登場。拍手が沸き起こる。
立ち位置に到着すると、何も入ってない紙コップを逆さにし飲み物を飲み干すような仕草を見せるお茶目な礼さん笑
本編とは関係ないが、礼さんが登場した瞬間、「あ、この人は相当モテるぞ」と思った。目立つ気などさらさらなく飄々としていて冷静、しかし妙に色気のある独特な雰囲気と妖しげなその佇まい。わかる人にはわかる、この人は危ない。

 
礼さんが紙コップでリズムを取り始めると、他メンバー3人が続けて登場。またもや沸き起こる拍手。
この時、紙コップのリズムに合わせて会場後方から手拍子が聞こえてきて、(´ё ` )「1曲目は手拍子するなとSNSで拡散しろ」の言葉を知ってる私はヒヤヒヤ。
しかし曲が始まるとだんだんと小さくなりやがてなくなる手拍子。皆さん空気を察する能力が高い。

 
民生さんのギター&歌のみの弾き語りから始まり、全ての楽器が一気に入る瞬間がとてつもないかっこよさだった。
湊さんの力強いドラム、礼さんの安定感あるベースの2本柱。迫力溢れる重低音が身体に響き、その上を民生さんのギターと有太さんのシンセの音色が彩る。

 
礼さんのハモリの安定感も凄まじく、早くも1曲目からこのバンドの実力を見せつけられた気がした。


2.無限の風

民生さんのボーカルもさることながら、有太さんの下ハモの美しさが際立った1曲。
座席が上手側の端だったので礼さんの手元がよく見えて、「涼しい顔してとんでもないことやってらっしゃる!」という瞬間が何度もあった。

 
声の調子も良さげな民生さん。最後の「太陽を背負って」のかっこよさたるや。
雲を切り裂く光のように鮮やかで圧倒的なのに、最後は周りの音と調和し溶けて消えていく。
有太さん、礼さんの安定感あるハモリも相まって、とんでもなくかっこいいラストだった。

 

3.月を超えろ

無限の風から流れでそのまま月を超えろに突入。わりと昔の曲で、周囲の観客は大盛り上がり。皆思い思いにノリながら演奏を聴く。

 
民生さんにしてはキー低めの曲だからか、声に昔の面影を感じる部分が多く見えて、「ここにいる奥田民生と映像で見る昔の奥田民生は同じ人なんだ…(当たり前)」と、なんだかとても不思議な気持ちになった。


ギターソロで真ん中あたりに出てきて、なかなか行けない上手側にも来ようと試みてくださったものの、シールドの長さが限界で「行きたいんですよ、行きたいんです」と言わんばかりに口をへの字に結んで顔をしかめ、ぐっぐっと2度踏み出そうとする民生さんが非常に可愛らしかったし、その心遣いと気持ちがとても嬉しかった。

 
アウトロ部分で
(´ё ` )「名古屋ーーー!!!!」
の雄叫び。
毎度思うが、この人の雄叫びはどうしてこうも皆を興奮させるのか。
民生さんの雄叫びを聞くと、自分の意思関係なく勝手に腕が振り上がってしまうし、あの叫び声が耳に届いた瞬間、大量のアドレナリンが放出され、血液と共に勢いよく全身を駆け巡るような感覚になる。


MC①

(´ё ` )「どうもこんばんは、奥田民生です」

月を超えろが終わると照明が点き、ジンジャーエール🍺片手にボソッと呟く民生さん。

 
(´ё ` )「えー…今、ラビットツアーという……壮大なツアーの途中なんですが」

 
「壮大なツアー」の言葉に笑い声が漏れる会場

 
(´ё ` )「今日で……8本目?…8本目?(メンバーに確認)」

礼&有太「8本目。」

(´ё ` )「8本目。まだ8本しか消化してないという。始まったのはだいぶ前だった気がするんですがね。……まあ…それには色々事情がありましてね……そんな話はどうでもいいんです。あの、どうでもいいことしか喋ってない。要するにここは俺らの休憩時間なんですよ、手がいてーし笑」

 
相変わらずいつもの民生さん節全開なMCに、会場からは度々笑い声が。

 
(´ё ` )「あのー…どうですか名古屋は。(ぐるりとメンバーを見回し礼さんにロックオン)そこの…ジャージのやつ笑」

白いジャージのような衣装の礼さんをイジりながら話を振る民生さん。

 
礼「名古屋、いいですよ」

(´ё ` )「名古屋と言えば何ですか」

礼「名古屋…しゃちほこ?」

(´ё ` )「あぁ、しゃちほこね。しゃちほこ…金?」

礼「…金だね、金」

(´ё ` )「金ね」

礼「うん、金」

(謎の沈黙)

しゃちほこの色→金の流れで謎に微妙な沈黙が流れ、その独特な空気感にまたもや会場からは笑い声が。

 
(´ё ` )「ベース小原礼!!」

(´ё ` )「キーボード斎藤有太!!」

(´ё ` )「斎藤有太はさっき楽屋で名古屋と言えば茶色って言ってました。茶色て。」

有太「茶色。名古屋って茶色の食べ物が多いじゃん。」

(´ё ` )「それ…笑 それ褒めてはないよね笑」

有太「いや茶色の食べ物って美味しいじゃない!!」

(´ё ` )「そんな茶色か?え、例えば?」

有太「ほら、味噌系も茶色でしょ?揚げ物も茶色だし…あと鰻も茶色」

(´ё ` )「あぁ笑…まあそうね、餡掛けとかも茶色だし…というか食べ物って大体茶色なんですよ」


簡単に話をまとめ、平然と元も子もない結論を出す民生さんに会場大爆笑。拍手が沸き起こる。

 
(´ё ` )「いや、拍手とかいらないのよ。別にウケようと思って言ったんじゃないから。なんなの褒められたわけでもないのに。」

 
毒舌を発揮する民生さんにまたもや会場爆笑→拍手。民生さんのツンデレ毒舌に慣れてる観客なので、逆に面白がってどんどん拍手をする笑

 
有太「いや、ほらまだマスクとかしてるから。拍手が皆にできる最大限の肯定なんだよ。ね?(会場に問いかける)」

(会場拍手)

 (´ё ` )「あ、なるほどそういうこと笑 拍手は、馴れ馴れしく話しかけてくる代わりってことね」

メンバーも会場も爆笑。今日も民生さんはキレッキレです笑

 
(´ё ` )「で、(有太さんにとって)名古屋は茶色だと。」

有太「うん」

(´ё ` )「なるほど…(湊さんを見やったあと客席に目を向け)皆この流れが続くと思うでしょ、ここまでです」

 
キッパリと宣言する民生さん笑

 
(´ё ` )「いつもここ2人(礼さん有太さん)までこういう流れで、そのまま続くと思いきや後はサッと行くからね。ドラム湊雅史ー!!」

礼「ターーミオ オクーーダーー!!」

 
本当に流れをぶった斬り、さっさとメンバー紹介を終わらせる民生さん。普通なら驚くことだと思うが、ユニコーンやら民ソロやらで鍛えられた我々はすんなりと流れのまま受け入れる。(おかしい)

 
(´ё ` )「はい。この4人で、何とか最後まで頑張りたいと思います。」

 
4.ライオンはトラより美しい

民生さんのオフマイクでのカウントから始まった「ライオンはトラより美しい」。

 
後半の間奏あたりで礼さん側にスポットが当たったので「なんだ?ベースソロかな?」と思っていると、礼さんが1人で歌い出した。
2フレーズくらい礼さんが歌ったが、高音に比べて聞こえづらい低音キーの曲の上、爆音の演奏にかき消されあまりよく聞こえなかった。
しかしその後、同じキーで民生さんが歌い出すと特に大きい声を出してるわけでもないのにらハッキリと聞き取れたので、やはり民生さんの声質と元々の声量は半端ないのだなと思うなど。

 
最後まで歌い終わり、アウトロに合わせた民生さんのフェイクパート。
こぶしを多用したテクニカルかつ色気のあるフェイクは低音&ボリューム控えめ故に、会場後方だとぼんやりとした音の輪郭しか聞き取れなかったと思う。
しかし我々の席はスピーカーの真ん前。序盤は「耳がやられるー!!」という瞬間も多くあったが、この時ばかりはスピーカーの近くだったことに大感謝。繊細なピッチの変化がクッキリ聞き取れ、歌い方やビブラートの強弱まで感じられてとても贅沢な気分になった。


5.カヌー

歌い出しの民生さんの声が、音源とほぼ変わっておらずとても驚いた。
普段の民生さんの歌声と少し違う、ねっとりとした粘度の高い声。もったりとした耳触りなのにしつこくなく、むしろ独特の中毒性すら感じる不思議な歌声だった。

 
民生さんの曲の中でも、曲調、歌詞共に特に官能的な1曲だが、強烈な色気を感じるというよりは、ひたすらに穏やかで優しく、耳に馴染んで溶け込み、ゆっくりと浸透していくような感覚になった。

 
さざ波のように心地良い音楽に身を任せ、思い思いに身体を揺らす観客達。
静かで神秘的で、時間の流れが緩やかに感じるような、そんな美しい1曲だった。


6. 音のない音

「この曲のイントロは5回に1回しか成功しない」と聞いていたので、さてさて今日はどうでしょうと思っていたところ何の問題もなく成功。今日がその「5回に1回」だったようだ。

 
淡々と奏でられる礼さんのベースの安心感と安定感。MTR&Yがすごい人揃いであることに間違いはないが、中でも礼さんの担う役目は相当大きいと思う。
多少ドラムのリズムが乱れても、礼さんのベースの安定したリズムが全体の支柱となり、軌道修正をしながら別のグルーヴも生む。
優れたプレイヤーは数えきれないほどいるものの、礼さんほど全てに長けた総合的な能力を持つプレイヤーは滅多にいないと思う。本当にすごい人。


MC②

音のない音が終わり、またもや軽くMCに突入。話題はセットのコンセプトについて。

 
(´ё ` )「ラビットツアーとは言うものの…要素がそんなに…あ、セットは月ですけどね」

有太「月だね、綺麗」

(´ё ` )「うん…ていうかさ、そこに月見えるし、向こうに地球あるし。…ここはどこなん?じゃあ。」

有太「月の上でしょ」

(湊さんがドラムセットから立ち上がりフラフラとセットを見て回る)

(´ё ` )「何してるん(湊さんに気付いた民生さん)、何なん急に立ち上がって笑」

 
民生さんの方を振り返り数秒きょとんとした後、オフマイクで言い訳する自由人、湊さん笑

(´ё ` )「…この電球は何なん(連なって飾られてる電球を指差す)、祭り?」

有太「祭りなのかな笑」

(´ё ` )「あ、餅つき?」

有太「ラビットだから?笑」

礼「なんで餅つきなんだろうね(おっとり)」

(´ё ` )「…何言ってんの、(月の)模様でしょ笑」

礼「あ、そうか笑」

 
おっとりのんびり天然発言をする礼さんにクスクスと笑いが漏れる会場と、毒舌ツッコミで行こうと思ったものの会場の和やかな雰囲気に思わずつられフッと笑い声を漏らしながらツッコむ民生さん笑

7.愛のボート

有太「セットもそうだけど、Jさん(舞台監督)が決めてるね」

(´ё ` )「そうね、Jさんが…毎回。いっつも僕らのを決めてくれるんですよ。」

礼「毎日毎日ね」

(´ё ` )「ふっ笑(次の曲への明らかなフリに思わず漏れる笑い声)そう、毎日毎日。毎回毎回。俺だってたまには考えますよ?…でも毎日ではない。毎回毎回、毎日毎日…」

「毎日愛のボートで♪」

 
キーも確認せず、カウントもなく、本当に会話の流れのまま突然始まった「愛のボート」。
こんな入り方だとは知らなかったのでとてもびっくりしたが、何の助走もなくても皆さん完璧に入るあたりやはりプロ。
ユニコーンやRINGSIDEで、阿部ショーから曲に入る度に毎回思っていたことをMTR&Yでも思うことになるとは。


8.マイカントリーロード


暗闇の中、民生さんがハーモニカホルダーをつける。そしてジンジャーエール🍺を飲もうとする。逆じゃないか普通。(やめろ言うんじゃない)

 
当然のようにホルダーに阻まれなかなか飲むことができず、つま先立ちで仰け反りながらホルダーの上から飲むことを試み、今度は屈んで小さくなった状態で下から飲むことを試む。仰け反っても屈んでもホルダーの位置は変わらないのに。(可愛い)
髪の毛がふわふわと動き、ちょこまかと体勢を変えながら悪戦苦闘する民生さんのシルエットがまるで小動物のようだった。(可愛い)

 
(´ё ` )「8本目なのにまだ慣れない…笑」

暗闇の中、苦笑しながら小さく呟く民生さん。(可愛い)

 
曲がスタートし、ギターを弾きながらハーモニカを吹く民生さん。しかし本当にまだ慣れていないようで、ハーモニカを吹く度、両肩を目一杯上げて若干仰け反る体勢に。仰け反っても仰け反らなくてもホルダーの位置は変わらないのに。(可愛い)
とにかく民生さんが可愛すぎる1曲だった。


9.白から黒

民生さんにあまりない、ブルースチックでメロウな楽曲なので、セトリに入ってると聞いて密かに楽しみにしていた曲。

 
何度聞いても民生さんの韻の踏み方が見事で感心するし、こんな言い方をしたら誤解されるかもしれないが、民生さん以外の人が歌ったら途端につまらなくなってしまう曲だと思う。民生さんの良さは沢山あるが、中でも特異なのは「高低差のない一本調子のメロディー且つ淡々としたリズムの曲を歌ってもかっこよくなる」ところだと思う。
民生さん自身が元々持っている身体の中のリズムや、ちょっとした声の抑揚がそうさせるのだと思うが、やろうと思ってできることではないし、それ自体が民生さんの味になっているのだろう。

 
キーボードも曲の大きなカギになっており、ここでは有太さんの音に集中していた。
素人の勝手な印象だが、有太さんは「正統派で真面目、リズム・コード上で規定を守りながらその範囲内で飛び回るテクニカルなプレイヤー」という感じがした。
聴いていて「おっと大丈夫か!?」という瞬間がなく、装飾音というよりは、どちらかというとベースやドラム寄りの、曲の基盤を作る側の演奏をされる方なのだなと勝手に感じた。

 
私の知るキーボーディストと比較しても明確に違いが見て取れて、その時の感情や精神状態がピアノソロに大きく出る阿部さん、ルールは守りつつも「そう来る!?」という意外性のあるアプローチをする奥野さん、基礎をしっかり押さえた上で何でもそつなくこなす安定感抜群の有太さん。
いわば「感覚の阿部、センスの奥野、テクニックの有太」という感じがして、この3人だけでもこんなにハッキリタイプが分かれるなんて面白いなと思った。

 
有太さんのキーボードソロからそのまま長めのアウトロに流れ、4人が顔を見合せて空気を読み合いながら演奏を続ける。
有太さんソロの後、湊さんが締めに入り曲終了。

 
(´ё ` )「斎藤有太ー!!」

会場は拍手に包まれた。

 
 
10.明日はどうだ

白から黒が終わると
(´ё ` )「今のはいいよ、裸電球に合ってた、雰囲気が笑」
と曲前MCの流れを引っ張る民生さん笑

 
その後、ギターをかき鳴らして始まった「明日はどうだ」
去年の中津川ソーラー(フェス)で初めて聴いた曲だったが、その時より何倍もかっこよく感じた。
民生さんの声の調子も良く、「あぁやっぱりこの人歌上手いわ」などと当たり前のことを今さら感じるなど。

 
ラスト「お前の明日はどうだ」のがなりが入った力強く伸びやかな民生さんの歌声と、それを後ろから押し上げる楽器の躍動感と音量。前述の通りスピーカー真ん前の席だったので、その迫力がいっそうよく伝わってきて痺れた。

 

11.KYAISUIYOKUMASTER

出だしからあまりのかっこよさに震えた曲。こちらも去年の中津川で初めて聴いたが、その時の比じゃないレベルでかっこよく感じた。
これは民生さんあるあるだと思うが、最初に聴いたときは「いい曲だな」くらいの印象だったのが、家に帰って音源で聴くうちにどんどん好きになって次のライブでは大興奮レベルのお気に入り曲になることが多々ある。
この曲が正にそれ。

 
いつにも増して力の抜けた気だるげな歌声と吐き捨てるような投げやりの語尾が震えるほど色っぽい。
「ドゥビーヤ ドゥビーヤ♪」の部分(文字にすると途端にダサくなるが)では、いつもの民生さんの歌い方とは程遠い、潰れてしゃがれた低音があまりにもかっこよくて鳥肌が立った。

 
有太さん礼さんのコーラスも素晴らしく、しっかりと民生さんの歌声を引き立たせつつ曲に彩りを加えていた。

 
曲のラスト(民生さんの「すぐ飛んでく」とコーラス「どんどん増える 倍の倍」の掛け合い部分)では、最後の最後に民生さんの見せ場が来ることをわかっていたので、期待もテンションもMAX。観客も次第にノリノリになっていく。
ラストのフレーズが来る瞬間、観客は皆拳を振り上げる。

 
「すぐ飛んでくーーーー」

 
観客の拳と共に、民生さんの超ド迫力高音が大爆音で響き渡る。
世界をひっくり返すように力強く鮮やかな、この日1番の歌声だった。

 
 
12.トリッパー

民生さんによるエレキ1本の弾き語りから始まった「トリッパー」


この時、「やはりバンドにいる民生さんの方が本領を発揮しているんだな」と思った。
というのも、股旅スタイルのアコギ弾き語りだと崩れがちなリズムも、この時は一定のリズムを保ちつつ落ち着いていたし、歌声も余裕たっぷり絶好調だった。
アコギとエレキという違いはあれど、どちらも弾き語りスタイルであることに間違いないのに、完全に1人の状態とバンドの一員として演奏するのとでここまでコンディションが違うのかと驚いたし、やはり民生さんの魅力が存分に出るのはバンドスタイルなのだなと思った。

 

13.フリー

とにかく礼さんがかっこよかった。
イントロのメロディーが曲中にも多用される曲だが、民生さんのギターと礼さんのベースが同じフレーズを弾いている。
民生さんがソロを弾く時は、その特徴的なフレーズをベースである礼さんが1人で担っており、民生さんがソロから戻ってくるとしれっと違うパートを弾き出す礼さん。
さらっとフォローし、リズムが乱れたらそれもさっと修正し、何事もなかったかのように自分のやるべきことを淡々とこなす礼さんがとにかくかっこよかったし、大御所ベーシストとしての器量が存分に感じられた。

 
礼さんの手元がよく見える&スピーカー真ん前席で、礼さんがどれほど難しく複雑なメロディーを演奏しているのかよくわかったし、この曲では何度も礼さんの方に目が持っていかれ、民生さんがどう動いていたのかあまり記憶にない(おい)。
それほど礼さんのベースが凄まじくかっこよかった。

 
 
14.イナビカリ

こちらも中津川で初めて聴いた後、家に帰り改めて音源を聴いたらドハマリした曲。
ギターが入る前、シンセからリズムが流れ出した時点で大興奮。

 
民生さんもノリノリで、演奏しながらお尻をふりふり。
礼さん有太さんのハモリも素晴らしく、観客も皆ノリながら演奏を聴く。

 
ギターソロで前に出てきた民生さん。原曲音源通りのギターソロを披露し、足早にマイク位置まで戻る。
私もノリノリすぎてほぼ覚えていないのだが(おい)、とにかくかっこよかったし楽しかった。(何のレポにもなってない)


 
15.手紙

「フリー」が演奏された時点でセトリAであることが決定したので「手紙が聴ける!!」と楽しみにしていた。

 
民生さんがギターをかき鳴らした瞬間、息を飲んだ。手紙が来るとわかっていても、あのイントロを聴くと何だか無意識に呼吸を止めてしまう。

 
「朝顔のような 百合のような 菫のような」

 
民生さんが歌い出した瞬間、前に何かの番組でPUFFYが「手紙を歌ってる民生さんは強烈にかっこいい。いつもの民生さんと違う人みたい。なんなんだろう、他の人じゃダメなんだよな。」と言っていたのを思い出した。 

 
この曲をこんなにかっこよく歌える人がどれだけいるだろうか。
細かく複雑なメロディじゃなくても、リズムの早い派手な曲じゃなくても、こんなにかっこいい。これこそが奥田民生の真髄だ。
こんな曲を、本当の意味で「難しい曲」というのではないだろうか。

 
この曲ばかりは、周りなど一切目に入らず、民生さんだけを凝視していた。その歌声に、歌詞に集中しようと、全神経を民生さんに向ける。

 
ライブ前に一緒に話していた子がセトリを知らない状態で「手紙とか好き」と言っていたのを思い出し、「今頃大興奮してるだろうな」とふんわり思いながら、私もその演奏に耳を傾けた。

 
 
16.御免ライダー

手紙の演奏を締めず、そのままの流れで突入した「御免ライダー」
この曲も去年の中津川帰りで改めてドハマリし、今では民生さんソロの中でも5本の指に入るくらいには好きな曲となっていた。
イントロから、視界がぐらぐら揺れて定まらないほどにノリまくり大興奮。

 
観客も皆手を上げ、「ローリン ローリン」の度に指をぐるぐると上で回す。私は去年この曲を知らなかったために中津川で1人取り残され、それが本当に心残りだったので、今回は取り残されまいと率先して手を振り上げた。

 
(´ё ` )「ローリンローリン のっうり(脳裏)に♪」

観客が一気にノリノリになったのを見て民生さんもお尻を振りながら少し歌詞のリズムを変えて歌う。

 
去年の後悔を晴らすべく率先して動いた結果、ひとつのジェスチャーも取り零すことなくコンプリートし大満足の私。
この曲が本当に大好きで、何なら全曲「御免ライダー」のライブをやってほしいくらい。(やりすぎ)

 
曲をやり終わると客席に手を振り、さっきまで使っていたピックを投げる。
メンバーが皆ステージから捌け、本編が終了。


encore

17.さすらい

暗闇に鳴り響くアンコールの拍手の中、2人の人影が上手から登場。普通にスタッフさんかと思っていたらまさかの湊さん&民生さん。
気付いた前方エリアの観客が立ち上がると照明が点く。

 
(´ё ` )「ここ(ステージセンター)まで出てきても気付かれない。拍手しながらどこ見てんだ、とっくに出てきてるのに笑」

 
ツアーTを着ていてわかりづらかった&下手に捌けて行ったのに上手から登場した、の二つの理由によりしばらくお二人に気が付かなかった観客にツッコむ民生さんと爆笑の会場。

 
(´ё ` )「今日はどうもありがとうございました、こんなに沢山。」

ぐるりと会場を見渡し、そう静かに言う民生さん。平日ということもあり、いつもより空席が目立つ会場だったにもかかわらず、そんな状況を加味した上で決して嫌味ではなく心から素直に「ありがとうございました」と言ってくださる民生さんの人としての温かさに、心がじんわりと熱くなった。

 
(´ё ` )「…これいっつもカウント待っちゃうんだよな、俺からなのに。…1、2、3、4!!」

 
そうして始まった「さすらい」
お世辞抜きで、今まで生で聴いたどのさすらいよりも素晴らしかった。この日1番感動したのがこの曲。
出だしから、民生さんのハリのある伸びやかな歌声と、礼さん有太さんの美しいハモリがバッチリ決まり、今まで何度も聴いてるはずなのに「あぁ、さすらいだ…」という謎の感動すらあった。

 
民生さんの喉の調子も好調な日ではあったものの、かなりの曲数を1人で歌い、御免ライダーあたりで「だいぶ消耗してるな、そりゃ疲れるよな」と思っていたら、ほんのちょっとの休憩を挟んだだけのアンコール1発目でライブ序盤をも超す勢いの絶好調な歌声。
何なんだこの人、すごすぎる。

 
この日のどの曲より伸びやかで安定しており、一生聴いていたいくらい心地良い歌声と演奏。

 
2番のサビで
(´ё ` )「名古屋ーー!!」
と客席に歌うことを促し、マイクから口を離す民生さん。


「さすらいの道の途中で会いたくなったら歌うよ 昔の歌を」

 
ここぞとばかりに皆歌い出す。爆音の演奏の中でも、空席が多くても、それでも客席からの歌声が束となって聴こえてきた。

 
(´ё ` )「ありがとう名古屋ーー!!」

 
頷きながらその言葉を言ってくれた民生さん。一体感を感じることができて嬉しかったし、今まで聴いたさすらいの中で1番良い演奏の一部を歌えたという事実がとても誇らしかった。

「どうなった」のコーラスも礼さん有太さんプラス客席で歌い、アウトロではステージ中央あたりに民生さんが出てきて、上手を手で指し、次に下手を指し、両手の親指を立てて満足そうにグッドポーズをしてくれて本当に嬉しかった。


18.快楽ギター

始まる前に、それぞれギターやらベースやらドラムやらのサウンドチェックやチューニングをしていると、流れでDeep Purpleの「Smoke On The Water」の出だしを演奏し始める。

 
(´ё ` )「…笑 古いって笑笑」

 
苦笑しながら小さく突っ込んだ後、今度はLed Zeppelinの「Out on the Tiles」を演奏し、民生さんが冒頭部分を歌い出す。
かなり高いキーなのに、以前見た同じ曲をMTR&Yでカバーした昔の映像と全く変わらない歌声で本当に驚いた。ピッチも完璧。
既に17曲歌った人とは思えない。

 
そして「快楽ギター」に突入。イントロから観客もノリノリでもちろん私も御免ライダーの時レベルにはしゃぎまくっていた。

 
民生さんもノリノリで、礼さんに近付きながらピョンピョン軽くジャンプする。

 最後の最後、

結局俺は ギターを弾くんだ♪
今晩やるから♪

 
『震えて待ってろ名古屋あぁぁぁー!!!』

 
一番最後の歌詞を歌わず、そう雄叫びを上げた民生さん。観客も反射的に手を振り上げる。あまりにもかっこよくて卒倒しそうだった。



そうして最後の曲を終え、捌ける前にピックを全て集め、四方八方に投げまくる民生さん。上手までしっかり来てくれ、近くで民生さんの姿を見ることができた。


ライブ後、会場を出るまでは「かっこよかった、楽しかった!」などとニコニコ話せていたのだが、ホールから出た瞬間、突如心臓がバクバクして何も考えられない放心状態になった。
まるで事故に合ったような。車がぶつかってきたその瞬間は何も痛くないのに、時間が経って落ち着くと急に激痛が走る。そんな感覚と似ていると思う。

 
ライブ直後の興奮して麻痺した頭が落ち着くと、途端に魂が抜けたような放心状態になり、遅れてジワジワ余韻と震えがやってくる。
ここ最近色々なライブに行っているが、こんな体験は初めてだった。


 
レポを書いてる今現在は3月2日。明日の3日は静岡公演、私もまた現地に行く予定だ。とにかく楽しみ。
まとめが面倒臭いので(ハッキリ言うな)この辺にしておく。
またライブレポ静岡編で…!!!


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