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小説『流星ワゴン』 あらすじと感想

ずっこけたら、パラレルワールドにいた…、みたいにならないかなーって考えてます。
どうも皆さんこんばんは。

今回の小説は、重松清さんの『流星ワゴン』です。

~あらすじ~

仕事はリストラ、妻からは離婚、子供は受験失敗で引きこもり。
この絶望的状況に、永田一雄は、”死んじゃってもいいかなあ、もう…”と考える。
そんな彼の前に停まったのは、5年前に交通事故で死亡した高橋親子を乗せた不思議なワゴン。そのワゴンは時空を超えて、一雄を、人生の岐路となった大切な場所に連れ戻す。

果たして、一雄はやり直しを、叶えられるのか?

~感想~

本書を、大きく2つのテーマに分けて感想を述べていきます。
1つ目は、”父と息子の関係性”です。

親子関係って難しいですよね。

本書を通して実感したのは、

親子は、この世で最大の愛を与えられる関係性であると同時に、
最大の”圧”をかけられる存在でもある。
その”圧”は、お互い無意識に、気付かないうちに。

また、何気ない日常の中で、
親の考えは、子供の脳にじっくりと確実に、染み込んでいく。

私の人生は、私だけのもの。そう割り切っても、親子関係だけは、簡単に切り離して考えられないからこそ、難しい人生の課題になっていくのだと感じました。

ちなみに私の母は、これらのことを意識してか、
「必ずわたしたち親と、一定の距離を保ちなさい。(もちろん寂しいけど)」と、背中を押してくれます。

これは一つの考え。

私自身、親子がずっと近くで過ごしていくことの難しさを目の当たりにしているからこそ、このあり方に深く疑問を持っていません。

でも、ずっと近くで、お互い幸せに生きれるのならば、それもきっと一つの幸せ。
様々な関係性がある。
私と親の関係性が正解だったかどうかは、人生の終わりにしかわからないことです。

みなさんは、家族と接するうえで、なにか指針となるものはありますか?

本書は、家族との向き合い方や生死について考えるきっかけを与えてくれる物語です。

二つ目のテーマは、過去・今・未来という”時間軸”です。

不思議なワゴンに乗って過去へ戻ることで、本当の父の思いや、息子の思いを知ることになります。
これは幸せなことなのでしょうか?
過去に戻った時、それは同時に、未来の結末も知っている状態であることを意味します。

一雄のセリフにこんなものがあります。

”やっとわかった。信じることや夢見ることは、未来を待っているひとだけの特権だった。信じていたものに裏切られたり、夢が破れたりすることすら、未来を断ち切られたひとから見れば、それは間違いなく幸福なのだった。”

私は、今まで触れたことのない、
「未来を知ることの残酷すぎる代償や痛み」
に触れた気がして、独特の苦みを感じました。
私にとっては新鮮な感覚であり、今でもこの部分を読むのが好きです。

”預言者の中に、幸せな人生を送った人など、いただろうかー?”

歴史的に有名な予言から、たびたびSNSで話題になる”20××年の予言”。
内容ばかりに目が行きがちですが、預言者本人にも興味を持ってみたいと思えました。

~まとめ~

本書は、「時空を超える」という非現実的な要素を含みますが、出てくる登場人物も、直面する人生の壁も、どれも現実世界にリンクするリアルなもので、SF小説という感じがあまりしません。

また、父親・息子視点で描かれる物語ですが、まったく同じ世界を、妻目線で描いたら、これまた違った面白い物語が生まれるんだろうなと想像しました。

主人公一雄の人生には、これから、多くの困難と数え切れない課題が降りかかってきます。
それでも、かすかな希望を示唆して、幕を閉じるこの物語は、あなたの日常にも、新しい光を照らすかもしれません。

『流星ワゴン』

私のYouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UChvSyBXzwECdsBRQn3UAOHQ


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