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昇給と昇進、幸せなのはどっち?

人は、どんな時に幸せを感じるのか。そもそも、幸せってなんだ?…
こういったことを考え始めると、底のない沼にはまった感覚になりますね。まあ、当たり前ですが、一つの正しい答えがあるわけではないので。

でも、そんな問いに対して、現実世界のあらゆる事象やデータから、一つの論理的な考え方を示そうとしてくれているのが、経済学なのかなぁ、なんて考えています。


では、そんな”幸福”について面白い論文があったので、ご紹介しますね。

『Happiness adaptation to income and to status in an individual panel』

この論文のタイトルを直訳すると、
「個人における、所得と地位への幸福度の適応」となります。
うん…は?って感じですよね。

言い換えると、人の幸福度は、どれくらいで所得や地位に慣れてしまうのか?というのを調べたものです。

例えば、時給1000円から1100円に上がった直後は、とても嬉しく感じますが、時間が経てば、1100円が当たり前になり、かつての嬉しさは、どこかへ忘れてしまうといった感じです。

では、その嬉しさ=”幸福度”の持続性は、お金とステータス、どちらのほうが、長期的に効果があるのか見ていきましょう。

結論から言うと、

「給料の増加による幸福度の高まりは短期的(1年)だが、昇進による幸福度の高まりは長期的(5年)」という結果になりました。

ちなみに、この研究は、1984年から2000年の間にドイツに住む世帯(7812)から得られた幸福に関する個人レベルのパネルデータを使用しています。
同じような研究で、日本版ないかな~、気になるな~。
(個人的には、同じような結果が出るのかな、と考えています)

この研究が示すのは、幸福に関して、収入は「一過性」の要素が大きいのに比べ、ステータスはより「永続的」な効果があるということです。


自分のポジションに肩書がついたり、責任が増したりすることは、(大変なこともありますが、)自分の存在意義や、仕事の意義がはっきりと見いだされ、モチベーションにつながっていくのかなと思います。

いわゆる”やりがい”を持つことの効果を、現実のデータから示した経済論文なのだと感じました。
ただ、結局、ステータスへの幸福感にも期限があることが示されたようなもので、自分の内側や日常で、ふと幸せを感じられることが、最強だなと改めて思いました。

実は、この話にはいろいろと続きがあります。
(職業柄によっては、収入の効果がより持続的だったり…)
詳しくは、続編をご覧くださいませ!

みなさんは似たような経験ありますか?

参考文献
論文
https://www.nber.org/system/files/working_papers/w13159/w13159.pdf

『幸福の経済学』
https://amzn.to/3yX8mym

私のYouTubeチャンネルでは、行動経済学に関する”世界一眠たくなる授業”を開講しています。気になる方はぜひ。https://www.youtube.com/channel/UChvSyBXzwECdsBRQn3UAOHQ


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