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『BUTTER』柚木麻子 あらすじと感想

以前、YouTubeで、柚木麻子さんの『けむたい後輩』という本をご紹介しました。
https://youtu.be/n6X5GRmEdmU

今回は、『Butter』という小説をご紹介します。
柚木麻子さんが描く、人間の何気ない行動に潜む裏の心理といいますか、卑しい心情の描写は、いつも胸に鋭く刺さります。

~あらすじ~

男たちから多額の金銭を受け取ったうえ、殺害したとして拘留中の梶井真奈子。週刊誌記者の里佳は、彼女との面会にこぎつける。独占インタビューを完成させるため、里佳は、彼女の言葉に従い、あらゆる場面で”BUTTER”を味わう。
欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌していく。果たして、里佳は、梶井のどのような真実を知り、どのような運命を選択するのか―。

~感想~
女性は、男性より一歩下がるべき、献身的にサポートする役割を担うべき…

こういった風潮を批判する記事やコメントは、正直、今の時代ありふれていますよね。(良い意味でも悪い意味でも)

「どうしても、許せないものが二つだけある。フェミニストとマーガリンです」

こんな梶井の言葉で始まり、里佳が翻弄されていくこの物語は、どこかのコメンテーターが発言していそうなコメントより、さらにもう一歩踏み込んだ社会派長編小説です。

結局、男性も女性も、社会にはびこる”こうあるべき”という、なにかしらのプレッシャーにさらされているのだと感じました。

こりゃ、生きていれば、家庭でも職場でも学校でも、「ああ、なんか疲れた、息苦しいな」と感じることは当たり前なわけで…。

そんなとき、ふと、逃げる場所があるのかどうかで、大きく運命が変わることもあると実感しました。

里佳が、親友・恋人、そして梶井本人と、真正面からぶつかり、それぞれの孤独に触れたからこそ、大切なことに気づけたのだと思います。

梶井は、都合のいいように、相手をコントロールしようとします。
”自分の崇拝者がほしい”と断言するほどです。

しかし、これは、決して梶井が”強者”なのではなく、他者と対等に、真正面から向き合うことを恐れているがゆえの行動なのだと思いました。

人と、真剣に向き合うことって怖いですよね。嫌われたらどうしよう、って思っちゃいますもん。
でも、自分が今、”怖い”って思う部分を、避け続けている以上、ずっと孤独なんだろうな、と気づかされました。

梶井は、ちょっと世間からずれているような女性として見られがちですが、私たちもどこか同じ一面を持つ、似たような人間なのかもしれないと感じました。

本を手に入れて読んでみたい方は、こちらからどうぞ(´▽`*)
https://amzn.to/3EqykLQ


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