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初めての推理小説 「沈黙のラプソディ」

推理小説を読めるようになったら大人。

推理小説って、倫理的な物事で筋道立てて考えられる人が読める本。

そんな小難しいイメージを持ってました。


でも、きれいな本の表紙を見て読んでみようと手に取ったこの本。

「沈黙の狂詩曲」は、さまざまな有名推理小説家さんの作品が収録されています。


裏表紙には「小説を読めないでいるあなた。ミステリーに手を伸ばせないでいるあなた。この本が楽園の入り口です。小説を好きになったあなた。ミステリーにハマってしまったというあなた。この本で世界は広がります。小説は読み飽きたというあなた。ミステリーは読み尽くしたというあなた。この本は次のステージです。我が国のエンタテインメント小説の精華集を、思う存分味わってください。」

と、日本推理作家協会代表理事の京極夏彦さんのメッセージ付きでした。


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ここからは、ネタバレ含みますので、ご注意ください!

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【三月四日、午後2時半の密室 (青崎有吾さん)】

同級生の2人の話。この本の一番最初のミステリー物語です。

名探偵コナンのように、まず誰かが亡くなって犯人を突き止めなきゃいけないから、どっちが犯人かな。と怪しいところはないか探し始めます。

でも、いくらたってもただ関係の気まずいクラスメイトの話で、青春の話。あれ?どっちもなくならず、他の誰かが登場するのかなと考えているうちに物語は終わり。

え?

一作品見終わって思ったこと、、

あ。推理小説(ミステリー小説)って、不可解なことがあればミステリー小説なんだ。

私が思っていたような、誰かが亡くなって、その犯人探しをして。

っていうものではありませんでした(笑)

なーんだ。小難しく考える必要ないじゃん。

そこからは、小説家さんごとにさまざまな色の出た作品で読む手が進みました。


【奇術師の鏡 (秋吉理香子さん)】

傷病兵は、孤児と出会い願いが叶う鏡を手にします。ちょっとファンタジーちっくだな〜と思いましたが、人外の力を手にどう動くか気になって読み進めていきました。結局いい話で、よかったです。

「暗黒女子」という作品を皮切りに、数々のイヤミス作品を生み出して、今やイヤミス界の女王の地位を確立しつつある方だそうです。

ちなみにイヤミスとは、「読後、イヤな気持ちになるミステリー」のこと。後味が悪く、裏切られた気持ちになるのに読者を惹きつける魅力があるそうです。

イヤミスといえば、湊かなえさん。この方の作品もいつか読んでみたいです。


【竹迷宮 (有栖川有栖さん)】

私でも聞いたことのある小説家さんでした。やっと作品を知れて良かったです。不思議な世界観で、まるで映像の中に入り込めたような感覚。こう言ったものをストーリーとして文字に表すことができるのは、やはりこれを生業にしている人だな。と感じました。

この方の世界観は、他にどんなものがあるんだろう。とすごい興味を持ちました。

調べると、有栖川有栖さんはロジカルな本格ミステリー作家の代表として真っ先に名が上がるほどの方なんだそうです。他の作品もどんどん読んでいきたいです。


【銀の指輪 (石持浅海さん)】

結婚している男性が、妻以外の女性と出会うときに”普段しない指輪”をはめるのか。不倫しているなら、普段しているから外すということに違和感は感じませんが、普段していない。全然答えが出てこないで、最後の最後答えがわかってすごい。面白い!って感じました。石持浅海さんの他作品も、また読んでみたいですね。


【妻の忘れ物 (乾流花さん)】

日常生活で、わかりづらい言葉を使う人だったり
その人からすると当然の言葉でも、他の人からすると全く違うように捉えられてします時もある。それを話す本人の生活だったり思いの背景がなんなのかを推理して、解決した忘れ物センターで働く人たちの考えや想いがわかる逸品作品。面白かったです。


【事件をめぐる三つの対話 (大山誠一郎さん)】

真犯人を追い詰めるため、一芝居打つ捜査員。読み手のこちら側の感情が知らないうちに落ち込んで、驚いて、ホッとしてました。本当に、読み終えるまであっという間で面白かったです。


【上代礼司は鈴の音を胸に抱く (織守きょうやさん)】

弁護士物。遺産相続の相談をきっかけに弁護士が相談者家族たちのために奮闘する物語。遺産相続って、”争族”にもなりえるな〜とぼんやり思いながら読み進めたりしてたので、勉強しないとなと思ったり、弁護士の仕事はここまで。と線引きしなくちゃいけない所もあって大変なんだろうな〜と思ったりしました。

まぁ、そんなことはこの作品には関係ないんですが、物語の最後が、え、そうなの!?と面白い着地でした。


【署長・田中健一の執念 (川崎草志さん)】

署長・田中健一の知らないうちに、犯人逮捕。偶然と周囲の勘違いから、見事難事件を解決してしまうことに。そんなことある!?って思うような、コメディとは違う気もしますが、面白かったです。


【不屈 (今野敏さん)】

日本の刑事世界の物語。先輩刑事に与せずに、自分の意見を曲げない。いつもはただ怒られるだけの人でも、自分が信じたらそれを貫く強さを持っている人は、もちろん中には一向に認めようとしない人もいたりもしますが他から尊敬されたりするんだな。と推理小説ですが、その中でも人間性というか道徳性というのを考える作品でした。


【などらきの首 (澤村伊智さん)】

ホラー、ミステリー、ホラーといった感じの作品。

夜に読むと、一人でおトイレ行けなくなりますよ。。。。危険です。笑


【迷蝶 (柴田よしきさん)】

老年に差し掛かった2人の男性が、蝶の撮影という趣味を通じて「偶然」出会います。しかし、実は過去にあったことがあったのです。

二人の過去が明らかになり、なるほどそうか。愛するものが蝶になって助けてくれたのかわかりません。心の揺らぎと、そこから実際に行動にしていたらどうなっていたのか考えるきっかけになります。


【蟻塚 (真藤順丈さん)】

2人のパトロール警官の物語。最後、結局どうなったの?たぶんなくなったんだよね…?と聞きたいです。蟻塚は、「夜の淵をひと廻り」という本の数ページ取ったものですので、「夜の淵をひと廻り」を次はしっかり読んでみたいですね。


【美しき余命 (似鳥鶏さん)】

家族をもらい事故で亡くし、自分も難病を発病してしまいます。引き取ってくれた家族は、大切な我が子同然の扱いをしてくれますがある事件をきっかけに豹変します。

メディアの、そしてその引き取った家族も汚い。でもそれが現実としてあります。人間の汚いところが現れていて、悲しいストーリーですが面白かったです。


【三角文書 (葉真中顕さん)】

将棋と囲碁がテーマの「謎々将棋 囲碁」に収録されたSFパロディです。将棋の棋譜の正体を、研究者が突き止めようとします。”ヒフミーン”や”バーヴ博士”など実在する将棋棋士を想起させる人物が登場して棋譜をめぐる珍解釈の果てに「神」の存在を問う文明論が展開されます。


【ホテル・アールポート (宮内悠介さん)】

宇宙エレベーターが設置されたインド洋の小島が舞台です。寂れたホテルで起きた密室殺人は、寂寞とした雰囲気で面白いです。



*最後に*

沈黙の狂詩曲(ラプソディ)の狂詩曲とは、叙事的、英雄的、民族的な色彩を持とう自由奔放でファンタジックな楽曲を指すといいます。お好きなページを開き、15人のそれぞれの音楽を奏でる作家さんを訪ねてみてください。
















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