見出し画像

50日目 君の名は 4/5点

花の苗を買った。ツイッターのお友達の間でタイムラインに花を咲かせようという話になったからだ。自分のことも覚束ないのに、いや、覚束ないからこそ何かを育てるのはとても良いことだ、と思い、花屋に向った。花屋さんとはまるで縁のない人生を送ってきた勝手の分からぬ門外漢であるからして、野球部の一年のような心持ちでオッスオッスと、花屋の店先に並んだ、いろんな花を見ていた。人それぞれ好みはあるけど、どれもみんな綺麗だね。

どうも花屋というのは生花を扱うことが主な業務のようで、苗があまり置いておらずまいってしまった。即戦力が求められる時代の余波は場末の花屋にまで及んでおり、大企業の採用担当宜しく、圧迫面接。ウチではもう伸び代のない人を雇うほどの余裕は無いですから、と粘ついた表情でパワハラ。軒先の端の、陽のよく当たるところに少しだけ苗が置いてあったので路上でジロジロと眺めていた。おれは見るからにガーデニングとは無縁、という風体なので、道行く人に野菜と勘違いしているのだろうか?今晩炒めて食べるのだろうか?と思われたに違いない。

スマートホンがあれば、インターネット上の知識にノータイムでアクセスできる。おしえて検索。土の質だとか越年草だとか、植物を育てるのにも色々な知識が必要なようだ。初心者向けで、多少トンチンカンなことをしても枯れないものがよい。自分があまり知識のない分野においては、とにかく謙虚な姿勢が肝要である。きっと水のやりすぎとか、土があっていないとか、間違いをしてしまう。シオシオになってしまった苗を見たとき、自分の愚かさで「ぴえん」となってしまうだろう。失敗しない、後悔しない、人生がいいな。

究極体になったすがたを画像検索で見比べ、ままよっ、と真っ赤な花を咲かせるものを購入した。カリブラコア、お前さんこの辺じゃ聞かねぇ名前だな。今日花屋に来なければ、深夜の通販で猛烈にセールスされている訳の分からないダイエット器具?もしくはラスボスの弱点?と思ったまま人生を終えたに違いない。南米原産のペチュニアの近縁種、暑さや寒さに強くて綺麗な花をたくさん付けるらしい。道端の植物はすべて、「これは草だ。」と思ってしまうような文化性の欠けた蛮族なので80円とその草を交換した時、(小さい命だが生殺与奪の権利は今おれに移った、責任をもって育てなくちゃな)と奮い立った。

明日は植え替えをして、きちんと根を下ろしてあげようと思う。ベランダにガーデニングスペースという程ではないが、もうかれこれ10年近い付き合いになるサボテンがいる。彼ら、彼女らは仲良くやっていけるだろうか。空いている鉢があるのだが、そのサボテンが吹いた芽の処理施設になっていて、スラムのごろつきのようなサボテンが大暴れしている。吹いた芽もまた命、と思って全部植えていたからだ。おれのような人間がきっとワンちゃんや猫ちゃんの多頭飼育崩壊を起こすのだろう。どないかしたらんと、あかんな。

きちんと育てて真っ赤な花が咲いた時、おれは何を感じるのだろうか?今よりも少しは自分のことを好きになれるだろうか?期待と不安が入り混じった気持ちがしばらく続くだろう。よろしければ皆さんも応援お願いいたします。あと、どなたか一緒に花を育ててみませんか。もしおれと一緒にガーデニングに挑戦したい方がおられましたら、是非ご報告ください。

それでは最後まで読んで頂いた方はありがとうございました。さようなら。

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?