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見逃したらもったいないと思う、ゲルハルト・リヒター展

国立近代美術館で開催中の「ゲルハルト・リヒター展」を見に行きました。
ドイツが生んだ現代アートの巨匠、ゲルハルトリヒターの生誕90年、画業60年、日本では16年ぶり、東京では初めての美術館での個展という事で、話題の展示会です。
タイトル写真の「モーターボートに乗っている人の写真のように見える絵」は、写真をプロジェクターでキャンバスに写して描いたもの。フォト・ペインティングと言われています。
カメラを介する事で画家が構図など主体的な判断を回避する、しかし表面を削ることによってピンボケ写真のようになっています。よく見ると写真ではないことが分かります。

デザインや絵画、写真に興味がある方は、良い刺激を貰える展示会だと思います。

こちらのYouTubeに今回の展示会の様子と、作品が紹介されています。



今回注目されているのは、「ビルケナウ」と題された4点からなる絵画作品です。
抽象画なのですが、これらの絵画の下層にはアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で密かに取られた4枚の写真イメージが描かれています。しかし塗り込められているのでその写真イメージは分かりません。

幅2m、高さ2.6mの作品の大きさは、実際に生で見てみると迫力があります。

この展示室内に展示されているイメージの複製写真を手がかりに、見えないイメージを想像するように迫られる作品です。しかも展示室には鏡が…
リヒターは、油彩画、写真、デジタルプリント、ガラス、鏡など様々な素材を使用して、具象表現や抽象表現を行き来しながら、人がものを見て認識する原理自体を表すことに取り組んできました。

今回の展示に際して、ご本人が展示室の模型をもとに展示の構成を作られたのだとか。
90歳という年齢を考えると、ご本人が練られた構成の個展を東京で見る機会はこれが最後ではないでしょうか。



「8枚のガラス」と題された作品。

↑の動画に横から8枚のガラスが並んでいるところが映っています。
あえてガラスの向こうの世界を撮ってみました。


ガラスや鏡といったマテリアルがよく登場します。
そして、「グレー」
キャンバスを灰色の絵具で塗り込める「グレイ・ペインティング」と呼ばれるシリーズ。
リヒターは灰色について「無を示すのに最適」と語っているそうです。
その灰色を筆跡がくっきり絵具の厚みも分かるように塗り込めているもの、はたまたローラーを使っているものなどなど、様々な素材、様々な手法で塗り込めています。

見ていて頭の中がぐるぐるしてきたら、一休みしに、こちらの美術館の
「眺めの良い部屋」へ。お気に入りのスポットです。

しばらく青空とお堀をぼんやり眺めて頭を整理。



企画展のゲルハルトリヒター展の会場を出ても油断してはなりません。2階の展示コーナーにもゲルハルトリヒターの展示はあるのです。お忘れなく!

今回の展示は客層もタトゥーを入れていたり、髪が緑だったり、若い方が多くて面白かったです。

国立近代美術館では、撮影がNGのものには撮影禁止のマークがついています。
それ以外のものは撮影しても良いようです。

常設展では、こちらのウォールドローイングが気になりました。



吹き抜けになっている壁に描かれたウォールドローイング。
メイキングのビデオが流れているのでそちらと合わせて見るとさらに面白いです。


東京国立近代美術館は、地下鉄竹橋駅を出てすぐです。
ですが、今回は東京駅からこちら方面へしばらく歩いていないことを思い出し、日本の顔とも言える丸の内界隈は建て替えが進んで、少し見ないうちに変わっているよね?と東京駅まで歩いてみることにしました。

こちらは国立近代美術のお隣。
変わらない毎日新聞社。夏空の青に白が映えます。

展示会で刺激されたので、視点を変えて撮ってみました。
(iPhoneだけど)

丸の内は、地下道を歩くことが多く、地上を歩くのは久しぶりでした。
新鮮な気持ちで改めてビルを眺めてパチリ。

新しくできたビルに、いろいろなお店が入っていました。美味しそうなお店もあったので、次回立ち寄ってみようと思います。


ゲルハルト・リヒター展
東京国立近代美術館 2022.06.07 - 10.02

なお、東京国立近代美術館で開催されたのち、豊田市美術館へ巡回予定だそうです。






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