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「働かないおじさん」と、「一緒に働きたい60代社員」


今週、職場で大きなトラブルがあり、「あぁ、この人が一緒に仕事してくれていて良かった!」と思う事がありました。
その方は、大ベテランの先輩で、定年を過ぎて嘱託として働かれています。
百戦錬磨の豊富な経験と知識で、大きな問題の中でも安心して仕事を任せる事ができる便りになる方です。その方がピンチの時に大活躍!本当に助かりました。

ちょうどそこへ、こんなテーマの募集が目に入りました。

「一緒に働きたい60代社員とは?」→

#日経COMEMO #一緒に働きたい60代社員とは


こんな質問が出るということは、「一緒に働きたくない60代」がいるということ。

では、一緒に働きたくない人ってどんな人なのか?

あなたには心当たりがありますか?

そこで思い出したのが、「働かないおじさん」

長年働いているけど、給料に見合う仕事をしていない中高年…のことのようです。

あなたの職場にいますか?

無駄に年だけとっている。もしくは、大した成果もないのに、給料が高い。

テレワークになってさらに顕在化…というか、テレワークだと仕事の様子がメールや報告書でしか確認できないから、そこに名前があがってこないと、仕事をしてるのか?いや、そもそもいるのかいないのか確認できないから「妖精さん」などと呼ばれるようにすらなっているようです。(だから、顕在化、というよりむしろ潜伏、潜在化?というべきか?)


今までは、仕事の質や量はともかく、とりあえず会社に顔を出してさえいればよかったのですが、それがリモートで、仕事量と存在感のアンマッチという「不都合な現実」が炙り出されてきた。

それでは、なぜ、「働かないおじさん」がいるのか?

それは、日本では「就職」ではなく「就社」であると言われるように、仕事内容が決まっているのではなく、会社の都合に合わせて仕事内容が変わっていく雇用の形が影響していると思われます。ある一定の年になると、ピラミッドの上へいけなくなって、あぶれた人があちこちの部署へ異動して、スキルや専門性がつかないまま、しかし年功序列の仕組みで収入だけはあまり下がらないまま、仕事と収入がアンマッチになってしまう…ということのようです。


よく、アリの巣を分析すると、働きアリのうち、2割働かないアリができてしまう、と言います。その2割を取り除くと、また残ったアリのうちの2割が働かないアリになってしまうそうです。

以前は「働かないおじさん」は、特定個人の問題だと思って、腹を立てたり、その人のことを「どっか行っちゃえ!」と思ったりしていましたが、段々、これは仕組みのせいではないだろうか、と考えるようになってきました。

なぜなら、その個人がいなくなっても、その後、働きアリと同じく、また別の

「働かないおじさん」が再生産されてしまうからです。


そうこうしている間に、今度は別の問題が出てきました。

定年を過ぎて嘱託になると、収入がガクッと下がり、途端に、合わせてモチベーションもガクッと下がってしまう、「どうせ嘱託だもんねおじさん」が発生するようになってきたのです。

確かに、定年になってもそれまでの仕事の延長で意識が変わっていないのに、収入が下がってしまい、それがまるで自分の評価まで下がったかのように受け止めてしまう人、もしくは部門が変わってそれまで「人」の繋がりで仕事を回していたのが、それほど親しい人がいない部門に配置されて上手く機能しなくなった人、いろいろ事情が異なりますが、一緒に働く若手にとっては少々煙たい存在となっているようです。

定年は60歳から65歳へ、そのうち70歳へと伸びています。ですが、会社にいると55歳あたりで役職定年を迎え、そのあとは関連会社へ出向したり、現場へ行ったり、という流れは以前と変わっていません。

終身雇用制にあぐらをかいて、自分の市場価値を高める努力をしてこなかった本人たちの自業自得だ、と言ってしまえばそれまでなのかもしれません。

ですが、私は、自分たちの進む道の先をゆく先輩の背中がそんなことでは、誰も将来に夢を描けなくなってしまうのではないか、と思います。

アン・ハサウェイとロバートデニーロが出演したハリウッド映画に

「マイ・インターン」

というのがあります。2015年公開の作品です。

この「インターン」は、70歳。

定年で引退後、奥さんを亡くし、いろいろな趣味をやったり世界旅行をしたりしてみたけれど、何か虚しさを感じてもう一度働くことにした70歳の男性ベン(ロバートデニーロ)とECサイトを立ち上げた若き女性社長ジュールズ(アン・ハサウェイ)の話です。

ロバートデニーロ演じるベンが、豊富な人生経験で、気遣いやアドバイスをして、いろいろなトラブルに遭遇するジュールズを支えるコメディタッチの作品です。まぁロバートデニーロが演じているので、ちょっと素敵過ぎて、こんな素敵なシニアインターンいないよと突っ込みたくなる気もしますが、歳を取るのも悪くないな、前向きに頑張ろうと思えるような内容になっています。

今週私が先輩社員に感じた、ベテランの頼もしさはこの映画のベンを見ているようでした。

ベテラン社員が持っている長年積み上げたリソース。それを十分に活用できる「場」があれば活躍するチャンスはたくさんあるのではないでしょうか。

人を一から育てるコストを考えたら、歳をとっていく中で、その人の市場価値が陳腐化してしまわないように、スキルを随時ブラッシュアップする仕組みを取り入れること、(例えばITの研修など)はそれほど大きな負担にはならないのではないかと思います。

そして、日本型の雇用形態も変化して、働き方がジョブ型、プロジェクト型になっってゆく時に、そもそもピラミッドからあぶれるのではなく、それぞれのプロジェクトチームの一員として、活躍する60代が出てくるのではないでしょうか。

これからはチームを構成する時のマッチングがキーになってくるように思います。

職場のシニア社員が皆ベンのように「一緒に働きたい」と思われるような人で、生き生きと楽しそうに働いている、そんな時代になると日本が元気になると思います。


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