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逃げ恥、博士の愛した数式的嘘のような本当の話10

老博士の怒涛のような怒り声が、廊下ごしに聞こえることが
頻繁になった。何に怒ってるのかあまり知りたくもなく、
さっさと、廊下を通り過ぎていたのだけど、

声があまりに大きく、否が応でも聞こえてくる内容は、
どうも携帯電話会社に向けてのようです。

内容も知らないし、正しい正しくないの判断はする気は全くないけど、
客観的に見ると、老害としか思えない。
ヒステリックに怒鳴り散らしているようにしか思えないので。

老博士には、人間でない 動物か植物の癒しが必要なのでは?
ちょうどその頃、ドキュメンタリーで、一匹の猫が自閉症の女の子の心を
開き、一生会話を普通に交わせることはないだろうという医師の判断を
覆したお話でした。
その猫の猫種は、ソマリかメインクーン。私の憧れの猫。

数日後、SNSで、ソマリのハーフの子猫が、
結構近い場所で「譲ってもいいですよ」
というコメント付き画像を発見。

「これだ~」で、早速交渉。
老博士は、週に5回いろいろなレッスンで
家にいないことが多いことをいいことに、飼ってしまった。

ソマリハーフは、女の子。
ちゅらと名付けました。
自閉症の女の子が飼っていた猫は、チューラ―(本当は、どうもトゥーラだったみたい)

見つかった時は、にゃんこと出て行く覚悟で。
飼った理由は、私が欲しかったというのが第一。
第二は、老博士の優しさが引き出せて、癒しにならないかな
と期待半分。
私の部屋は、いつも鍵をかけているので、黙って入ってくることもなく、

そこは、紳士の老博士厳守して下さっていました。
携帯電話の着信音を猫の鳴き声にして、用意周到。
騒ぐことになく、とってもいい子。

ゆっくりと時間をかけて 距離を縮めてくれたらと
心からすがるように願った。

しかし、その願いは、あっけなく一生叶わぬ夢となったのは、
1か月後、博士が2階ベランダから、階下の庭に向かって
何かを投げつけている。よく見ると 小石(-_-;)

どうみても、小石。豆じゃない。
近づいてみると、ご近所の猫がうちの庭にやってきたところを
猫をめがけて 思いっきり小石を投げつけているのでした( ̄▽ ̄;)
残酷すぎる。

老博士は、時々、「猫は、化け猫!、泥棒猫だよ。
母親が嫌っていた」と言っていました。
戦中戦後の時代背景もあってのことかなと思ってましたが、
母親譲りの筋金入りの正真正銘の猫嫌いだとわかって 大ショック。

恐る恐る老博士に聞いてみました。
「もし、猫が庭でなく家に入ってきたら どうされますか?」

老博士の答えは、世にも恐ろしい。
「保健所にすぐ電話して処分してもらう!」
この人ならやりかねないと判断した私は、
なくなくちゅらを手放す決意を固めるのでした。
ちゅらの命が大切だから。

少しでも、見かけたら即刻、保健所に連れて行きかねない。
私が出て行く数日も待ってくれそうにない。
怒り爆発で何をしでかすかわからない状況。

あの電話の怒鳴り声が容易に想像できた。

翌日、早速、引き取り手を探すべく、
前の職場の方に相談したら、電話の横で
飼ってもいいよのことで即決。

しかも、その方の知人が猫が飼いたいと
思っていた矢先だったようで、双方びっくり。

週末、老博士のいない時間に、お二人で家に来て頂き
無事、引き渡し。というか、私は、泣きそうだけど
ちゅらの今後を考えたら、ここにいるより ずっと安全。

しかも、とても かわいがってくださる方で一安心。
もう、いつ殺されるかわからない不安な夜は、なくなった。

保健所に通報されなくて良かった!!
ところが、数か月後、
今度は、私が、警察に通報されかけました( ̄▽ ̄;)
そんなことってある!?なのでした。
           つづく・・・いよいよ次回は、最終回(;^_^


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