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黒を

黒が透明に見えるとき
わたしは黒を逃しはしない
光よりも影、黒だ

そこにある黒だ

わたしはそれを触りたいつかみたい
そこに溜まってる黒い水たまり
深いホンモノ暗い黒の中の黒をのぞきみる

深い深い果てない黒を見たいみたい見たくてたまらない

果てがない黒がいい

終わらない黒がいい

終わるなんて悲しくてたまらないから

黒の中の黒をほんとうに見たことはあるか
ドロッとして地獄
締めつけられる息のできない空気の薄い
黒い沼かいやそれ違う

本当の黒を知らない
黒の中の黒はわたしから逃げる
さらさらしていて
さらっと逃げてしまう

ドロっとなんかしてないじゃん

(ほんとうにあるのか、黒は)

黒つかんで引きちぎったら
破れた先の指先に光があたるのを知っている

だから黒の底までたどり着かなけりゃ

(いや、光のためじゃないただ黒が見たい)


でも黒の中にいることはほんとうに難しいことなのだ 黒をつかむなんて
地獄は泥のようにしっかり
身体にまとわりつくものでもない ちゃんと手にしなければ

地獄さえ見えない

見えてこない
黒はつかもうとしなけりゃ姿を見せない嘘の黒しかそこにはないんだ

ああほんとうの黒が欲しい見たい掴みたい浴びたいその中に入り込んで

地獄なんて遠い
だからせめてこの紙に描いた黒を
網膜に突き刺せるくらいに尖らせて


2019 制作途中

#詩 #鉛筆画

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