あめのはなし

私は飴が好きだ。以前、私とよく似て控えめで自己主張の少ない、けれど内面には激しい感情を抱えている、かわいいかわいい友人と共に京都に行った時、飴の専門店に2時間くらい居座った。彼女も私も、飴が好きだった。ただ、私は彼女の方が確かに飴の似合う女の子だな、とは思うのだけれど。飴は、宝石だと思う。あの、小さな小さな物体に、綺麗な色や模様が入り、口の中いっぱいに広がる美味しさがあるわけなのだから。
どうしても食べてみたい飴があったので、先日私のことを理解してくれる数少ない私の友人と共に、連れ立って新宿の伊勢丹に行った。どこもキラキラ綺麗なお菓子と、綺麗なお姉さまがたでいっぱいで、ふわふわした心地がした。
目的の店に着くと、探していたセットになったものがなかったので、どれを買おうか悩んでいた。お店のお姉さんはニコニコと屈託のない笑みを浮かべながら、私たちに何度も話しかけた。店員さんに話しかけられる、という行為に慣れていない私は、苦笑を浮かべながらディスプレイされた宝石を見ることに集中していた。
あまり都会慣れしていない自分にとって、いや、もう1年以上は東京にいるのだけれど、伊勢丹に行く、など、敵のボスキャラが待ち受ける闇の城に入って行くようなものだ。そして、闘いを終えて平和な世界を取り戻した私は、家に帰って、宝石を見つめた。口に含むと溶けていくようなそれに、静かに幸せも溶かしながら。

#日記 #飴 #冒険