ゆめのはなし

夢をみていた。

わたしはこう見えても、哀しくて苦しい夢ばかりを見ることに定評があるんですよ、一度でいいから幸せな夢をみたい。
美味しいものをたらふく食べたり、好きなだけ本を読んだり、わたしのことを心の底から認めてくれたり、愛してくれる人のいる夢のような世界の夢を。

わたしの夢にはもう1つ特徴があって、妙にリアリティのある夢ばかりを見る。起きている世界のわたしを取り巻く人や物や関係性がそのまま出てきて、夢の世界では私は大抵追い詰められて、限界を超えると目が醒める。

だから今回の夢は珍しい

私は、白い世界に立っていた。
例えるなら星の王子様のいた星のように、私は惑星の上に立っていた。
花も、土地も、空も、
全てが白くて白くて。
なにも分からなかった、ただわかったことは、その世界で私だけが色を持っているということ。そしてその世界に私は招かれてはいないということだった。
私は、歩いた。歩くより他に道はなかった。

ひたすら歩いて、歩いて、歩いて

そこにいたのは、白くて大きな生き物だった。
その生き物は、私をみていた。
何を言うでもなく、ただ、私を見ていた。
私は、泣きながら手を伸ばした。
震える手は、なかなかその生き物の毛までたどり着かなかった。
やっと、やっとの思いでたどり着いたその時、私がその生き物に触れた瞬間、
その世界は震えだし、崩壊を始め、足元はぐらつき、地割れが起こり、空が真っ二つに割れた。
わたしは、ごめんなさいと繰り返しながら涙を流しながら目を閉じた。次に目を開けて見ると、世界は元どおりになっていた。ただ1つを除いては。
その世界は色を持った。全てに色があった。
そして、わたしからは、色が消えていたのだ。

#夢 #白 #涙