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小説『緑の縁』

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嵐と呼ばれる災いを恐れる、閑静で不穏な都市。小説家の恋人と暮らす若者・詠は、ベッドで彼の死を目の当たりにした夜、己の顔をした謎の少年と出会う。 私達とよく似ていて、少し違うからだ… もっと読む
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緑の縁(1)

 窓が割れて、緑色の線になる。  木の生き方を真似するみたいな線でガラスが割れていく。割…

野原小路
8か月前

緑の縁(2)

 あたしの部屋の窓は、一日じゅう曇るようになった。  割れた窓の替えは、白っぽい磨りガラ…

野原小路
7か月前
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緑の縁(3)

【彼が私と共に、たとえ褥の上に在ったとしても、私の最奥を見ることがないのは知っている。そ…

野原小路
7か月前
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緑の縁(4)

 窓の外には夜景があった。  薄暗い路地の向こうで、無数のネオンと看板が光っていた。ピン…

野原小路
5か月前
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