小説「よりそう~手帳と万年筆のちょっといいはなし~」第70話
カフェ「キムン」のマスターの別れたお子さんを探しにITのカンファレンスに結城さんと潜入中。俺の万年筆&手帳に教えてもらった「席を譲りなさい」で譲った人が、一緒に来ていた人はマスターのお子さんと同じ名前のたかしさんだった。
「行ってしまいましたね。」
「そうですね。追いかけましょう。」二人が片づけを終えた後、急いで自分たちも席を立った。
「あの人だと思いますか?」早歩きをしながら結城さんに話しかける。
「苗字が分からなかったのですが、お名前はあっていますし、近いは気はしています。」
「ちかい? あ、あの二人いました、あれ、なんか別れちゃった。別々のカンファレンスに参加するんですね。」
「私たちも別れましょう。」
「たかしさんだけでいいのでは?」
「なんかもう一人の人の色も気になったんです。」結城さんは面白い眼鏡を持っている。
「なるほど。結城さんはどっち行きますか?」
「うーん、そうですね。ペリカンつながりがあるので、たかしさんじゃないほうをお願いします。」
じゃないほう芸人にみたいになっているが、最初に席を譲った俺が使っているペリカンの万年筆に反応してくれた人を追いかけてカンファレンスルームに入った。
最前面のステージに大きなスクリーン。真ん中に通路を分けて椅子が10脚ずつ10列くらいにわたって並んでいる
さて、どの辺に場所を取ろうかなぁとおもって、先ほどの人を探すがうまく見つからずまえの方まで歩いていると
「あれ、雲川じゃん」
「えっ」 まさかの声をかけられる。
振り返ると会社の人だった。
「あ、先輩。おつかれさまです。」
この人だれだったけなぁ。顔は見たことあるんだけど、定期的に会社で数字回りの発表してくれている人だったっけ。データアナリストとかいっていたっけ。
「営業チームなのにこういうのにも参加するんだ。」先輩に話しかけられる
「いや、実は会社にはこっそり、だから休みで来ているので、、会社には。。」
「ふーん、なるほど。」何かを考えている先輩。
「もちろん、内緒にしておくからしっかり学ぼうぜ。」そういって先輩はいってしまった。
そもそもデータアナリストってエンジニアじゃないよなぁ。先輩も先輩なんじゃないか?
話し込んでいる間に席が結構埋まってしまった。。さてどこに座ろう。
席を見回していると、さっき席を譲った人が、手を振って呼んでくれている。
呼んでくれたので、そちらの席に行って、挨拶をする。
「さっきのお返しです。こちらの席どうぞ。」
「ありがとうございます。助かります。」そう言って名刺を取り出す。
「わたし、雲川と申します。」
「あ、ありがとうございます。あんまり名刺使ったことないのですが、」
そういって受け取った名刺を見て、びっくりした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。すこしでも気に入っていただけたら、続編を書くモチベーションになりますので、スキをお願いします。
また、過去の内容を取りまとめ加筆修正したフルバージョンを作りました。ご興味があればちょっと覗いてみてください。(大分本編と開いてしまったけど)
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