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すぐそこに海が広がっていた頃に

【まえがき】
最近、仕事帰りに2kmぐらい歩いているので、地形を想像しながら歩くのが楽しくなっています。
国土地理院の地図サイトをみていると、楽しくて止まらなくなってしまいました。
東京は東に海を臨みますが、大阪は西に臨みます。
どちらの浄土も美しい。
でもここは南に向かう海でした。


6500〜6000年前の東京は、いまよりも奥に陸地を削るように海が入り込んでいました。

国土地理院の地図サイトで、いろんな地形図を重ねてみると、いろんなことが想像できます。


東京全図(白地図)

東京全図(標高)

東京全図(標準と標高)

◉東京 と印がついているのは、新宿の都庁のところだということがわかります。東京駅(皇居のところ)ではないのですね。きっとその都市の政庁がある場所を指すのでしょう。

それから、JR(旧国鉄)の線路(山手線の東側)が高台のキワに沿って敷設されて行ったこともよくわかります。山手線の内側から西が「山の手」と呼ばれることも、確かにそうなんですね。

山手線以外にも、線路や大きな道路は土地の低い窪んだところに沿ってできていったみたいです。(ずっとずっと昔から、人が行き来する道は、そうやって自然にできていったのでしょう。)

京都も大阪も神戸も奈良も、関西の中心地の道は東西南北の碁盤の目を意識したつくりになっているので、東京に来た時に、都心の道がくねくね曲がっていることに衝撃を受けたのですが、それは「地」に沿ったつくりになっているだけで、古代の都の条里区画自体がとても人工的なんだということ。

東京では、古くからある神社があちこちの方角に向いているのも、かつて海がそこまであったという理由からでしょう。

そして、港区の位置が、かつてはほとんど入江になっていたのも、「みなと=みずのと(水の場所)」が連想されて、素敵だと思いました。(*「と」には「〜の場所」という意味があります)

この頃ときどき、表参道から2kmぐらいの裏道を、西から東へと歩くことがあります。この道沿いは、南の方がちょうど高い建物がないところなので、いろんな空想をしながら歩きます。

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満月の日には、日が暮れた後に東にぽっかりまあるい月が見えます。

ここは一日中、太陽や月が動いてゆくのが見える場所。
この先に海が広がっていたんだ。

さきほどの地図を拡大すると、ここはこのあたりで唯一真南に向かう岬だっということがわかります。
大切にいだかれるように奥まった入江にある岬。

青山の突端


そして国土地理院の地図の【断面図】という機能を使うと、港区内で一番高い場所が「青山」でした。標高は35.2mぐらい。その青山の一番高いところは、外苑の銀杏並木の入り口の交差点あたり。この岬の付け根に位置します。

港区(標高)


太陽と月が「とこしえ」に祝福する。

ここは、縄文の頃からずっと、人々の祈りの神聖な場所だったのでしょう。

おそらく一番に、とっておきの。



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