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マニアA

廃屋を見つけるため、私は知人のマニアAと共に、深い山に足を踏み入れた。マニアAは、廃墟探索が趣味で、今回もまた彼の誘いでこの山奥まで来ることになったのだ。


昼間の明るい内に着く予定だったが、道に迷ってしまい、気が付けば夕暮れ時となっていた。山の中は不気味な静けさに包まれ、薄暗い木々の間から、何かがこちらを見ているような気がしてならなかった。

やっとのことで廃屋を見つけた時、日は完全に落ち、辺りは真っ暗だった。その廃屋は、何十年も放置されたかのように荒れ果て、屋根は崩れ、窓ガラスは割れていた。中に入ると、埃っぽい匂いと共に、かすかに何か腐ったような臭いが鼻を突いた。


「見てみろ、あの写真!」マニアAが指さした先には、古びた写真が飾られていた。そこには、家族のように見える数人の人々が写っていたが、その顔は異様に歪んでおり、まるで苦痛に満ちた表情をしているように見えた。


「おい、こんな所で何をしているんだ?」突然、背後から低い声が聞こえた。振り返ると、そこには一人の老人が立っていた。どこから現れたのか、全く分からなかった。


「すみません、この廃屋を見に来ただけなんです…」マニアAが答えた。


老人は微笑みを浮かべると、「この家には、入ってはいけない。ここにいると、何かに取り憑かれるぞ」と警告した。しかし、その言葉を聞く前に、私たちは何かに引き寄せられるように家の奥へと進んでしまっていた。


奥の部屋には、奇妙な祭壇があった。古びた人形や、何かの儀式に使われたと思われる道具が並んでいる。その中央には、黒い布で覆われた大きな箱があり、中からかすかに呻き声のようなものが聞こえてきた。


「開けてみるか?」マニアAが興奮したように言ったが、私は強い嫌悪感を覚えた。


「やめておこう。ここは何かおかしい」私は彼を止めたが、マニアAは興味に勝てず、布を引き剥がしてしまった。


その瞬間、部屋中が冷たい風に包まれ、灯りが一瞬で消えた。暗闇の中で、箱の中から何かが這い出てくる音が聞こえ、私たちは恐怖で動けなかった。


その後、私たちがどうやって廃屋を脱出したのかは覚えていない。ただ、気が付けば山のふもとにいた。マニアAは何も話さなくなり、数日後に失踪してしまった。


あの廃屋は‥
今でも山の奥深くに存在する。誰も近づいてはならない、何か恐ろしいものが眠っているのだから。


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