何かあったら言ってね
「人という字は、人と人が支え合って”人”となる」
これは金八先生の名言です。
しかし、実際に「人」という字を書いてみると、一方が一方にもたれ掛かっているじゃないかという、そんなツッコミが存在したりします笑
そんなツッコミはさて置き、
”人は支え合って生きている”というのは事実であります。
特に、人は困っている時や悩んでいる時に、その”支え合う”というのは発揮されます。
困っている人・悩んでいる人を支えたい(助けたい)と思うのは人間の性です。
そんな時に、よく使われる便利なセリフが「何かあったら言ってね」です。
今回はそんなよく使われる便利な言葉についてのお話。
今回のテーマは『何かあったら言ってね』です。
僕は過去に、大きな怪我をしてメンタルがどん底まで落ちてしまった経験があります。再び、大好きなバスケットボールをすることを、諦めようと考えてしまう程とても苦しい思いをしました。
「もうバスケなんてやらない」
こう思ってしまった出来事は、僕にとっては”何かあった”出来事でした。
実際、僕は怪我をした時に沢山の人から「何かあったら言ってね」と言われました。これはとても有難いことです。
ですが、何かを人に言うことはありませんでした。そこで思いました。
「あっ、人は何かあっても言わないものなんだな」って。
●何かあってからでは遅い
自分の過去を振り返ってみました。
僕には一生の友と呼べる友人がいます。
その友人はある時、物凄く辛くて苦しい思いをしていました。
僕はそれに気づいていました。
だからこそ、そんな友人を心から支えたいと思い、僕は優しい気持ちで
「何かあったら言ってね」と言っていました。
しかし、振り返ってみると気が付いたのです。それは、
”友人が僕に何かを言ってくることがなかったことに”
この僕が発した彼に向けての「何かあったら言ってね」という言葉は、何の役にも立っていなかったのです。もしかしたら、友人は僕のこの言葉自体に、有り難みは感じてくれていたのかもしれません。
ですが、何かあったら”言われる”という僕の役割がくることはありませんでした。
「これじゃ、何の役にも立っていないのと一緒じゃん」
優しい気持ちで言っていたとしても、役に立っていないのなら
ただ”自分本位の美談に溺れているだけ”じゃないかと。
自分だけ気持ち良くなって、目的の”相手を支えることができていない”じゃないかと。
それに気づいた時、僕は物凄く後悔しました。
「どうして、あんなことを言ってしまったんだ」って。
僕は一生の友を支えることができていなかったのです。
”何かあってからでは遅い”のです。
●悪意はない
そうは言っても「何かあったら言ってね」という人は
なにも悪意を持って言っているわけではないんですよね。
もしかすると、その場凌ぎのために言っている人がいることもあるかと思いますが、本当に困っている人を目にした時の「何かあったら言ってね」に悪意がないことは事実です。
しかし、「何かあったら言ってね」と言われた側は
”何かあっても言わない”というのも事実としてあります。
それはなぜか。
①遠慮
言いたくても、相手のことを思うと返って迷惑なのではないか。
きっと忙しいと思うから、言うのはやめておこう。など。
そんな相手を思う、”遠慮する気持ち”が何も言えない要因の一つなのかもしれません。
②言えない事情
本当は言いたいけど、言うと気持ちが込み上げてきてしまう。
それが分かっているから言えない。
また、どうしても自分だけで処理しなくてはいけない内容だったり、
他人が関与すると、巻き込んでしまう可能性があるから言えない。など。
もしかしたら、本当は言いたいけれど言えない事情があるのかもしれません。
⇨その他にも言えない要因はあるのかもしれませんが、代表的なものは①②のものだと考えられます。
●まとめ
では、本当に支えになる手助けというのはどんなものなのでしょうか。
僕が導き出した答えはこれです。
”何かできることを問うのではなく、何でもいいから行動すること”
実際、怪我をした時の僕のメンタルを支えてくれた人は、「何かあったら言ってね」と言った人ではなく、何か行動してくれた人でした。
・元気がない僕に向けて、笑顔にさせてくれるような応援動画を撮ってくれた後輩。
・何気なく、いつも通り「電話しよ!」と言ってくれた彼女。
・今の僕に必要なことを教えてくれる本を買ってくれた友達。
・僕と同じ怪我をした人でも、完治後に成功していった人はいると教えてくれた友達のお母さん。
・入院中、毎朝メッセージをくれたお婆ちゃん。
・僕の治療生活をずっとサポートしてくれる両親
「何かあったら言ってね」そう言ってくれるだけでも、有難いことです。
ですが、本当に支えになる手助けというのは
”何でもいいから行動すること”なのです。
別にピンポイントじゃなくても良いのです。
何かしてくれるということが記憶に残りますし、そういったものが心の支えになります。
僕は何かしてくれた人に、とても支えられました。
さて、今回は長々と書きましたが
つまり、言いたいことはこれです。
”何かあっても人は言わないものであるということ”
個人的な意見ですが、
もし何かあった時に、自ら言えるようなものというのは、それは何かあったに値しないもので、
何かを言えるくらいの余裕があるのだと感じます。
本当に苦しくて辛い時は、意外と何も言えないもの。
それは僕自身がそうでしたし、僕の友人もそうであったから。
だからこそ、そういった人を支えたいと思ったら
自分から行動してみることが必要なのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?