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RuiKawakami
2021年10月2日 16:11
永久氷床でつくられた砂糖菓子のかけらをひとつ、口の中へ放り込む。腹の底が一瞬ひんやりとする。その後、口の中に鈍い甘さが広がってゆく。私は首に下げた双眼鏡で海面を眺め、手早くスケッチをとりはじめる。(本日の冬空は快晴、風はよわく波はおだやか、湾内の永久氷床の数は百三十二・・・)遙か遠くの大地で溶け出した永久氷床は、多角形の断片となって洋上へ漕ぎ出し、海流に乗って移動を始める。やがて、この