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女流棋士のプロ編入試験の試験料について

本日、第48期棋王戦コナミグループ杯予選で、"古森悠太五段"対"里見香奈女流四冠"の一戦が行われる。一棋戦の予選の一戦に過ぎないはずのこの対局に、静かな注目が集まっている。

理由は、里見香奈女流四冠がこの一局に勝てば、直近の棋戦(女流棋戦以外)での成績が10勝4敗となり、プロ編入試験の資格を得るからである。
(追記: 女流棋士が一般棋戦で初の本戦入りにもなることも、注目されている理由です。)


これまでに棋士(女流棋士とは異なり、男女ともに資格のある将棋のプロ制度)となった女性はいないため、プロ編入試験の資格を得ることは大きなニュースであることは間違いない。しかしそれでも、”静かな注目”となっていることにはいくつか理由がある。一つは当の里見四冠にかつてプロ編入試験に対して消極的な発言があったこと、また将棋連盟の過度な注目が当事者への負担にならないようにという配慮もありそうだ。

さて、女流棋士が編入試験の資格を獲得したとして、それを受けるかどうか別に一つの疑問がある。それは受験料の50万円を女流棋士当人が負担すべきかどうかということ。

試験料には試験官となって対局する棋士に支払う対局料や所々の準備にかかる諸費用が含まれていることを考えれば、高額過ぎるとは言えない。アマチュア棋士が、この試験を受ける際は各自で工面して支払うべきことに疑問はない。

しかし、里見女流四冠は日本将棋連盟所属の女流棋士である。女流棋士制度が、女性への将棋の普及と実力向上のために作られたものであるのならば、この棋士編入試験も彼女らの仕事の一環であると捉えることができて、女流棋士自身が試験料を負担することは筋違いであるように思える。さらに言えば、もはや女流棋士は女性への将棋の普及だけではなく、将棋の普及に全体において棋士と遜色なく貢献してきたのだ。

そう考えると、否が応でも注目が集まり心理的な負担も大きいであろう、プロ編入試験の受験に際し、女流棋士が少額とは言えない試験料を自己負担するのは筋違いであるように思う。

例えば前回プロ編入試験を受けた折田翔吾四段のように、将棋連盟がサポートをしたうえで本人に負担を掛けずクラウドファンディングなどを行い、試験料と受験にかかる交通費・宿泊費などを集めるのも良いと思う。もしくは、中継を行うなどすることでスポンサー費用で賄うことはできないのだろうか。

編入試験の資格を満たした女流棋士が受験しやすいよう早急に制度を整えることは、女流制度の趣旨や将棋の普及においても重要であると思う。

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