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17冊目:影法師/百田尚樹

将来を嘱望された親友はなぜ不遇の死を遂げたのか
~光当たるところに影がある

本日ご紹介する17冊目は百田尚樹さんの最高傑作と名高い「影法師」。
これも涙なしには読めない素晴らしい傑作です!
 
そんなこの作品は、自分がオススメするのは珍しい「時代小説」。
自分は、時代小説独特の言い回しや読みにくい名前が苦手で、本来時代小説はほとんど手に取りません。
しかし、この小説の作者である百田尚樹さんは読者サービスに非常に心を砕かれている方なので、「百田さんの時代小説なら読めるかな~」と思って挑戦してみました。
読んでみるとやはり時代小説ならではの古めかしい表現はありましたが、当時の時代背景が理解しやすいようにすごく配慮がなされていたので、とても有難かったです。
慣れない時代小説にはじめは少し読みづらくも感じたのですが、読んでいくうちにどんどん物語に引き込まれていきました。
これは時代小説を読んだことがないという人にもオススメできます!
 
そんなこの作品は、頭脳明晰なうえ剣の達人として将来を嘱望されていた親友・彦四郎がなぜ不遇の死を遂げたのかの謎を追うミステリー小説としての側面もあります。

この物語の主人公である勘一と彦四郎は、「下士の長男」と「中士の次男」で、それぞれの立場で、武家階級社会の理不尽な制度や慣習に縛られて生きていました。
しかし、2人とも自分が為すべきと信じた大義を叶えるため、理不尽な差別や抗えない運命に翻弄されながらも、必死に立ち向かっていきます。
どんな困難があろうが己の信じた道を貫こうと奮闘する侍の生きざまがとてもかっこいいです! 
そんな物語の途中、彦四郎は俄かに信じがたい狼藉を起こし、勘一のもとから去っていきます。
彦四郎の起こした事件の裏に隠された真実とは一体?
魅力的な人物像と、この2人はどうなっていくの?という展開に、ページをめくる手が止められません!

そして、ラストに判明する彦四郎の事件と彼の不遇の死の真相を知った瞬間、自然と涙腺が緩んでしまうこと間違いなしです。
「友情」という言葉では表現しきれない勘一と彦四郎の強い絆にとても胸が熱くなる一冊です。

「美しき日本人の生き様」を描かせたら百田さん以上の作家はいないかもしれませんね!

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