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24冊目:リピート/乾くるみ

掟破りのクローズドサークルに興奮!!
「リプレイ」+「そして誰もいなくなった」に挑んだ仰天の傑作

ミステリー紹介シリーズ第5弾は乾くるみさんの「リピート」です。
この作品は人生で最もハマったミステリーと言っても過言ではないでしょう!
SFとミステリーを見事に融合させた世紀の大傑作ミステリーと思っています。
 
そんなこの小説は、主人公の毛利に、風間と名乗る謎の男から一本の電話がかかってくるシーンから始まります。
謎の男・風間は自らを「未来から来た」と語り、その証拠として未来に起こる地震をピタリと的中させてみせます。
そして風間は、毛利に「現在の記憶を保持したまま、精神だけ過去の自分の肉体の中に戻る時間旅行(リピート)の当選者に選ばれた」と誘いをかけるのです。
「そんな非科学的な話が実際にあるわけがない。何かの罠ではないか。」と頭では思いつつも、なんとも蠱惑的な誘惑を抑えきれず、結局リピートへの参加を志願することにした毛利。
彼は、風間が選んだ8人の男女とともに、10か月前の1月13日へのリピートを実行します。
もちろんほとんどの参加者は半信半疑なままの参加でしたが、果たしてリピートは成功。
「人生のやり直し」に大喜びする参加者たちですが、次第に雲行きが怪しくなってきます。
なんと過去に戻ったはずの参加者が1人、また1人と不審な死を遂げていくのです…!

これらは何者かによるリピーターの命を狙った連続殺人事件なのでしょうか?
だとしたら、犯人の目的は一体何なのでしょうか?
誰を信じて誰を疑うべきか、全く先の読めない展開にハラハラさせられること間違いなしです!
 
そんなこの小説の魅力は、なんといっても練りに練られた設定にあります。
「タイムトラベルできるけど、戻れる時点や戻るための条件が、かなり限定的」という舞台設定の作り方がすごくうまくて、結末に至るまでとてもよく考えられているなと感心します。
時間旅行をしたリピーターたちは、リピートなんてバカバカしい話を取り合ってくれないであろう警察に全く助けを求めることができない、つまりクローズドサークルの条件を満たしているというのも大きなポイント。
こんなクローズドサークルの作り方は常人には凡そ思いつきません…!

タイムリープものならではの仕掛けも秀逸で、前半から魅力的な設定にぐいぐい引き込まれ、中盤からの急展開には予想を裏切られっぱなし。
後半ついに判明する、どう考えても説明のつかないリピーターたちの死の真相は、まるで予想の斜め上をいくものでとても衝撃的でした。
この動機、この真相の衝撃は、たくさんのミステリーを読んできた後でも、未だにかなり鮮明に記憶に残っています。
 
最後のオチに至るまで全く隙がない緻密なSFミステリー小説。
思考パズルとしてもとても面白いので、ぜひ手に取ってみてください。

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