27冊目:がん消滅の罠 完全寛解の謎/岩木一麻
治るはずのない癌はなぜ消滅したのか
~がん消失事件の陰謀と衝撃の結末に呆然
ミステリー紹介シリーズ第8弾は、医療ミステリーのジャンルから岩木一麻さんの「がん消滅の罠 完全寛解の謎」をご紹介します。
医療ミステリーと聞くと、何やら専門的で難しい感じがしますよね…!
でも、ご安心ください。
この作品は、たしかに専門的な話はたくさん出てくるのですが、作者の説明がかなり分かりやすいので違和感なくすらすら読むことができますよ!
やや難解な部分もあるのですが、本筋は素人でも直感的に理解できる範囲内なので、医療知識が全くなくても十分楽しむことができます!
そんなこの作品のあらすじを簡単に説明しましょう。
この物語は、日本がんセンターに勤める夏目医師が、大学の後輩で生命保険会社に勤務する森川から、不正の可能性のある案件について相談を受けることから始まります。
その案件とは、夏目医師から余命半年の宣告を受けて保険金を受け取った患者が、その後も生存しているどころか、なんと保険金を受け取った途端にがんが消え去っているという不可解な事実。
しかも、連続して4人もそんな事案が続いているというのです。
これは何らかのトリックを用いた新手の保険金詐欺なのでしょうか?
それとも何者かが奇跡のがん治療法を開発したとでもいうのでしょうか?
果たして、がん治療の世界で、何が起こっているのだろう…?!というものです。
そんなこのミステリーの凄さは、なんといっても設定の大胆さと斬新さでしょう。
これまでのミステリーの「消失トリック」といえば、凶器や死体、あるいは犯人の消失の謎を追うものがほとんどでした。
しかしこの作品で描かれるのは、不可能状況下における「がんの消失事件」。
ミステリーファンにとっては、この発想だけで「買い」ですよ…!笑
しかもそんな魅力的な謎の正体が、医学的知見と本格ミステリー的トリックの結合によって作られているということに、とても興奮しました!
これぞ真の意味での医療ミステリーだなと感心しきりです。
最先端の生命科学の研究者だからこそ思いつけたアイデアとトリックに驚ける一冊です。
さらに、この作品がすごいのは、ミステリーとしての巧みな謎解きが1つ2つではなくふんだんに使われており、しかもどれもレベルが高いという点。
メインとなりうる謎解きのアイデアをストーリーの序盤で前菜として使ってしまうくらいの力の入れ具合に感動さえも覚えます。
読み終えた後の余韻も絶妙な作品なので、ミステリー好きにはぜひ挑戦してほしい一冊です!
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