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大学院での学び ~リーダーシップについて~(後編)

RUGGERSオリジナルコラム
筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事

※前編はコチラ

~リーダーシップ研究のススメ~

 リーダーシップの研究を進めていくと、以前はカリスマ性だったり、元々生まれ持ったものが大事であると言われてきたが、今は後天的な要素も十二分にあると言われている。実際に自分自身のことを振り返ると、もともと良いリーダーであったとは思えない。失敗して、学びながら成長してきた。良い先輩に巡り合ったことも大きかったと思う。だから、皆も「自分はリーダーに向かない」と諦めず、是非ともチャレンジし続けてほしい。その中で自分らしいリーダーシップを身につけていってくれたらなと思う。

 では、どういったリーダーシップを意識していけば良いのだろうか。以前は、どんどん牽引していくようなものがリーダーシップであると考えられていた。その中で、メンバー(フォロワー)は、リーダーから期待されて付いていくとか、これぐらいの報酬がもらえるから頑張ろうというような形であった。研究の中では、「Transactional Leadership」と言われるものである。いわゆる管理型であり、リーダーとメンバーの質の高い関係が築ければ、今でも有効なリーダーシップの一つである。しかし、今はそれよりも 「Transformational Leadership」が注目されている。メンバーのロールモデルになる、メンバー個々への配慮、思考力への刺激、モチベーションの鼓舞が重要と言われている。以前、日本代表のリーダーシップグループを荒木香織さんがサポートしてくれていたが、彼女もこのアプローチを使って進めてくれた。

★選手も一人一人状況が違うので個々にアプローチする。
★自分自身が成長し続けようと学ぶことで思考力への刺激となる。
★言行一致することで、皆のロールモデルになる。
★大義を示すことでモチベーションを上げるきっかけを作る。

 僕らとしてはこういったことを大事にしてやってきた。
 その結果、素晴らしい集団になることができたと思う。2003年のイングランド、2015年のニュージーランド、両国ともにワールドカップの優勝国であるが、このようなリーダーシップスタイルを取っていたと書かれている論文もある。
 この考え方は、ラグビーチームだけでなく、あらゆる集団に適応することができるのではないかと思っている。リーダーシップを発揮したいなと思っている人は一度自分自身を振り返ってみて、是非とも一つでも良いのでこれまでとは異なるアクションしてみてはどうだろうか。

 ほかに、「Authentic Leadership」。リーダーシップを発揮するには、リーダー自身が自分らしさとか、自分の言葉で話をするということがとても大事なポイントである。そういった意味でAuthentic(本物の、真の)というのはとても大事になってくる。誰かに言わされたり、思ってもいないことを無理やり伝えようとすると、周りは何か違和感を感じる。その瞬間にメンバー(フォロワー)と距離ができる。リーダーが内なる真の声に耳を傾け、発信することはとても重要である。

 「Servant Leadership」もある。奉仕するリーダーシップ。皆が頑張りたいと思えるような環境を作るのはリーダーの仕事である。そういった意味から奉仕という観点もリーダーには欠かせない。

 「Shared Leadership」も注目されている。一人でリーダーシップを取るのではなくて、皆でやっていく。これから益々多様性のある社会になっていく中で、より重要になってくると思う。

 これまで色々なリーダーシップを紹介してきたが、色々な論文を読んで、学ぶことは、今までの経験の棚卸しができてとても楽しい。
 是非ともgoogle scholar(論文検索サービス)などで検索してみて、実際に読んでみると良いと思う。


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