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ラグビーと本(前編)

RUGGERSオリジナルコラム
「ラグビーと本」

筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事

~廣瀬俊朗と本~

 最近読んだラグビーの本の中で、「問いかけ続ける」というオールブラックス(注1)について書かれた本がオススメである。彼らが大事にしている考え方、言動の根本にあるものをまとめてある。英語のタイトルは「Legacy(レガシー)」。常に先人・先祖に敬意を払い、そのジャージに袖を通せることに感謝し、次世代に自分自身がどういった価値を提供できるのかを考えている。他にも、自分自身に正直になる、リーダーは学習者である、などラグビー以外にも勉強になる部分が本当に多い。
 オールブラックスの文化である15の行動規範一つ一つは、目新しいことはない。基礎的なことである。でもそのことをやり続けられるのか、問いかけ続けられるのかが重要。マネジメントをする側のコーチからの視点で、選手とどう接していくのかということも興味深い。常に選手がどうしたいのかということに目を向けられており、選手が自ら考えて行動できる組織を作ろうとしている。短期的には結果がすぐに出ないかもしれない。でも、長期的には選手自らが決断できる組織は強いし、継続性がある。これまでの566回あまりのテストマッチで勝率は77%を超える。驚異的な数字である。その根本にある考え方に触れることができる。
 今回のコロナの問題でも、ニュージーランド国民は素晴らしいリーダーの元に結束した。ニュージーランド国内での戦いだけになっているが、スーパーラグビー(注2)をいち早く再開させており、本当に見習うべき点が多い。

 話を本に戻す。僕が小さい頃に読んだ本は、特にラグビーに偏っていたわけではなかった。でも、知らないことを知ることは好きだったので、たくさん読んだわけでなかったが本を読むことは好きだった。その中でも、「ズッコケ三人組」が好きで、とにかく楽しく気楽に読んでいた。他には、「ぼくら七日間戦争」を読んだ。親とか先生にちょっと背を向けたくなる年頃だったので、ハマった。男女の甘酸っぱいようなものにドキドキした。一方で、もう少し文学的なものもたまに読んでいた。太宰治の、人間の奥底にあるちょっと屈折したような暗いような感じも、理由はわからないが好きだった。人間の一筋縄ではいかない深い部分まで触れられている感じが良かったのかもしれない。自分自身の性格でもあったが、社交的ではない部分とマッチして、妙に納得感があったように記憶している。これらの本は自分自身を構成していく中で役立った。直接ラグビーに関係ない本を読んで育ったことは、色々な考え方を知ることや、ラグビーのもっと奥にある「自分自身は何者か?」という部分を考えるためにとても良かった。

(注1)オールブラックス…世界最強と言われるラグビーニュージーランド代表チームの愛称。ジャージの色が黒いことに由来すると言われている。
(注2)スーパーラグビー…ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・アルゼンチンの4ヶ国から計14のプロチームが参加するラグビーリーグ。

~後編はコチラ~

文中に出てきた本

日本ラグビー選手会公式
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