見出し画像

1年8ヶ月ぶりの日本代表戦を見て(後編)

RUGGERSオリジナルコラム
筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事
スクラム・ジャパン・プログラムアンバサダー

※前編はコチラ

 約1年8ヶ月ぶりの実戦となった日本代表戦について振り返る。
 前編ではポジティブな面を触れたので、後編では見ていて感じた課題から書きたいと思う。

 2試合共善戦しながらも勝ちきれなかったのには理由がある。
 ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(BIL)戦は、フィジカルの強い相手に差し込まれてしまい、前半で勝負を決められてしまった。アタックでのミスからボールを奪われて、自陣奥深くまで攻め込まれ、力で押し切られてトライを取られるシーンが散見された。
 続くアイルランド戦でも勝てるチャンスは十二分にあった。その際に、個々のタックルミスやDFラインとしての意思統一がうまくいかずに間を抜かれた。ちょっとしたボール処理が雑なシーンもあった。
 テストマッチで勝つには、個々が細かいことをきっちりやることや、役割を全うすることが重要になる。この点に関しては秋以降に修正できればと思う。この2試合の学びを生かして、さらなる成長に繋げて欲しい。

 世界のラグビーは、引き続きBILの南アフリカ遠征が行われる予定である(注1)。ワールドカップ優勝国に対してどんな戦いを展開していくのかとても興味深い。7月末にはオリンピックが開催される。
 前回4位の男子セブンズがどんな戦いを見せてくれるのか、キャプテンの松井千士選手を中心に自国開催でどう躍動するのかとても楽しみである。2015年のワールドカップメンバーであった藤田慶和選手や、長身でフィジカルが強いセル・ジョセ選手など楽しみな選手も多い。
 女子は、長年チームを引っ張ってきた中村知春選手が外れた(注2)。世代交代もある。松田凜日選手は、僕が東芝時代に一緒にプレーした松田努さんの娘さんで、小さい時からよく知っているので、オリンピアンになるのかと思うと感慨深い(注3)。アスリートはこのときのために、長い時間をかけて一生懸命準備をしてきているので、色々な意見もあると思うが、僕自身としては応援していきたいと思っている。
 オリンピックの後にはパラリンピックが待っている。前回のリオパラリンピックでは銅メダルを取った。今回は、金メダルを取れる可能性もある。コロナ禍で活動が制限されてきた中で、これまでの想定通りにいかないことも出てくるだろう。経験豊富な選手が多いことが心強い。ぜひとも8月末までに皆さんには車いすラグビーを知っていただき、ルールを覚えてテレビ等で観戦していただければと考えている。
 僕自身としても一人でも多くの人に知っていただけるように各所で普及していきたい。GO JAPAN!!!!

※注1…本原稿は7月上旬に執筆
※注2…中村知春選手はバックアップメンバーとして参加
※注3…松田凜日選手は7月24日に負傷のため離脱

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?