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来たるべき新リーグについて考える(前編)

RUGGERSオリジナルコラム
筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事
スクラム・ジャパン・プログラムアンバサダー

新リーグに必要なもの

 いよいよ来年、トップリーグは新リーグに生まれ変わる。
 参加する各チームは事業化を求められている。開幕1年目のトップ12チームに入るためには、現行トップリーグの順位成績に加え、順位以外の要素も重要視されており、各チーム共その辺りの準備を精力的に進めている。クボタスピアーズは、事業化に向けた専門スタッフを新たに雇ったと聞く。サントリーはアカデミーなどの普及に元日本代表の平浩二さんが再び戻ってくる。東芝も最近はSNSを通した発信が増えている。パナソニックは、サンウルブズのCEOであった渡瀬裕司さんがジョインしている。ラグビー協会発信のプレスリリースでは、各チームのSDGsとの絡みも報道されるようになってきた。方向性としては良いと考えている。

 新リーグはプロ化かすべきか否か。この部分を議論するのは今回はやめておこうと思う。個人的には、どこかのタイミングでプロ化することは賛成。でもその絵をきちんと自分自身が描けている訳では無い。だから無責任なことは安易に言えない。

 新リーグ化に際し、各チームの運営が変わっていく中で、内部のスタッフだけでやろうとすると、うまくいく可能性が減るだろうと考えている。スポーツビジネスの専門家の意見を聞くことや、プロジェクトに入ってもらいながら戦略的にできるかどうか。
「どこにどれぐらい投資するのか?」
「そもそもクラブとしての大義は何なのか?」
この部分を大いに議論して、それぞれのカラーや個性を作り上げることからスタートしなければならない。その後に、色々なやり方が出てくるであろう。

 さて、新リーグを事業化していく上で、具体的に4つの観点から考えてみたいと思う。「放映権」「スポンサー」「グッズ」「チケット」の4つである。

 まず放映権について、メディアからリーグ側にお金が入って、そこから各チームへの分配はあるのかどうか。この部分は僕の理解不足であるため詳しくは述べないが、最初から大きく期待できるものではなさそうである。

 次にスポンサー。こちらはこれまで意欲的に動いていたチームはその流れに乗れるであろう。これからはただ単にスポンサーになってもらって、例えばロゴを載せて広告的な価値を提供するだけでは長続きしないと思う。スポンサードする企業と一緒になって活動を行う、いわゆるアクティベーションが重要になる。スポンサーとチームが一緒になってプロジェクトを立ち上げていく必要がある。この分野は広告代理店的な企画や発想もありながら、具体的にアクションすることが必要になってくるので、チーム側も積極的にコミットすることが重要になってくる。また、このような共創活動をどう社会に発信していくのか、メディア戦略も重要になる。日本ではこの分野を担える人材がまだまだ多くないのではないかと想像している。「HALF TIME」(注)というスポーツメディアはこの辺りの教育プログラムなども展開しているので参考にすると良いかもしれない。

 次回は引き続き、「グッズ」「チケット」についても考えてみたいと思う。


(注)HALF TIME…https://biz.halftime-media.com/

~後編に続く~

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