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廣瀬俊朗と音楽(前編)

RUGGERSオリジナルコラム
「廣瀬俊朗と音楽」


筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事


~ScrumUnisonプロジェクト~

 昨年のワールドカップでは、ScrumUnisonというプロジェクトを立ち上げて、ワールドカップの盛り上がりに寄与することができた。
 「ワールドカップをどうにかして盛り上げたい。」その想いをずっと持っていたが、「僕らなりに盛り上げるには??」とずっと悩んでいるところであった。ある日の明け方、「国歌・アンセムを歌って、おもてなしをしたい!」と閃いた。そこから私の知り合いのメンバーに声をかけて、進めていった。メンバー達は、私の考えを聞いて、面白そう!!と動いてくれ、とにかくチャレンジしてみることが決まった。僕自身も歌おうと思ったが、歌詞が読めないような国歌もあったので、皆が練習できる環境を作ろうと、youtubeに動画を投稿したり、全国各地で練習会をしようとワクワクする話がどんどん出てきた。具体的に動けるところからスタートした。
 
 4月に横浜で子供たちの国際ラグビー交流試合があった。幸運にも僕たちも招待されて、そこで、ワールド・イン・ユニオンとNZ国歌を歌った。NZ国歌を歌った途端に、NZの子供達が一緒に歌ってくれて、荘厳な雰囲気に包まれた。そのあとに、割れるような拍手が起きた。その瞬間に私たちは「この取り組みはいける!」と確信した。そこから、動画の撮影に着手。地道にイベントを繰り返した。最初は、皆さんピンと来ない様子であったが、一度やってみると、なんとも言えない高揚感とその国を応援できているという幸せな感情が押し寄せてきて、どんどん仲間が増えていった。7月には釜石のテストマッチで、国歌斉唱の機会をいただいた。選手を引退してから、選手と同じグラウンドで、国歌を歌う。一緒に歌ってくれたのは、震災で流され、場所を移転した釜石東中学の皆。こんなに光栄なことはなくて、今思い出しても涙が出てくる。この頃から少しずつ活動は認知されていく。
 
 そしていよいよワールドカップ本番。試合会場でゲリラ的に練習会を何度も実施。その様子を見て、海外のラグビーファンもジョインしてくれるようになり、試合直前の国歌斉唱もとても盛り上がるようになっていった。
 スポーツは、試合が一番のコンテンツである。でも、それ以外にも楽しむポイントがたくさんあると試合観戦がより楽しくなる。特にラグビーワールドカップにおける国歌斉唱は、選手と一緒に取り組める唯一のポイントなのだ。ファンの皆さんは、自分の想いを選手に届けられるのではと気持ちも入ってくる。選手もその声を聞くとさらに頑張れる。一緒に試合を盛り上げるエンターテイメントになっていったのではないかと思う。ハーフタイムは、皆でスイート・キャロラインを歌ったり、太鼓を叩いたりと観客同士で楽しむ。試合中はイヨーーーッツと皆で叫ぶ。音のおかげで、自分たちの興奮度が増していった。試合の勝ち負けは重要であるが、それ以上に皆で何かを作ったり、楽しむことができたという観点から満足度が高くなっていったと思う。今、考えても本当に幸せな時間であった。

スクラムユニゾン1

(ワールドカップでの筆者)

~後編はコチラ~

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