Super Rugby Pacific 2023 NZチームのスカッドが発表。注目ポイントは?

来年の2月24日に幕を開けるスーパーラグビー・パシィフィック2023 に向け、NZフランチャイズチームの全6チームが来シーズン戦いに臨むの38人(チームによって異なりますが)のスカッドを発表しました。

開幕に向けて準備を進める総勢190人の選手と、タイトル獲得に向けた各チームの形勢について、記事を引用しながら、ご紹介出来たらと思います。

🔴クルセイダーズ⚫️

6年連続13度目のスーパーラグビータイトルを獲得し、Dynasty(王朝)を築き上げている昨年度のSuper Rugby Pacific覇者クルセイダーズは、12月初旬にクライストチャーチのラグビーパークに集合し、2月24日にオレンジセオリースタジアムで行われる開幕戦に向けてお馴染みの顔ぶれと新しい才能で構成されています。

2022年のNPCで印象的な活躍を見せていたクルセイダーズアカデミー出身の20歳フッカーのジョージ・ベルさん、そしてワイカトのファーストファイヴエイト(10番)タハ・ケマラさん、タスマン・マコの19歳のアウトサイドバックマッカ・スプリンガーさんなどの有望株との契約、ブルーズで2015年から2019年の間に64キャップを獲得し、ここ数シーズンはプレミアシップのウスター・ウォリアーズでプレーしていたサモア出身のメラニ・ナナイさんの加入などが発表されました。

中でも注目は、2010年から2015年までクルセイダーズでプレーしていたハーフバック、ウィリー・ハインツさんの復帰でしょう。彼はイングランドに渡り、グロスターとウスター・ウォリアーズでプレーした後、2019年にイングランド代表に選出され、2019年のラグビーワールドカップ日本大会でオールブラックスと対戦するなど、テストマッチ19キャップを獲得しています。

今年のスーパーラグビー・パシィフィック2022で活躍を見せたアルゼンチン代表パブロ・マテーラさんの日本の三重ホンダヒートへの移籍、長年チームを支えてきたブリン・ホールさん(日本の静岡ブルーレヴズへ)、ジョージ・ブリッジさん(フランスのモンペリエへ)の移籍などがありますが、負傷しているクルセイダーズのイーサン・ブラックアダーさん (肩)、カレン・グレース さん(肩)、ジャック・グッドヒュー さん(膝) がシーズン開幕までは間に合うと予想されており、ヘッドコーチのスコット・ロバートソンさんは「今年は、経験豊富なベテランと、信じられないほど勤勉な新しいクルセイダーが揃い、バランスのとれたチームになっています」と今年も制覇に向け自信を覗かせています。

🔵ブルーズ⚪️

昨年ファイナルで敗れ、今年こそ2003年以来となるスーパーラグビータイトル獲得に向け雪辱を果たしたいブルーズは、元オールブラックでセブンズの伝説的存在であるエリック・ラッシュさんの息子であるノースランドのブラインドサイドフランカー、ロブ・ラッシュさん、プロップのジョシュ・フシトゥア、アウトサイドバックのカレブ・タンギタウが新たにチームに加わりました。

ブルーズを率いるレオン・マクドナルドHCはロブ・ラッシュさんについて、「ロブは、ノースランドで実に良いシーズンを過ごし、ブルーズで何年もその技術を磨いてきました。彼は、スクラムサイドでのフィジカルに存在感があり、非常に優れたエンジンと仕事量を持っています。スーパーラグビーの環境で彼がどのような活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです」と期待を寄せています。

長年チームを支えたカール・トゥイヌクアフェさんがフランスのモンペリエへ移籍、ジョシュ・グッドヒューさんが日本のリコーブラックラムズ東京への移籍、ベテランのルーク・ロマーノさんの引退が痛い所ではありますが、故にパトリック・トゥイプロトゥさんが日本からの復帰は大きいでしょう。

スタープレイヤーであるボーデン・バレットさんやリーコ・イオアネさんとの契約が2023年までであり、2人とも海外移籍が予想されている為、ブルーズにとって来シーズンのスーパーラグビーパシィフイックのタイトルは是が非でも欲しい所なのかも知れません。

🟠チーフス⚫️

38名の選手のうち、15名はオールブラックスでの経験があり、7名は現在のオールブラックスのスカッドに、5名はオールブラックスXVに名を連ねているというスター軍団へと進化したチーフス。中でも特筆すべきは、月並みではありますが、ダミアン・マッケンジーさんの日本からの復帰でしょう。こによりブリン・ガットランドさんとリベス・レイハナさんを含めスーパーラグビー随一のファーストファイブエイトの層の厚さを誇ることになります。

チーフスのヘッドコーチであるクレイトン・マクミランさんは、「新加入は4名のみで、ファンに人気のあるダミアン・マッケンジーの復帰も加わり、セレクションには一貫性があります。これは、私たちが正しい方向に進んでいると確信していることが反映されています。比較的若いチームは順調に成熟しており、チーム全体に真の結束力と深みが出てきました。夏の間に練習に打ち込み、来年は熱心なファンの前で活躍することを楽しみにしています」と述べています。

2023年にチーフスに加わる新戦力のうち、ガネ・プニヴァイさん、マナアキ・セルビー・リキットさんの2人はハイランダーズからの移籍組で、スーパーラグビーの経験を何シーズンも積んでおり、ミッチェル・ブラウンさん(日本の横浜キヤノンイーグルスへ移籍)、ケイレブ・トラスクさん(日本の三重ホンダヒートへ移籍)、ジョナ・ロウさん(ハイランダーズへ移籍)、チェイス・ティアティアさん(オーストラリアのウエスタン・フォースへ移籍)が抜けたを穴を埋める補強になっているのではないでしょうか。

チーフスが、クルセイダーズとブルーズの巨大2大勢力にどう食い込み、優勝争い繰り広げていくのか注目です。

🟡ハリケーンズ⚫️

2022年からの主力メンバーは維持される一方、新たに5名の選手が加わるハリケーンズは、注目の若手ピーター・ラカイさんとライリー・ヒギンズさんを含む、22年振りの優勝となったウェリントンのNPC優勝チームから15名が選出されています。

特に19歳ナンバー8のピーター・ラカイさんにはキャプテンのアーディー・サヴェアさんが、2024年には日本の神戸コベルコスティーラーズでプレイする為に不在となるため、大きな期待が寄せられており、その才能にはホランドHCも太鼓判を押しています。

ワイカトからダン・シンキンソンさん、クルセイダーズからキニ・ナホロさん、釜石シーウェイブスRFCからブレット・キャメロンさんも加入し、ハリケーンズのヘッドコーチのジェイソン・ホランドさんは、「キニは以前からスーパーラグビーにも参加しています。彼はフィニッシュもできるし、パワフルな若い才能の持ち主なので、新たに加わる選手としてはしっかりした選手だと考えています。シンキンソンはNPCのワイカトでプレーしていました。昨年の今頃、(ジョシュ)モービーに見られたような、我々が求めている特性をすべて持っている選手ですね」とスコットランドのエディンバラへ移籍するウェス・グーセンさんの抜けた穴を埋めてくれる存在として期待を込めているようです。ブレット・キャメロンさんは、花園近鉄ライナーズに移籍が決定したジャクソン・ガーデン・バショップさんと入れ替わる形でチームに加入します。

そして、大きく注目されているのはジョーディ・バレットさんがどこで主にプレイするのか?という点。センターなのか?それともフルックに戻るのか?これについてホランドHCは「私は彼の12番が好きです。15番と同じように、 12番だと思っています」と話し、センターでの起用を継続していく事を明言しました。なので、フルバックはオールブラックスとして期待のかかるルーベン・ラヴさん、ジョシュ・モービーさんの起用が増えるかも知れません。そして、TJペレナラさんがアキレス腱を断裂してしまい、来シーズンのプレーが絶望的である為、オールブラックスXVにも選出された22歳の若きスクラムハーフ、キャム・リンガードさんにとっても大きなステップアップを果たすシーズンになるかも知れません。

ニュージーランド全体が嘱望する多くの若手が在籍するハリケーンズは注目です。

🔵ハイランダーズ🟡

来シーズンからハイランダーズを指揮する新ヘッドコーチ、クラーク・ダーモディさんの下でチームの再建を図るチームは、NPC決勝に進出し、オールブラックスXVの北半球ツアーにも選出されたビリー・ハーモンさんが新たにキャプテンに任命されました。

ダーモディHCはこれについて「ビリーと最初に話したときから、彼はこの仕事をやりたがっていました。フィールドでのプレーレベルが常に一流であることは明らかですが、それだけではなく、素晴らしいリーダーシップのスキルも持ち合わせています。彼はとても冷静沈着な男で、今年もカンタベリーで素晴らしい仕事をしたと思います。今シーズン、彼が我々のリーダーシップ環境に大きなプラスとなることは間違いないでしょう」と述べました。

チームにはオタゴのロック、ファビアン・ホランドさんとチーフスのウィング、ジョナ・ロウさん、そして、期待の若手としてオタゴで、ニュージーランドU-20代表にも選ばれているファーストファイヴエイト、キャム・ミラーさん、同じくオタゴのロック、ウィル・タッカーさん、ベイ・オブ・プレンティのルースフォワード、ニコラ・ブロートンさんが加入しています。

ダーモディHCは、期待の若手3人について「ウィル、キャム、ニコラの3人は、この12ヶ月間でその潜在能力を発揮し、スーパーラグビーでの輝かしい未来が目の前にあると信じていますし、若い才能の発掘とハイランダーズのジャージを着て何を達成できるかを想像するは常に刺激的です」と述べました。

クリスチャン・リオウィリー(クルセイダーズへ)とマナキー・セルビー・リキット(チーフスへ)を失い、選手層は薄くなっているのかも知れませが、パリパリ・パーキンソンさんやジョナ・ナレキさんが復帰してくれば十二分に戦える陣容は揃っているはずです。

しかし、残念なのがフォラウ・ファカタバさんのACL再断裂による復帰の不透明さでしょう。キャプテンを交代したベテランのアーロン・スミスさんに大きな負担がかからなければ良いのですが。

🔵モアナ・パシィフィカ🔵

そして、最後はニュージランドチームの中で、一番遅い発表となったモアナ・パシフィカ。アーロン・メイジャーHCは、来年のスーパーラグビーパシフィックシーズンに向けて、試行錯誤を重ね、2023年のスカッドに一人だけノンキャップの新人選手を迎え入れました。

この栄誉は、フィジーのスバで最近開催されたワールドラグビーパシフィックコンバインで、メイジャーHCーとフォワードコーチのフィロ・ティアティアが指名したサモア出身のルーズフォワード、ミラクル・ファイイラギさんに与えられました。

モアナ・パシフィカのコーチングスタッフは、2人の選手に2023年のプレシーズンのトレーニング契約を結ぶでコンバインに参加しましたが、代わりにファイラギと来シーズンの正式契約を結びました。メイジャーHCはファイイラギさんについて「ミラクルは、謙虚さ、尊敬、そしてタウトゥア(奉仕)を感じさせる天性のリーダーです。サモア代表としてラグビーセブンスに出場していたこともあり、フィットネスの基礎がしっかりしていて、ワークレートも高く、強靭な精神力を持っています」と話しました。

今回のスカッドには、サモアまたはトンガで国際的な経験を積んだ26人の選手が含まれており、その多くが最近のオータム・ネーションズ・シリーズで活躍しています。オーストラリア代表のセコペ・ケプとクリスチャン・レアリィファノも加えると、国際試合出場選手は28人となりました。

「昨年は非常に経験の浅いチームでしたが、それはスーパーラグビーデビューを果たした32人の若者たちが物語っています。この12ヶ月の間に、選手たちは成熟し、成長しましたし、それは高いレベルでプレーすることによってのみ得られるものです。昨年は3週間しかなかったプレシーズンを、今年はフルに使うことができます。このチームには大きな可能性があり、39人の契約選手は、途切れることのないシーズンで才能を発揮する機会を得るに値します」とメイジャーHCは来シーズンに期待を込めます。

という事で以上になります。さらに詳しい注目選手などはシーズン開始前のプレビューでやられたらと思うので、またよろしくお願いします。

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