”ラグビーインド代表監督で得た学び”#13 インドに適した練習方法とは
日本ラグビーフットボール協会公認 S級コーチの神宮寺です。
今回は2018年にインド代表監督としてアジア選手権に出場した際のスペシャルな経験から得た学びを綴りたいと思います。私がコーチとして得た学びが皆さんのコーチングを豊かにするお手伝いができたら幸いです。
最適な学びへの環境作り
インド代表選手たちが最適に学べる環境を整えたい。そして、インド代表の強化とともに、インドラグビーの未来につながるRUGBYがしたい。
彼らが自チームに戻ってコーチングが出来るような学びの場作り も意識しながら、コーチングに取りかかった。
最適な学びの環境を創出する為、インドカルチャーを取り入れたコーチングの「お題」は以下6点。
これを可能にする練習計画のイメージが、以下のビックマック方式。
基本は【1】バンズ→【2】パティ→【3】レタス&チーズ の組立て
【1】 バンズ
彼らが大好きな練習、それは試合形式(Game系)の練習。
コンタクト練習が嫌いな彼らでも試合形式となるとハッスルしちゃうので、Game形式の練習を、一番最初の練習に導入した。
(副次的な効果として試合の入りも良くなればと考えた)
最初からGame形式ということで、グラウンドに来る時間も早くなり準備運動も事前に行うようになった。
【2】 パティ
Game形式練習からピックアップした改善練習。
Gameをイメージしたままの状態かつ、難しい設定を排除して練習のテンポをあげているので、集中力がキープされやすい。
(ゲーム直後なのでコンタクト練習も進んで行う傾向にあった)
また、ゲームライクな練習をすぐ再開出来るよう、マーカーは簡単にセットアップ出来るよう工夫した。
【3】レタス&チーズ
次のGame形式に向けた新しいチャレンジ課題の練習。
この練習そのものが次のフォーカスポイントになるので、Game形式をイメージした状態で練習ができる。
集中力を持続させる工夫として、ゲーム→改善→同じテーマの課題(例えばDEF)にフォーカスを絞って行う日や、改善(DEF)→新しい課題(ATT)→Game(DEFからATTへのトラディション)のように頭の切り替えが必要なパターンなど、大まかな練習の流れは決まっているが、様々なパターンを組み合わせながら練習を作成した。
ATTとDEFをわけて学ぶべきスキルにフォーカスすることも必要な手法だと思うが、私は攻防一体で考えるのが好きなので、トラディション系の練習を多く入れる傾向がある。
また、【1】バンズ →【2】パティ →【3】レタス&チーズ の1回だけの組み立てではなく、Game→改善→新しい課題→Game→改善→新しい課題→Game→振り返り」 というローテーションで練習を組んでみた。
それぞれの練習のフォーカスポイントをバラバラにする日もあったが、定着度を高める(習慣化を狙う)ときは、同じ練習パターンを2度繰り返す日もあった。
Game部分は、難易度やスキルの定着状況、疲労度によって強度(速さ/強さ/時間)のコントロール をおこなった。
<学びの環境を整える為に改善した項目>
(1)笛でコントロールしない練習
(2)ゲームライクな練習
(3)知らず知らずに走っている
(4)1度の練習枠で6つ以上の練習
(5)マーカーを極力使わない練習
(6)時間通りにグラウンドに着たくなる練習
<学びのまとめ>
●選手が最適な学びを得ることを軸に練習を構築する
(選手のカルチャーにあわせたPlan)
●ゲームライク中心の練習は怪我人を出すリスクを抱えているので、難易度やスキルの定着状況、疲労度によって強度(速さ/強さ/時間)のコントロールをする
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