見出し画像

【小学校低学年までのラグビー】まずは"キャッチ"

ラグビーを始めた小学校低学年の選手の前に、
最初に立ちはだかる壁

それは、

「自分に向かって飛んでくるボールを、
手(胸ではなく)でキャッチする」

という技術である。

小学校低学年を約10カ月間(2024年6月時点)指導してみて
つくづく感じた。

ラグビーをプレーする上で大切なのは、

"スピード豊かなランニング"でもなく、
"巧みなステップ"でもなく、
"力強いタックル"でもなく、
"速く長く伸びるパス”でもなく、

「自分に向かって飛んでくるボールを、
手(胸ではなく)でキャッチできる」ことだ。

大人である私たちにとって、

自分に向かって飛んでくるボールを、
手(胸ではなく、手首から先の部分)で
キャッチするという技術は、

ボールが余程速くない限り、
それほど難しい技術ではないが、

多くの小学校低学年にとっては、
経験したことのない、
高いハードルとなる。

しかし、この技術は、
野球のキャッチボールや、
バスケットボールのドリブルのように、
「これができないと野球にならない」
「これができないとバスケにならない」のと同じ、
「キャッチができないとラグビーにならない」と言えるほど、
大切な技術なのである。

キャッチができないと、
まず、ボールをもらうことに消極的になってしまうし、
そういう選手は、
チームメイトから中々パスをもらえない。

こうなると、
試合で、ボールを1回も触らないまま、
試合終了なんてことが起きてしまい、、

ラグビーを楽しめなくなってしまうのだ。

では具体的にどうすればよいのか。

他のスポーツを見てみると、

例えば野球

野球はキャッチボールができないと
試合が成立しないため、
「キャッチボールが全ての基礎」
というようなことが言われ、

実際の練習でも、
1対1のキャッチボールは、
毎回、全選手が行う。

これは少年野球でもプロ野球でも
同じようだ。

キャッチボールという技術が、
野球というスポーツを成立させ、
楽しむための基本技術として重視され、
十分な時間が割り当てられている。

私は、このキャッチボールの、
狙ったところにボールを投げる、
ボールを確実に捕球する、
という技術は、

ラグビーにおいても、
野球と同じくらい大切だと思うし、

それに応じた
練習時間を確保するべきだと考えている。

そうしないと、
ラグビーが大好きな子どもを増やすことが
一番の目的である
育成年代のラグビーが、

結局、
タックルに負けない体格やパワー、
ディフェンスを切り裂くスピードや敏捷性を持つ選手のためだけの
ラグビーになってしまうと考えるからだ。

体格、パワー、スピード、敏捷性に秀でた選手に、
そうでない選手が伍していくには、
パスやキックの技術や、
ポジショニング、
ゲーム理解度を高めることが必要で、

それらを高めることができれば、
仮に、体格、パワー、スピード、敏捷性に秀でていなくても、
十分にラグビーを楽しめる(主役になれる)はずなのだ。

それが、
ラグビーの魅力の一つであるはずだし、
育成年代だからこそ、
重点的に指導すべき技術だと考えている。

練習時間を確保したところで、
具体的に何をやるべきか考える前に、

まず、小学校低学年の選手について、
理解する必要があると思う。

私が思うに、

小学校低学年は、
野球やミニバスなど、
ボールを手で扱う球技をしていない限り、
ボールを手でキャッチするという
経験がない子がほとんどである。

そんな彼ら・彼女らにとって、
自分の顔ほどもある大きさの物体が、
自分に向かって飛んでくることは、
恐怖でしかなく、

捕り方も分からないし、
捕り損なったら、
痛い思いをするかもしれない、

とにかく、怖いのだ。

小学校低学年は、
ボールをキャッチするのが怖い。

これをまず認識することが大切だ。

だから、この恐怖を取り除くことが、
指導者の最初の仕事になる。

具体的には、

怖くない距離、
怖くないスピードでの、
1対1のパスのやり取りから始めて、
距離を徐々に広げていく。

この練習で使うボールだが、

ラグビーボールはゴム製とは言え、
突き指の危険や、
顔に当たれば、
当たり所によっては、
それなりに痛いので、

できれば、最初はラグビーボールではなく、
新聞紙を丸めたものなど、
絶対に突き指しない、
万が一顔に当たっても痛くないものから
始めることをお勧めする。

目的はあくまでも、
「怖くない」と思わせることなので。

最初は胸で抱えるようにキャッチするのでも良い。

ただし、目標は、
手(手首から先)でキャッチできるようにすることなので、
胸でのキャッチに慣れたら、
徐々に手でのキャッチに移行することを
忘れないで欲しい。

新聞紙を丸めたものから、
ラグビーボールへ、

距離を徐々に伸ばしていく、

スピードを上げると、
球威が増すので、
スピードアップは特に慎重に行う。

これを時間をかけて、
粘り強く繰り返し、
ボールを手(手首より先)で
キャッチすることへの恐怖を取り除くのだ。

ボールを手(手首より先)で
キャッチすることへの恐怖を取り除いて初めて、
パスや、
走りながらのキャッチ&パス、
ライン攻撃などの練習が可能になる。

ボールを手(手首より先)で
キャッチすることへの恐怖を取り除くことができなければ、
小学校低学年のラグビーは、
体格、パワー、スピード、敏捷性に秀でた選手のためだけの
ラグビーになってしまうのだ。

私はまだ、
約10カ月間(2024年6月時点)しか
小学校低学年を指導していないが、
強く確信している。

指導者の方はもちろん、

保護者の方で、
自分の子どもが、
他の子どもに比べて、
体格、パワー、スピード、敏捷性に
秀でてはいないなと感じている方は、

とにかく
”手でキャッチ”
できるようにすることに、
時間と労力をかけて欲しいと思う。

その壁さえ乗り越えれば、
ラグビーが本当に楽しくなる。

極論だが、
小学生のうちは、
タックルなんてできなくても良いし、
※危険な姿勢を避ける技術は必要

仮にタックルができなくても、

ボールを確実にキャッチでき、
狙ったところにパスができれば、
十分にラグビーを楽しむことができる。

それで良いのだと思うし、
指導者側がその位の感覚でいた方が、
子どもたちが、
ラグビーを好きになってくれると思う。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?