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風になる

ロケット花火と並走してみたくなった

どうすれば可能か?

もう小学生じゃないとは言え

エンジン付きの物にも乗れない

自転車しかないな

・・・

自転車のハンドルの真ん中に筒を付け

ロケット花火を装着できる様にした

いつも何か抜けた感じのする友人は四つぐらい付けている

それ趣旨変わってるよね・・・

そう思ったが突っ込むのはやめて愛想笑いしておいた

「良いねー」ぐらいの言葉を添えて

友人が点火して走り出す

四方向に飛んでいくロケット花火

四つに点火する時間に手間取り並走どころではない

ただいつも通り飛んでいくロケット花火

右斜め前に飛んで行ったロケット花火が

『コーーン!』と良い音を立てた

何に?

何に当たったの?

・・・

黒くておっきい車だ

ベンツと呼ばれているらしい

「じゃあまた明日!」

そう挨拶をしてわたしは全力でペダルをこいだ

こんなに時が止まっている情景は見たことがない

わたしは風になった

どのルートで帰宅したのかは覚えていない

冷静に思い出すと

友人が「待ってー!待ってよー!」と

叫んでいたことが記憶にあるらしい

「らしい」と言うのはそのぐらい覚えていないけれど急に思い出したからだ

いま大人になったわたしなら、まず謝罪する

「怖い」よりも「申し訳ない」が先に来るだろう

・・・いや

ロケット花火しないかな


るどるふ

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