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luna

わたしたちは、出会うべきして出会ったの。

遥か遠い遠い昔から
約束をしていたように

運命や奇跡や
そんな言葉でも表せない

もっともっと深いところで
約束をしていたような

あなたが待っていてくれたから
あなたがわたしを見つけてくれたから

わたしたちは出会うことが出来た。


心が魂が求め合って細胞が叫んでる。


あなたとは
文字を交わすだけで分かち合えて
肌を触れ合うだけで溶け合える。

あなたが隣にいてくれれば
不安なんてなくて

あなたをどうしようもなく愛している。

心のバランスをしっかり保って
心の奥でふわっと
あなたをとなりに感じて
優しい気持ちになれる。


今秋、皆既月食があった。

赤褐色の月が苦手なわたしは
一瞬にしてその日を迎えることに脅えた。

皆既月食と天王星食が重なるとか
今までそんなことは5000年無かったとか
皆既月食と惑星食が重なることが
442年ぶりに起こるとか
盛り上がっていたけれど
わたしには恐怖しか無かった。

あなたに助けを求めてしまう。

この日をひとりで迎えるのが怖い。

あなたは、会いに行くよ。

と言ってくれた。

突然の事で驚いたけれど
あなたと一緒なら、月が見れるかもしれない。
見れなくても、怖くなったら
あなたの腕にしがみついて
腕の中に隠してもらおう。

写真を撮ることが上手なあなたに
撮り方教わって
月の写真も撮ってみよう。

それくらい、前向きな気持ちになれた。


そして、夏に果たせなかった約束を
果たして欲しい。

そうお願いする。

あなたは快く承諾してくれて
わたしの胸は高鳴りっぱなしだった。

当日。
仕事で遅れて初めてあなたを待たせてしまった。

駅の真ん中で待っていてくれたあなたは
とてもとてもカッコよくて絵になっていた。

腕を広げて走ってあなたの腕の中に飛び込む。

息が止まるくらい
骨が折れるくらい
ぎゅうぎゅうに抱きしめてもらう。

会話はいらない。

おでこをくっつけて
鼻を合わせて
目を瞑って
想いを伝え合う。

ふと、あなたの香りが変わっていた。

聞くと
「オレンジの香水を付けると思い出してしまうんだ...」
消え入りそうな声で言われた。

苦しい想いも寂しい想いも
会いたい気持ちも触れたい気持ちも
全部全部をきっと思い出してしまうのね。

それくらい、あなたにもわたしにも
呪いのような香りになってしまったのね。

わたしたちは離れている間に
どれだけ馬鹿みたいに想い合って
どれだけ馬鹿みたいに信じ合っているのだろうか。


あなたじゃなきゃダメで
わたしじゃなきゃダメで

あなたに想いを馳せて
わたしに想いを届けてくれる。

あぁ、なんて泥臭いくらい
ふたりは馬鹿みたいに人間臭いのだろうか。


外で座りながら夜空を見上げる。

寒くなってきたね。
と言いながら
あなたにたくさん抱きしめてもらいながら
月食の様子をふたりで見つめる。

赤い月なんて怖くて見上げられないと思ってた。

でも、あなたがそばにいて隣に入れるだけで
こんなにも心がぽかぽかと温かくなって
安心して欠け始める月を見られるなんて
思ってもみなかった。

あなたは始終嬉しそうに笑っていて
わたしもつられてずーっと笑顔になって
あなたに寄りかかって
わたしに甘えて
なんて幸せな時間だったのだろう。

たくさん月の写真を撮った。
たくさん2人の写真を撮った。


わたしの宝物がたくさん増えた。

一分一秒があんなに素敵な時間で
大切にしたいなんて思ったことは
初めてだった。

全てをわたしの目にあなたの目に
焼き付けておきたい。と、そう思った。

このまま時間が止まればいいのに。
何度願ったことか。


まるで、この日に会うことが
むかしむかしから決まっていたような
そんな一日だった。

わたしはきっと、
この日を一生忘れることは無い。

それくらい
あなたに満たされて
あなたに守られて
あなたを守りたい

そう思えた一日だった。


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