高GDP地帯は、森林を生む+温帯にあるという条件を満たすのでは?
各国の森林率
この図は国ごとなので大雑把にしかわかりません。もう少し詳しい図を見てみましょう。
世界の森林分布
この図を見ると。森のある場所はある程度固まっていることがわかります。
ケッペンの気候区分
後の2種類の地図を見比べると、赤道付近と、高緯度地方に大きな森林があり、中緯度地域に存在する森林は少ないことがわかります。ケッペンの気候区分でいうと、赤(青)と濃い緑(寒帯)に森が多く、黄緑と水色(温帯)に森がある地域は、北アメリカ大陸のメキシコ湾北岸、ヨーロッパ中部、インド東部から日本にかけてのアジア、オーストラリア大陸東岸くらいです。
一人あたりGDP
熱帯と沙漠地帯は一人あたりGDPが低くなっています。
論評
私は、植物の生育力が強すぎることも弱すぎることもない地域では、適度な労力によって農地を維持管理しながら、十分な量の収穫が得られると考えます。この結果、農耕が発達し、文明誕生につながったと考えています。そうした地域に該当するのが、今回まとめてみた、森林で覆われた温帯地域です。これ以外の地域では、植物の生育力が強すぎて農地を維持しにくいか、生産量が少なすぎると考えます。
この仮説に当てはめてみると、インドと中国のGDPが思ったよりも低く、カナダや北欧のGDPが割と高いようです。カナダと北欧については、工業化や鉱物資源が影響しているかもしれません。やや寒い地域であっても、森ができるほどの自然の豊かな地域であれば、現代の文明力により豊かさを実現できるという見方もできるかもしれません。インドと中国については、通貨換算の影響や、国土全体に占める、森林を生む温帯という気候の地域が少ない影響かもしれません。いずれにしても、荒涼とした地域や、熱帯雨林ができるような地域では、そもそも現代的な豊かさを実現することは難しい可能性があります。
BRICsに着目してみると、いずれも森*温帯を満たす土地はそれほど広くなく、成長の余地はあまりない可能性があります。
日本は、この条件を満たす貴重な地域の一つですから、国外勢力にとって魅力的な侵略対象となってしまう可能性があります。
いずれにしても、そもそも人類も動物であって、食物を必要としています。必要な食物を農耕によって生産しやすい地域で都市ができ文明が発展していくことは当たり前です。しかし、この当たり前のことを前提としないで、経済活動や国際関係について考えてしまってきたように私には思えます。
今は、科学の力により、どんな場所でも農地にできるように思いこんでいるように見えます。けれど、実際には、水の確保や太陽エネルギーの量といった問題により、長い歴史と同じく、農業に適した場所の制限を解除することはできないでしょう。食料増産を考えず、自然環境を維持する方向への転換が必要だと思います。
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