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プレスリリース 日米の違いとトレンド 【補足】

前回「プレスリリース 日米の違いとトレンド」で日本語リリースと英語リリースの違いや英語リリースを和訳する際に気を付ける点などを紹介しましたが、1点補足したいと思います。

外資系企業が日本発のオリジナルニュースを出す際のプレスリリースについて、何度か質問を受けたことがあります。英語リリースの翻訳ではなく、日本語でイチから作成する際の取り扱いについてです。

企業によってルールは違ってきますが、標準的な手順は次のとおりです。

1、 日本のメディアに受け入れられやすい事実情報重視の簡潔な文面でドラフトを作成する
2、 本社承認用の英語版を作成することを想定して、英語版に必要な要素を加える(社長コメントなど)
3、 共同発表の相手がいる場合は日本語版で内容をつめて、事実関係をすべて確認し、日本サイドの関係者および法務に確認してもらう
4、 確定版に近づいた日本語版をもとに、本社承認用の英語版を作成する。その際に日本語版をそのまま訳すのではなく、要素を全て網羅しつつ、英語のプレスリリースとして成り立つように組み替える
5、 承認用英語リリースを本社に送り、本社広報メンバーの追加・訂正をうけ、日本語版に反映させる
6、 改定済英語版をもとに本社法務の承認を得る。承認が出た時点で、日本語オリジナルリリースの対外的な配信にも承認を得ることとなる
7、 【オプション】承認用英語リリースをもとに、本社発で英語リリースを出すことになった場合は、本社スタッフによる英語版のリライトを経て、外部発信に利用できる正式な英語版が完成

上記のステップを踏むことで、日本のメディアに受け入れられやすいプレスリリースを作成するという最大の目標を達成しつつ、本社承認もスムーズに得ることができます。

日本でしか配信しないリリースをどうして英訳する必要があるのか?と思うかたもいらっしゃると思います。

理由は、正式な承認を得るために必要な手順である事に加えて、この過程を経ることで本社からの信頼も上がり、結果として日本国内での広報活動の自由度を高めることに繋がるからです。本社から信頼されることで、本社が独自に作成した英語リリースをただ翻訳するたけの役割からステップアップすることができます。

リリースの作成のみならず、本社からの信頼を勝ち取るというのは広報担当としてかなり重要なポイントだと思います。これは事業会社の広報としても、PR会社の担当者の立場であっても同様です。

日本で広報活動を行うにあたって、本社が出してくる情報や指示してくるPR手法をそのまま適用しないほうが良い場合も多々あります。それをいかに、状況を説明したうえでカスタマイズできるか、そして、良い結果を出せるかどうか、が重要なのだと思います。

結果が出れば、本社を納得させて、さらに自由度が増して日本市場に合った広報活動が実施できるという、良い循環が生まれていくはずです。

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