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その涙は何色か?

こんにちは!
今日は、泣く演技と涙のお話です。

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私は普段あまり日本のテレビドラマは見ないのだが、いつだったかある女優さんが泣いているシーンをたまたま見たときに「涙に全然色がないな」と思った。

確かに涙は見た目には色がないけれど、悔し涙とかうれし涙とか言われるように、そういう感情の“色”は出てくるものだと思う。
少なくとも私はそれを感じる。 

どうやらそのシーンは仕事でうまくいかず悲しくて泣いているシーンで、
その女優さんの泣いている横顔はキレイだったがそれは外側の見た目がキレイなだけで、内側の感情が全く見えなかった。

目薬を使っていたのかもしれない。でも、それにしても、だ。


私は視覚的に涙がこぼれる演出が必要なら目薬を使うのもアリかなとは思っている。その場合、しっかりと感情が伴っていればその涙はたとえ目薬だとしても見ている側にはあまり違和感がない。
つまり目薬を使う使わないはあまり関係なくて、大事なのは俳優の感情が役として動いているかどうか。

もっと言うと、涙だろうと目薬だろうと実際に目から水滴がこぼれているかどうかも見ている人の心の揺れ具合にはあまり影響がない。
ちまたでは「泣いているから・涙が出ているから、あの俳優は演技が上手い」などという人がいるが、そこじゃない。
たとえ水滴が頬をつたっていなくても俳優の内側で役として心が動いていれば見ている側にもそれは必ず共振する。



ちなみに…
これは演技訓練を続けている中で気づいたことだが、私の場合、日常生活でも演技をしている時でも涙の最初の一粒が左目から流れたか右目から流れたかで涙の質が違う。

最初の一粒が左目からこぼれ落ちた時はいい涙。
感動したり嬉しかったり。悲しい涙や悔し涙だとしても「純粋に」感情が動いたとき。
演技中だと、とてもクリアな状態で役として泣いていて、雑なものが一切ない非常に良い状態。


最初の一粒が右目からこぼれ落ちた時は要注意な涙。
同じ悲しい悔しい感情でも、私自身の過去のトラウマや感情的に未解決な問題に触れているサイン。この涙で泣いているときは体にも負荷がかかっている。
演技中だと、役を隠れ蓑にして私自身が感情を発散させていたり、私の個人的な雑なる感情が入っているとき。つまり100%役としてそこに存在していないことになる。

一般の方だったらここまで分析したり理解する必要もないんだけど、俳優の方ならこの二つの違いの重要性がわかるはず…



こんな風に涙一つでも意味合いが違うから、当然色も違う。

どんな色の涙もクリアに流れるように、整った心を豊かに保っていたいものだ。

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