シンガポール珍道中~4日目~空港へ
シンガポールの朝は遅い。
目が覚めると、外が暗かった。
「早く目がさめちゃったな・・・・・・」
ゆっくり起き上がって、時計を見る。
「6:50」
数字の意味が理解できず、固まる。
ええと、もしかして、疲れすぎて昼を越して、夕方まで寝てた?!
今日の日程が、全部吹っ飛んだのか!?
頭がパニック。いや、ちょっと、どうしよう!
落ち着け~、落ち着け~。
深呼吸して、よくよく考える。
「6:50」
午前だな。うん、これは午前だ。
朝の6時50分。
そうこうしているうちに、水平線がじんわりとオレンジ色に輝き始めた。
日の出だ。
予想外の美しさに言葉が出ない。
身支度をしているうちに、ビル群の向こうに広がるインド洋から、太陽が姿を現した。
マリーナベイの建物は、鏡のように太陽の光を反射して淡いオレンジ色に輝いている。まるで水彩画のような風景。
シンガポールの夜明けを見るのも今日が最後。
午後には日本へ発つ。
さて、昨日の夜、食べ損ねた分まで、食べよう。
結局昨日は、ムスタファ・センターで買った「ヤンヤンつけボー」ならぬ「ヌテラつけボー」を数本食べただけ。お腹がすいた。
今日は洋食。
サラダ(レタス、ルッコラ、いんげん、クスクス、ミニらっきょうにごまドレッシング)、ミニフランスパン、スクランブルエッグ、ベイクドトマト、チーズ、カリカリベーコン。
ベイクドトマトが美味しかった。中くらいのトマトを見つけたら、うちで再現したい。
奥に見える白い花模様のものはバター。バターまで素敵すぎる。
お腹に優しそうな中華スープもチョイス。
漢方のようなものを麻布に詰めて、鍋に浸してあった。元気になれそう。
デザートは、ペカンナッツ(多分)のアイスクリームとオートミール、アーモンドチョコ2つ。
「What is Today's ice cream?」と聞けるくらいには英語に慣れてきた。
お腹の調子が良ければ、アイス全種類食べたかった。
ちなみに、リッツカールトンのホテルのロビーにはクッキーも数種類、大きな瓶に入って置かれている。もちろん無料。
私が食べたのは「海南鶏飯味」食べたら、本当にランチで食べたあの海南鶏飯のソースの味がした。びっくり。
朝食を終えて部屋に戻るとすっかり夜が明けていた。
シンガポールの日の出、日の入りは一年を通してほとんど変わらない。日の出も日の入りも7時ごろ。
日本で暮らしていると、夏は日の出が早くて、日の入りが遅く、冬は日の出が遅くて、日の入りが早いのが当たり前だけど、シンガポールでは、年中夏なのに日の出が遅く、日の入りも早い。日本の四季の感覚が、がっちりと染みついていると、とても不思議な感じがする。こういうことに気づくのも海外旅行の醍醐味。
この日の出の遅さについて調べていると、おもしろいことが分かった。
シンガポールと日本の時差は「1時間」。だけど地球の経度からいうと本当は「2時間」なのだという。
若いころ唯一旅行に行った香港も時差は1時間。シンガポールは香港より東にあるのに、同じ1時間なのは不思議だと思っていた。
マレーシアの標準時に合わせたこと、香港や上海の金融市場と時間を合わせ
たことが、時差を1時間にした理由。だから、実際の地球上の日本との時差は2時間(遅い)。
とすると、実際の日の出時刻は午前6時。それでも日本人の感覚では遅いほうだが、少し合点がいく。さすが世界の経済活動の中心地シンガポール、経済活動に1秒でも遅れを取らないために、時間すら動かしてしまうんだと感心した。
さて、ホテルをチェックアウトして、ホテルのドアマンにタクシーを呼んでもらって、チャンギ空港へ。
高速道路の中央分離帯はブーゲンビリアで埋め尽くされている。空港までずっと続く花の道は本当に美しい。
空港までは30分程度。タクシーで2000円くらい。
お土産を空港内で探したくて、ちょっと早めに空港に来た。
シンガポール・チャンギ空港は、緑溢れる南国らしい空港。もちろん24時間空港。
朝早くから飲食店もいくつか開いていて、時間をつぶすものは事欠かない。
もちろんトイレもすごく清潔で使いやすい。
第2ターミナルからショッピングモール「JEWEL」に向かう。連絡通路を歩いて行く。
一度スーツケースを下げたまま歩いて行ったのだけれど、チャンギ空港はアーリーチェックインができることが分かったので、再び第2ターミナルに戻ってチェックイン。
何時間前でもチェックインして、荷物を預けられるのはすごく便利。
出発時の関西国際空港のあの混沌とした国際線ターミナルの混雑など、チャンギ空港にはなかった。チェックインできる時間まで人混みを避けて隅っこでスーツケースに埋もれながらうずくまっている必要もない。
チェックイン機は数台あり、並ばずに使える。航空券と荷物の預け札を発券したら、数歩先に荷物を預け入れるベルトコンベアがある。迷うこともない。
チェックイン機の前でうろうろしていたら、スタッフの女性が声を掛けてくれた。荷物を預ける手続きをしながら、
「日本に帰るの? シンガポール楽しかった?」
と娘と雑談。
「シンガポールは暑いでしょ?」
と訊ねられたので、
「いやいや、日本のほうが暑い。40度近くなるところもある」
と言うと、目を丸くしていた。きっと、彼女の日本のイメージは「春の桜」や「冬の雪」だったのかも。日本のイメージを変えてしまったかもしれない。40度はちょっと盛りすぎたかと反省。
荷物を預けて手ぶらになったので、空港内を移動する電車に乗って第1ターミナルに向かい、そこから再び「JEWEL」へ。
午前10時から、水が流れると書いてあるが・・・・・・
流れた! びっくり。屋根から大量の水が落ちてきた。
「ジュエル レイン ボルテックス」
落差は40メートル。マリーナベイ・サンズのクラウド・フォレストより5メートル高い。
どーんと落ちてくる水に圧倒される。天井を見ると、大量の水が湧いてガラスの屋根を伝って洪水のように穴まで流れてくる様子が圧巻。
義父へのお土産の「BACHA COFFEE」を探して館内をうろうろ。なかなか見つからない。マリーナベイ・サンズで買っておけばよかったと後悔し始める。
とりあえず、ランチ。空港内のマクドナルドに行く。
時計を見たら11時少し前。あらら、シンガポールは朝マックの終了が11時だった。というわけで、朝マックを注文。
タッチパネルで注文。カードで支払い。バーガーキングと同じ方式。
マックグリドルとミロ。
ドリンクにミロが選べた。スーパーでもたくさん売られていた。小学生に戻った気持ちで熱々のミロを飲む。
娘は、ブレックファストラップチキンハムなるものを食べていた。
お腹も膨れて改めて探したら、「BACHA COFFEE」を見つけた。
義父用と自宅用に購入。
ミッションクリアで、ちょうど搭乗時刻が来た。
搭乗口までひたすら歩く。
ついに離陸。バイバイ、シンガポール。
早速、飲む。まずは赤ワイン。
おつまみを1人2個ずつ渡してくれた。行きは一つだったのに。昼の便なので、夕食までに時間があるからだろうか。
座席が狭くて、機内食の写真は撮れず。
パスタを頂きました。
帰りの便では映画を2本観た。
1本目は、タイトルは伏せておく。某人気俳優が演じる恋愛もの。ちょっと予定調和かなあと思ったが、まあ、いい話だった。
さて、2本目。前から見たかった、話題作の「PERFECT DAYS」。
見始めたら止まらない。まさにパーフェクトな映画だった。
大きな事件は起こらない。淡々と生きる役所広司演じる男。小さなことに目を向けて静かに暮らす男の暮らしに、周囲から起こされる小さな波にふと笑わされたり、難しい顔をしたり。
映画に夢中で、機内食で何を食べたのか、ワインをいつ空にしたのか、思い出せない。
多分、これからずっと、ふとテレビをつけて、偶然放送していたら、場面の途中からでも最後まで観てしまうやつだ。
私なんぞが語る言葉が思いつかないが、とにかく素晴らしくて、申し訳ないが1本目の恋愛映画があまりに陳腐に見えて、すっかり「PERFECT DAYS」に記憶が上書きされてしまった。
気づいたら、隣の座席の中国系の女性も熱心に「PERFECT DAYS」を見ていた。うれしかった。
そんなこんなで、飛行機は日本へ帰ってきた。
南から関西国際空港へ戻るので、徳島上空を飛ばないかとワクワク見ていた。夫も同じアプリで、飛行機を追跡している。「そろそろ九州」「そろそろ四国」とLINEで会話。本当に徳島の方へ進路を変えた。
「一瞬、乗ってる飛行機の光が見えたよ」と連絡が来た。
この後、瀬戸内海へ入って、淡路島をぐるりと回って関西国際空港へ着陸した。着陸するまでずっと、明石海峡大橋の吊り橋の形そのままにイルミネーションが見えていて、綺麗だった。
無事入国し、日本のSIMカードを入れてつながった。(悪戦苦闘した)
今夜はりんくうタウン駅直結の星野リゾートOMOに泊まる。
スーツケースから使った下着を全部出して、ホテルのコインランドリーで洗った。洗濯しながら、大河ドラマ「光る君へ」をNHKプラスで見た。
いよいよ明日は徳島へ帰る。
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