#ミスチルプレイリストをさらし合おう 〜我が青春のMr.Children

私にとってミスチルは、大学時代の楽しかった思い出と、その後のちょっと悲しい思い出と共にある。

「元気でね」
そういって、彼と別れてもうどれくらいの時がたっただろう。

大学時代に知り合った、友達のNくんが大好きだったのが、Mr.Childrenだった。
彼はもともと、当時付き合っていた彼(現在の夫)の同級生で、幼馴染。
優しくて、いつも笑っていて、食べ物の好き嫌いが多くて、英語が嫌いで、パチンコが強くて、大学をサボってばっかりいて、あやしい携帯電話の仲介業者になったり、いつかオデッセイに乗ると言い続けていたり、すぐお腹がいたくなったり、やる気があったりなかったり、好きな子に優しすぎて利用されて振られたり。なんだか目が離せなくて、弟のような、でも困った時は助けてくれる頼りになる兄のような人だった。
彼の運転するカローラⅡには、いつもミスチルが流れていたし、カラオケで歌うのもいつだってミスチルだった。
彼はもうこの世にいない。27歳という若さで逝ってしまった。
生きていればまたいつか会える日がくる。だけど、この世にいない人とはもう現世で会うことはできない。

大学を卒業し、私と夫は結婚した。しばらくして、妊娠が発覚し、つわりにくるんしんだ。そんな、ライフスタイルの変化に四苦八苦しているうちに、Nくんは完治の難しい病気にかかっていた。彼の病状はあっという間に悪化した。一度は、退院して、自宅療養するまで回復していたが、また再発。
ついに帰らぬ人となってしまった。
病気が見つかって、わずか2年ほどのことだった。

ミスチルを聴くと、元気だったころのNくんの姿を思い出す。
一緒にドライブしたり、バーベキューにいったり、恋話で盛り上がったり、バイト先のコンビニでたむろしたり、飲みにいったりしたことが昨日のことのよう。
そんな楽しかった記憶からふと現実に戻った時、彼がもうここにいないことを痛感させられる。
だから、つい最近まで、ミスチルを聴くのが辛かった。

あきらとさんのこの企画を目にした。

あの頃、私たちは、バブルが崩壊したことも、世の中が不景気に走りはじめて、就職氷河期に陥っていたことも、大人になることがどういうことなのか、社会のしくみがどうなっているのか、本当に何にも知らずに、ただ、今日をどう遊んでやろうかとしか考えていなかった。
そんな能天気な私たちの青春時代を彩ったミスチルの曲たち。
たまには、思い出してやって、ノスタルジックになってみてもいいよね。

1 innocent world

ミスチルを知った一番はじめの曲かもしれない。
一緒によくカラオケで歌ったな。
Nくんは、ちょっと高い声を出すのが苦手で、サビのところがうまく歌えない人だったよなあ。

2 CROSS ROAD

innocent worldでミスチルを好きになって、次に覚えた曲。
なんでこんなにエモい曲があるんだろうと思ったな(当時はエモいとは言わなかったけど)

3 Tomorrow never knows

ほんと、人生はTomorrow never knowsだ。
単位はすれすれで、就職できるあてもなく、高校時代からつきあっていた彼にふられて、崖っぷちだった私の20代の始まり。私を拾い上げてくれたのは、今の夫とNくんだった。
そして、Nくんはいなくなり、私はここで生きている。
明日なんか誰にもわからないのだ。

4 シーソーゲーム

「ルミさんのことだよ、これ」
この曲を聞いた夫が昔言っていたことを思い出した。

劣等感を逆手にとって わがままばかりの君

あはは、そうかもな! と笑った。
猿がドラムをたたくPVも好きだった。

5 名もなき詩

就職試験の勉強をしていたころ、よく聞いていた記憶がある。
1日中部屋にこもって、何時間も勉強していて、ほんと孤独だったなあ。
切なさと寂しさが倍増されるのに、また聴く。
当時の自分に、「ドMかよ」って突っ込みたい。

あるがままの心で 生きられぬ弱さを
誰かのせいにして過ごしてる
知らぬ間に気づいていた 自分らしさの檻の中でもがいているなら
誰だってそうなんだ

最後のサビで、変調するのが好き。

6 everybody goes -秩序のない現代にドロップキック- 

ミスチルはどこへ行こうとしているんだ!? とびっくりしたよね。
アルバム「深海」に入っていた。

7 【es】 〜Theme of es〜

Nくんのカーステレオから聞こえていたのは、アルバム「深海」だった気がする。「『深海」最高!」って言ってた。
言ってなかったかもしれないけど、私、深海はちょっと暗すぎて苦手だったんだよ。

8 Replay

覚えている。
「ミスチルのシングル全部聴きたい!」と言った私のために、夫が、カセットテープにいれてくれたのだ。その中にあった。好きだったな。

3年目のジンクスなんてこわくないけど

なんて歌詞に「私たちも3年目のジンクスを乗り越えられるかなあ」と思っていたのに、もう20年以上一緒にいる。

9 雨のち晴れ

就職したこともないのに、就職した気分になった。
この歌を聴いてはじめて「世の中不景気だったんだ」と知る、脳内お花畑の女子大生だった。

10 メインストリートに行こう

今朝、夫にLINEで「大学時代に聴いたミスチルの曲を挙げよ」と指令を出したところ、この曲をあげてきた。
理由を聞いたら、歌詞の「クラクションは Two times」に合わせて、

毎週末、友達の家に集まったとき、車で着いたNくんが、クラクションを2回(Two times)ならしてたな

ミスチル好きの男子たちが、こんなことして遊んでいたなんて知らなかった。なんかいいなあって思った。

楽しかった思い出と、悲しい思い出。どっちも思い出させるミスチルの曲たち。
でも、やっぱり青春だったんだなと今なら思える。

あの日、Nくんの亡骸は微笑んでいた。苦しかった闘病生活が嘘のようだった。
だから、花をたむけながら、思わず「元気でね」とつぶやいたんだ。

彼が亡くなった時、0歳だった我が家の長男は、高校2年生になった。
私たち夫婦はアラフィフで、すっかり中年になった。
でも、私の中で生きているNくんは、20代のままで笑っている。

でもね、まだ私も夫もそっちには行けそうにないわ。
子供たちは、やっぱりまだまだ子供で、私たちには、まだここでやりたいことがある。
あなたと同じ名前の友達だっているんだよ。
私に、しばらくは、ここで楽しめよと、授けてくれたような気がしてる。
だから、私が、いつかそっちに行くまで、ミスチルを聴きながら、元気で、気長に、笑って、待っていてよね。そのときは、また一緒に歌おうよ。



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