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本で行けばいいじゃない!

ついに長い梅雨が明けて、本格的な夏が来た。
外を歩けば、四方八方からセミの声。太陽はぎらぎらと照り付けて、アスファルトが溶けそう。
でもどんなに暑くても、川沿いを歩くと柔らかい風が吹いている。オフィスのエアコンの風にばかりあたってていると、自分まで機械になった気がするから、ぬるい麦茶みたいなこの風に当たりたくて、昼休みになると暑いのに日傘をさして、川沿いの道を散歩する。

毎年夏には、どこかへ(といっても仕事だったり、近場だったりだけれど)行くことが習慣になっていたのに、今年はどこへも行けそうにない。
ふつふつと湧き上がる「お出かけ欲」をいかにしてなだめるかが、最近の懸案事項だった。

先日も、エアコンで冷え切った体を、ぬるい風に当てようと散歩に出た。
ぶらりと、川沿いを歩いた。川沿いには倉庫群があって、再開発が進んでいる。最近は、おしゃれなカフェやレストラン、家具店なんかが増えてきた。その一番奥にあるのが本屋。街中にあった昔からの老舗の書店が、店舗をこの川沿いの倉庫群の移転したのは数年前。以来、たまに私の散歩の目的地になっている。

本屋に滞在する時間を少しでも長くしたくて、すこし速足で歩くと暑さのせいでいつもより息が上がった。マスクの下で深呼吸をしながら、ひんやり冷えた店内に入る。しんと静まり返った店内。狭い店内に客は私だけだった。

夏の本屋は、文庫が充実してていい。
各出版社が夏休みに向けてキャンペーンをしているから、いつも見かけない本がラインナップされるし、おまけがもらえたりするのもちょっとうれしい。(最近はどうも夏限定でもないらしいけど)

さて、この狭い本屋でも、夏の文庫イベントはちゃんと展開されていた。
昼休みの終わり時間を気にしつつ、手に取って本を眺める。至福の時間。

そこで、見つけた一冊の本。

京都生まれ京都育ちの漫画家、グレゴリ青山さんの京都案内。

観光客はおろか、地元の京都人でも知らない京都をマンガで案内してくれる。この文庫のもとになった単行本は、地元京都の書店員が選ぶ、「京都ガイド大賞」のリピーター賞を受賞されたそうだ。
地元民に選ばれる地元本。面白くないはずがない。

買わないつもりで入った本屋だったけど、550円払って買うよね。

今、読んでいる最中。マンガなので、読みやすくてすっと入ってくる。

知られざる東寺のグッズ(商魂たくましい!)
町家の3階で宝探し。
めくるめく京都の伝統工芸品の世界。(二条城の錺金具の技!)

著者のグレゴリ青山さんと同じ視点で、一緒に驚いたり感動したりしている。

当然だけど、読めば読むほど京都に行きたくなる。
行きたくなるんだけど、それ以上に一緒に旅している気分。
これはいい。

世の中は「GO TO」と言うけれど、まだ遠くに出かけることができる心境になれないこの夏は、こうして本で旅するのもいいかもしれない。
旅に行きたくなるのではなくて、旅をしたような気持ちになる本が読みたい。
またいつか近い将来、読んだ本たちを持って旅にでよう。

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