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読めば見た気になるかも?今からでも間に合う「おっさんずラブ in the sky」

人が人を好きになるのに、性別は関係あるんでしょうか。恋愛の好きと友情の好きは違うのでしょうか?
性別や年齢という大きな壁をとっぱらった時、人間模様はここまで広がるのかと、あのドラマを見ながらいつも思います。

ドラマ「おっさんずラブ」に出会ったのは、去年の10月。
動画配信サービスHuluで、配信が始まったことがきっかけでした。2018年の春、話題になっていたこのドラマを、リアルタイムで見ることができず、くやしく思っていたんです。そこに始まった動画配信。
忘れもしません、10月6日(土)友人とランチして、午後自宅に帰ってから寝るまでに全7話一気に見てしまったのです。

それから、もうずっと大好き。
この夏には劇場版を何度も見に行きました。
そして、11月から始まったシーズン2、「おっさんずラブ in the sky」もすっかりハマって見ています。

それについては、ここに書きました。

まず、登場人物は、こちら。

春田創一(35)、職業 CA。             @田中圭
黒沢武蔵(57)、職業 パイロット(キャプテン)  @吉田鋼太郎
成瀬 竜(30)、職業 パイロット(副操縦士)   @千葉雄大
四宮 要(40)、職業 整備士           @戸次重幸
橘 緋夏(33)、職業 広報担当          @佐津川愛美

はい、女子は「橘 緋夏」一人しかいません。

春田創一の恋愛対象が、男なのか女なのか知れるエピソードは描かれていません。
前作の「おっさんずラブ」の春田創一との違いはここにあります。前作では、春田が「俺はロリで巨乳が好きなんだ!」と叫ぶシーンがあったので、いつもは女性が恋愛対象なんだと思います。今回は、第7話まで見てきてそういうシーンはありませんでした。

今作の春田創一は、優しい(前作の春田も優しいが)。とにかく優しい。全方向に優しいのだ。
初フライトの日に遅刻して、会社までダッシュしている途中にも関わらず、大きな荷物を抱えた老婆に手を貸してしまう。
フライトのブリーフィングに遅れることを承知で、乗客がトイレに落とした婚約指輪を拾ってあげたりする。
告白されて断るときは、振る側なのにめっちゃ泣いているし、好きだと言われると「がんばって」好きになろうとする。
それは時に、相手を傷つける行為だとしても、春田の優しさは止められない。
チームワークが大事だという黒澤キャプテンの言葉に感銘を受けているし、自らも今までチームワークを大事に生きてきた。天空ピーチエアラインに35歳で転職したのだって、前の会社が経営不振になり、リストラすることになった時、チームとして一緒に働いてきたベテラン職人さんがクビにならないよう、自分が早期退職に手をあげたからなのだから。
そして、四宮の告白と「一週間お試しおつきあい」なんてことまで引き受けてしまう。ツンケンしてチームから浮いていた成瀬を、チームに溶け込ませたくて、「なんとかしてやりたく」なる。
その「なんとか」が、成瀬の頑なな気持ちをほぐす。
それが、自分を苦しめるとも知らず。

副操縦士の成瀬は、寂しい人だ。本当は誰かを本気で愛したい。愛されたいと願っているのに、それができない、寂しい人だ。
彼の父親は家族を捨てて出て行った。彼が苦労してパイロットになると、父は金をせびりに来るようになった。人なんか信じても一個もいいことなかったと、自虐的な笑みを浮かべる成瀬。心を閉ざし、刹那的な恋愛に走って痴話喧嘩を繰り広げる。成瀬の相手は男で、別れ話をしにきた男の恋人(女)の眼の前で、好きでもない春田にキスして、話を終わらそうとさえする。
春田や黒澤キャプテン、同僚CA、整備士の四宮の支えで、彼は少しずつ心を開いていく。自分の気持ちを見つめるようになる。
そして気づいたのは、整備士の四宮への想いだった。それは、春田から告白されて、強引にキスしたことで決定的になった。「もうあんた(四宮)以外とキスしたくない」
成瀬が整備に興味があるのは、好きな人が整備士だったからなのか、それとも、整備が好きな成瀬がベテランの四宮の仕事ぶりに憧れたのか。
ラストフライト前日にオイル漏れを徹夜で修理する四宮を助けたくて、人生で初めておにぎりを差し入れたり(なぜか全部おかか)、春田に振られた四宮を襲おうとしたり、想いが暴走してしまいがち。
彼は春田に尋ねる。
「キスより前にすることってなんですか?」
不器用だ。あまりに不器用。でもそれがたまらなくかわいい。春田にとってもそれは同じだったんだろう。

「俺は春田とつきあう資格はない」
四宮には結婚していた過去があった。そして、10歳になる子供も。元妻や子供への負い目から、春田にアタックできない。
黒澤にも「春田とつきあうつもりはない」と言い切るほどに、彼の意思は固かった。でもその一方で、春田に毎晩夕食を作り、彼の悩み相談に乗り、あまつさえ、黒澤の娘、橘緋夏と春田がうまくいっているのか心配さえする。
「友人としてのいい関係を壊したくない」
話があう。一緒にいて楽しい。ずっとずっとそばにいたい。そう考えた時、始まれば別れがくる恋愛より、永遠に続く友情のほうを取ってしまうことはある。好きな人が幸せならば、自分の気持ちを押さて身を引いたほうがいいと思ってしまうことはある。四宮もそうだった。そして、四宮に対する春田もそうだった。
「友情と恋愛の好きはどうちがうの?」
四宮も春田も、友情を選ばなかった。お互いの気持ちに素直になって、思いをぶつけ合った。結果、四宮が寮を出て行くことになっても、後悔したかもしれないけれど、二人は気持ちに向き合った。
時には、傷つけあうことになっても、気持ちを伝え合うことは必要なのかもしれない。(でも、このまま友達でいる選択肢だってダメじゃないと私は思う)

黒澤キャプテンは素直だ。
春田への愛を清々しいくらい全面に表現する。相手が娘の想い人だと全部知って身を引こうとして苦しんだけれど、やっぱり春田を嫌いになれない。だけど、その思いに蓋をすることはなくて、体全体で、春田への気持ちを表現する。
それは、恋というより愛だ。
春田を本気で叱って、本気で守って、本気で愛してる。春田を好きになるやつを、コミカルなほど敵視して(なぜか卓球勝負やバッティング勝負して)みたり、成瀬と共同戦線をはってみたり。とにかく正々堂々を戦っている。姑息な真似は一切しない。こじれていない。
彼のこじない心は広い。春田以外の部下たちや娘への愛も溢れている。成瀬を気づかい、四宮も気遣う。ライバルに嫉妬はあるだろうが、彼は決して人を傷つけない。いや、素直で正直な彼の言動だから、傷つかないのだ。
自分に本当に正直なのは、キャプテン黒澤に違いない。グレート!

唯一の女性、橘緋夏。彼女は「女性」である。それは、多くの場合、男性に対する恋愛にシード権がある。だけど、ここではそれが通用しない。
自分の恋仇が友人の男性と父親なんて、衝撃以外の何者でもない。そうなったら、女はどうしたらいいのだろう。
春田といい感じになっていた。おでん屋に飲みに行ったり、公園のボートに乗ったり。でも春田はずっと成瀬の話をしている。手もつないでくれない。距離が全然縮まらない。切ない。好きなのに。苦しい。「『頑張って』好きになるから」なんて恋愛ってそんなものじゃないでしょ? でも彼はそれに気づかない。彼女が指摘して、初めて気づく。そして、彼が泣いちゃうのだ。優しすぎる。でもその優しさが辛い。やっぱり好きだって思っちゃうから。あなたのそういうところが好きだって気付かされるから。ライバルが男とか女とか親とかもうどうでもよくて、ただ彼が他の人を好きだということ、自分にはなびかないと知ることが辛い。
緋夏、あなたが自分からさよならしたの、がんばったねと言いたい。

こんな怒涛のようなストーリー展開の「おっさんずラブ in the sky」は、ついに今夜「おっさんずラブ 1in the sky」が最終回を迎えます。

前回の第7話は、春田が四宮を振り、振られた四宮をなぐさめたくて、キス以上のことを仕掛けてしまった不器用な成瀬、3人の関係はぎこちない。
成瀬は、キスより前にすることに悩んでいた。そんな成瀬を見かねた春田が成瀬をイルミネーションを見に誘う。春田も切ない。
会社は改革の波に飲まれ、売り上げアップや大掛かりなイベントの開催を一方的に決められて、現場は混乱。ついに頑張りすぎた春田は、空回りして倒れてしまった。
四宮は、春田の成瀬への気持ちを知ってしまい、自分を何度もデートに誘う成瀬にイラついて、ついに「迷惑だ! お前に一切興味はない!」と言い放ってしまった。
それは、春田の幸せを思ってか、それとも成瀬への嫉妬だったのだろうか。
言い放ってしまった四宮の顔には、後悔の色がにじんでいた。
帰ってきた春田に「成瀬のところへいってやれよ! 早く!!」
と春田を成瀬の元へ走らせた。
公園で泣いていた成瀬を慰める春田。成瀬の手をとり、自分の手と一緒に自分のポケットへしまって、二人並んで寮まで帰る。
荷物をまとめて寮を出て行こうとする四宮と玄関で鉢合わせる。
四宮は寮を出て行った。
毎晩四宮が料理していたキッチンをぼんやりと眺める春田。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。ついこの前まで、賑やかに楽しく暮らしていたのに。
そして、黒澤キャプテンもまた、パイロットをやめる決断をしたのだった……

ああ、この先どうなるんでしょう。 気になってたまりません。
今夜午後11時15分まであと少し。正座して待ってます。
よければ皆さんもご一緒にどうですか?

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