見出し画像

【SSお題】ネコクインテット (Jazz編)

海へ向かって長く伸びるランブラス通りの、観光客が滅多にこない外れの方の地下に、ブルーキャットはあった

パブロ、なんで青いネコっていう店名なんだい?

英語でさ、ジャズ・ミュージシャンのことを cats って言うらしいんだ
それでオーナーが付けた

なんでネコ?

トニー、おまえは質問が多いやつだな

教えてよ、今日もビール箱下ろすの手伝うからさ

それはライブただで聞かせてやるお代だろ(苦笑)。キャッツという隠語にはいろんな説があるらしい、夜な夜な集って怪しいことやってるとか、ジャズ発祥の頃はべっぴんさんがいた娼婦宿キャッツ・ハウスが生演奏の場所だったりとか

へえ、猫みたいな娼婦たちか

今晩は新しいハウス・バンドだよ。バークリー帰りのペットのアルフォンソのクインテット。サックスのペドロがいいぞ。2管でぐいぐい行く、1950年代のマンハッタンていう感じ

火を噴くような凄い演奏だった

夢中になって聞いた

ふとカウンターの横をみると、化粧が濃いが、顔だちの整った女性がひとりでいた。音楽に聞き惚れたのか、恍惚な面持ち

笑いかけると、舐めていたスティック状の包みを差し出してくる

ドラッグ?舐めるやつ?

なにか書いてある


「CIAOちゅーる」


(496語)


タイトル画はNote ギャラリーからジャズで検索していい感じのを拝借

ランブラス通りのあるバルセロナは一度しかいったことなくてあまり地理に詳しくないんですが、飯がうまくてガウディなど見どころもあって、そして何故かジャズも盛んな街という印象。YouTubeでも聞ける、Joao Chamorroというベーシストのやっているジャズ教室から出てきた若者たちがいい感じの演奏を聞かせてくれます。ボーカル歌いながら、サックスやトランペットでソロをとったり多才。ついついYouTubeで聴いてしまいます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?