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配当性向

たまには真面目な話、証券用語編第2弾。後半に有料鍵。ダジャレなし、ネタなし、投資とか関心ない人には、真面目でつまらないです。バリュー投資的切り口もちょっと。


「配当性向とは、その期の純利益(税引後利益)の中から、配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したものです。配当性向は投資を行う際に企業を評価する指標のひとつです。計算式は、以下のようになります。配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100 つまり、会社が1年間で儲けたお金からどれだけ配当金として株主に還元しているかは、配当性向を見ることでわかります。
配当金額から企業を評価する指標としては、配当性向の他に、配当利回りなどがあります。」
(SMBC日興証券ウェブサイト https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ha/J0022.html)


徒然なる解説コメント

「配当性向」、英語ではシンプルに、"Pay-out Ratio"、利益からいくら株主に配当としてペイアウトするかの率。純利益が100億で配当総額が30億だったら30%。

「性向」を辞書で引くと、「性質の傾向。気だて。気質」とある。

この Pay-out Ratio、「配当率」とか「払出率」とか訳語をなぜ考えなかったのかな。

単なる分配の%の話が、「配当」の「性向」といわれるとなにやらその会社の「気だて」の話をしているようで、「あの会社の配当の性向いつも5割、いい性向、気だてのいい太っ腹の歴代社長がいるだけある」なんて、経営陣の気だてのおかげで株主が利益分配を受けているかに思えてしまう。そういうタイプの経営者、会社というような。

まあ、経済学用語でも「消費性向」という用語があって、それは可処分所得から消費にまわしている%なので、性向という用語はこういう学術用語からの流用であろうか。

ちなみに、消費性向は英語は、 "propensity to consume" なので、propensity は辞書を引くと、an inclination or natural tendency to behave in a particular wayとあるので、まさに気質的なことで、経営陣が判断して決める配当のペイ・アウトとは意味合いは違う。ある人が、所得のうちどのくらいをいつも消費している傾向があるか、そういうタイプの人なのかというようなニュアンスか。配当性向ということは、日本では、利益から配当にまわす率は、その会社の体質のように固定的で習慣的に染み付いたものであり、経営判断の結果じゃないとみているのか。

本来、経営陣は、配当可能原資から、自社の必要な既存設備のメンテの設備投資とか新たな工場の建設とかの資金ニーズを考えてそのための内部留保しつつ、株主に配当として払い出す割合を決める。

このたまには真面目シリーズ前号で書いたが、日本はなぜか1株あたり配当額30円とか固定金額を指針にして「安定配当」を謳う古い会社があったりして(古い気質の個人投資家にはわかりやすいのだろうが)、この配当可能額xペイアウトという配当の判断がまだまだよく理解されていないのじゃないかと思う。

「安定配当」を検索してみると、こんなのがでてきた。

安定配当  英文Consecutive dividend

企業が、配当金や配当性向を毎期一定額に維持することです。日本は配当金を、欧米の場合は配当性向を重視する傾向にありますhttps://kabu.com/sp/glossary/1206577_3152.html カブドットコム証券


これ、言い得て妙だが、ここ20年くらいみると日本もやはり合理的に純利益からどういう%で分配するという発想が広がってきていると思う。あと、この英訳Consecutive dividendは意味不明。継続して配当という意味はあっているが、会社が意図して1株あたりある一定額の配当を毎年めざすという日本式「安定配当」のコンセプトは全然伝わらない。

この安定配当、発想としてはあながち古臭い非合理的ということではなくて、バリュー投資的な発想からは、Revisit、再考してみる価値のある発想かなと思ったりもする。

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