好きになるタイプの遍歴を語ると、私の好みがきっとわかる

ある友人に「ある意味、ぜんっっっぜん好みがぶれてないね」と力強く言われてみて、改めて私は昔々から好みのタイプが変わらないことを実感しました。

私は精神的にとても幼かったのか、周りがアイドルとかに興味を持ち始めた時でも『りぼん』に夢中で、だいたいが通るであろうジャニーズのアイドルグループへの関心を全く持たずに中学生になりました。全く持たず、というのは語弊があって周りが「〇〇くん格好良い!」と言ってるのに乗らないとならないのはちゃんとわかっていた気はします。

そんな自分が芸能界で、物凄くひかれて仕方なかったのはGAOさんです。初めてそのビジュアルや歌声を聞いた時の衝撃たるや言葉では表しきれないくらいで、すぐに夢中になりました。当時も今でもGAOさんのようなスタイルで売り出してる方を、私は他には知らないです。女性芸能人がショートカットにしてパンツを履いてボーイッシュに活動したり、ハスキーボイスで男前な歌詞を歌うロングヘアの格好良いバンドとかはあったかと思うのですが、お顔からスタイルからボーイッシュとは何か違う格好良さで、本当に素敵だと思いました。

ニ次元で言うと、中学生の時の私のバイブルはコバルト文庫の中の藤本ひとみ先生のシリーズ物でした。お話の中にはありとあらゆるイケメンたちが出てくるのですが、私が虜になったのは「響谷薫」という男装の女性でした。今でも覚えてますが身長は180センチで、ショートカットの男性モデルのような体型。言葉遣いもほぼ男性で女のコに恋を仕掛けたりして楽しむ皮肉屋さん。でも本当は実の兄に恋をしてる設定の人物です。周りでも同じシリーズを読んでいる子たちは沢山いましたが、響谷薫に恋をしていたのは私一人。その後、藤本ひとみ先生のシリーズはかなり沢山読んだと思うのですが、それぞれのシリーズに必ず一人はそういった男装の麗人的キャラクターがいて、毎回その方のファンになっていました。

実際の社会の中でも、最初に恋心を抱いたのはやはり「男装の麗人」で、このパターンが今の私の中の1番核となってるなと思います。私は女子校で長らく育ちましたが、中学1年生の時に高校3年生の文化祭の出し物で男役をされた先輩に、人生で初めて「恋」をしました。正直、それまでその先輩のことあまり知らなかったです。全校生徒が少ない、しかも半寮生活で寮でも一緒だったのに、名前とお顔が一致する程度でした。普段はロングヘアの美しい、物静かな先輩だったと記憶してます。舞台での男役姿に完全に惚れた私は、その後舞台を降りればその先輩は普段通りロングヘアでスカートも履くし、特に男性のような言動をすることもない(どちらかといえばかなり女性らしい)のですが、卒業されるまで恋心を寄せていました。

中学時代の印象に残ってる芸能人や二次元や実在の人物への初恋について掘り起こしてる訳ですが、もうここですごくわかりやすいのはまずは外見の属性が「男性寄り」であること(一般的なお話であり、ここでは男性らしい・女性らしいの議論は置いておきます)そして、その人の性自認や性指向は本人には伺っていないこと、更に二次元と現実の方に関して言えば好きになった時の外見が好みであればその後お化粧しようがスカート履こうが、最初の入りとしては決して好きにならない属性になったとしても、ずっと好きであること。本当に私は「まずは外見から」のタイプに他ならないなと思います。

その後、私は昔ながらの考え方と情報量の圧倒的な不足とで「自分は女子校にいるから格好良い女性を好きだと思ってるだけ」「周りのように男性と付き合わなくてはならない」「男性を好きになれば変わる」みたいな発想に陥り、シス男性とも恋愛してみるのですが、そんな時に知った宝塚歌劇は頭をぶん殴られたくらいの衝撃でした。

ちゃんと、世間一般で言う男女交際はしていたのに、宝塚に出てくる男役さんが素敵すぎてやっぱり何かが違うと思ったんです。ここで補足ですが、私は宝塚に関しては完全に芸術だと思っているので、芸能人に抱くのと同じような憧れや恋心を抱きはしますが本気でお付き合いしたいとかは全く思いません。贔屓や推しの気分ですので、尊いと思いこそすれ現実世界に組み込むことが出来ないですし、万一その辺で遭遇してもその方を一人の人間だとは思えても舞台の上の方とは別だと認識します。お話はズレましたが、宝塚の男役さんを見て衝撃を受け、私はシス男性と「だけ」付き合わなくてはならないのは何かが違うと感じ始めました。見た目が美しいとかお話の内容が綺麗とかそういう問題ではなくて、その時は「男装の麗人」という部分に心を動かされた訳です。

宝塚は長らく好きですし、今も観劇します。昔は男役さんしか見えていませんでしたが、最近は娘役さんの可愛らしさに心を持っていかれるので、本当に芸術として美しい物が好きなんだなと自分では思ってます。

私がLGBTQ+と呼ばれる世界に完全に足を踏み入れたのは20代になってからですが、その時だって結局は見た目男性属性であればシス男性でも満足なはずなのに何かが違ったから色んな世界を見ようとした訳で、私の中では性別や性自認や身体の作りよりも、好みの外見であることの方が大きいのだと思うのです。

しかも入ったばかりの世界過ぎて、私は完全に用語が判っておらず見た目男性属性は「トランス」もしくは「ボーイッシュ」と呼ばれるのだろう、くらいの気持ちでした。自認がどうのってお話は全く考えてなかったです。また、でかけた先のイベントでも必ず目が行くのは男性寄りな方でした。

ずっと時代は進んで、テレビでもLGBTQ+が取り上げられるようになり、そこでトキメイたのはラスト・フレンズの「るか」です。最近になって色んな方にお話を聞くと、るかの描かれ方は当事者にとっては微妙だったとかも聞きますが、ショートカットでパンツ履いてて主人公を守ろうとしててというような姿に毎回キュンとしてました。

ここまで遍歴をあげてみて心から思うのは、私はきっとまずは外見が好みである事が1番最初に来るんだなって事です。最初の出会いの段階で「男性寄り」であることが大前提で、そこからお顔や声や雰囲気やファッション等を見ていく形であって、多分1番最後に辿り着くのが性別なので、シス男性の世界だけ見ずにあらゆる所に踏み込んだのだろうなと。更にいえば踏み込んでみたら、心地よかったんだろうなと。

よくよく考えたら、年齢性別問わずまずは外見好みなだけで突き進めるのですから、自分ってばオールジェンダー何でも来いな人間だなぁと思います。

自分の容姿等を全て棚に上げて良いなら、正直私は無類のイケメン好きです。ただ、とても不思議なのは万人が好むようなイケメンも素敵と思うのですが、たまに万人受けするような方を全然格好良く思えなかったりもします。また、結構個性的なお顔も好きなのでたまに周りに「本当に面食い?」と言われたりもします。

そして、自分の見せ方を知ってる方が好きです。ファッションでも仕草でも、これが自分に向いてると知ってる方が素敵だと思います。

あとは…自分に持ってない力強さとか、声のトーンとか、考え方とか。そういったもの総合して雰囲気イケメンも大好きです。

オールジェンダーから見た目好みを探し出して良いだなんて、なんて贅沢なんだろって思います。贅沢は贅沢ですが…今の時点でフリーなのは何か色々お察しいただけたら幸いではございます。

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